こんにちは、これまで「ハトヒール」をはじめ、数々の妄想を工作してきたライターであり工作家のオツハタです。
突然ですが、私は昔ボルダリングに挑戦したことがあります。壁登り。しかし高いところが怖くて、すぐに挫折しました。
私には縁のなかった世界と諦めたそんなある日、ヤギの意外な一面を知りました。
ほとんど足がかりのなさそうな切り立った崖を、ホイホイ登り降りしているではないですか。
自重とか足の裏とかどうなってんだ。崖の塩分を舐めてミネラル補給したいのは分かるけど、危険についてはどう考えてんのか。

イメージは、こんな感じです。試しに「ヤギ 崖」で画像検索すると、崖を相手にさまざまな姿勢を決めるヤギを見られます。本当にこんなふうに、彼らはものすごい足場をスイスイとゆくのです。
このとき、ジェンガなどのバランスゲームのように崖にヤギをたくさんつけたほうが勝ち! という遊びを思いついたのですが、それから早数年……。
今回、楽天さんの力を借りて、ついに「崖の上のヤギゲーム」作りに挑戦することになりました。
ツノと髭さえあれば、だいたいヤギ
さて、どうやって作ろう。崖が先か、ヤギが先か……。
悩んだ末に、まずは遊びやすいヤギの大きさを決め、そのあとに崖風のフィールドをジオラマで作っていくことにしました。

見本を見ながら造形できるように、2体のヤギを取り寄せました。
しかし白い方を目指すと小さ過ぎて、膨大な量のヤギを複製しなくてはいけないだろうし、茶色い方を目指すと大き過ぎて、いったいどれくらいそそり立った崖を作らねばならないのか不安。
おそらくここでの大きさ決めが、今回の出来を左右すると思われる!
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そこで今回は間を取り、2つの中間くらいの大きさに決めまして、定石通り、針金を巻いて芯を作ります。
……実はこうやって本格的にフィギュアを作るのは初めてなので、不安です。よく作ろうと思ったわ、自分。
次に機会があったら、こういうことは迷わず3Dプリンタに任せよう。そしてその記事を書かせてもらおう。

すごく不安でしたが、ヤギに見えるレベルに仕上がりました。
ツノと髭があれば、だいたいもうヤギに見えることが分かりました。さて早速これを型取りしましょう。これからが本当のヤマ場なのです(崖だけに)。
ヤギ複製計画
お次は、ヤギを複製していきます。使うのは粘土と型枠とシリコーン、それに複製の原料となるレジンキャスト。まずは複製するための型を作ります。

ヤギの原型を半面だけ粘土に埋め、その周りに型枠を立て、シリコーンを流し込む。そうすると、半面の型が取れるので、これを両面行います。
ただ後で元フィギュア原型師の家人から教わったのですが、このヤギの形だと、型を「右面」「左面」「お腹の下の空間」の3つに分けて取るのがいいそうです。2面にしたおかげで複製が型からうまく外れないなど、いらん苦労が生じました。今期の目標は「もっと人を頼る」に決めました。

暑い日なので、片面4〜5時間で固まりました。型を裏返して粘土を取り去り、もう片方の面も同じようにシリコーンを流し込んで固めます。
ちなみに冬の寒い日には、片面を固めるのに8時間以上かかることがあるので、だいぶ時間の節約です。
なぜなら型取りはこの1体だけで終わらないから……! 同じ姿のヤギが増えても面白くないので、いくつか型を作ろうというわけです。

そうこうして出来上がった1つ目のヤギの型に、樹脂流し込み用の穴や空気を抜くための通路を空けます。

レジンキャストという樹脂を混ぜて流し込み、ヤギを複製していきます。

ヤギの姿が出てきました。背中からボコッと出ている余分な樹脂(流し込み穴にたまっていたもの)をニッパーで切り落とす作業を終えれば、あらかた完成。

複製されつつあるヤギたち。このうちの1体を使って、2つめの型を作ります。
「より一生懸命、崖に張り付いている」ように、足などを切断して、それらを角度を変えて接合して、再び型を作って、ヤギを複製して……を繰り返します。
……崖への道は長い!

けっきょく型を3つ作り、微妙に動きの違う3種類のヤギをなんとか20体複製し終えました。いつしか、3日ほどたっていました。外に出たい。太陽を浴びたい。
ちなみに、対戦用に、10匹は白ヤギ、もう10匹は茶色いヤギにしようと思って塗り始めたところ、これは絶対に崖と見分けがつかなくなる! と気付き(当たり前だ)、写真には撮っていませんがこの後、真っ黒に塗り直しました。
出した手紙を捕食し合って以来の、白ヤギ VS 黒ヤギの因縁の対決が実現する準備が整ってきました!
兵は整った! 次はフィールドだ
コマができてきたので、いよいよ懸案の崖作りです。ヤマ場、たくさんあり過ぎです(崖だけに)。

スタイロフォームってご存じですか。断熱材などに使われる、発泡スチロールをググッと密にしたような素材。これを切って貼って切って貼って、崖の土台にしたいと思います。

スチロール素材は溶けやすいので、専用の接着剤を貼る両面に塗って乾かし、何層にも重ねて貼り合わせます。

横倒しにすると、崖の断面はこんな感じ。自立できる壁のようにして、2人がその壁に向かってヤギを置いていくスタイルになります。

しかしこれでは崖としては変化が足りないと思いまして、スタイロフォームを適当に切り取って貼り付けてみたりしてます。ゲーム性を高めるためですね(キリッ)

このスタイロフォームのベースに、今回は地面の色を塗る手間を省くため、木からできたウッドフォルモという粘土を貼り付けていきます。
崖にもいろいろな種類がありますが、今回イメージするのは、赤い岩肌が露出した「昔ここには川が流れていたのです」って感じの崖。グイーッと指先で横に伸ばしながら貼り付けていきます。なるべく、ヤギの足が引っかかりやすいように、凹凸を出すようにして、と。

そして粘土が乾かぬうちに、造形道具で縦横に適当に引っかいて、不規則性を上げて自然な崖に近づけます。

絵の具をドライブラシで少量ずつ、かすれるような感じで陰影をつけていきます。どんどん「ぽく」なっていく、ここが一番楽しい。

ジオラマ用の草をくっつけて、「水の枯れた川といえど、所々に草花が、しがみつくように息づいている(ドキュメンタリー風)」な感じにします。
さあ、崖イメージとの長い長い闘いは終わりました……。
さっそく、これで遊んでみますか!
史上最高に予測不可能なバランスゲームの誕生
一緒に遊ぶ人を探していたところ、ちょうどある場所でお仕事の打ち合わせがあり、そのメンバーで試遊してもらえることになりました。
仕事の団結力を高めるには、崖ヤギゲームだ!

で、これが崖の上のポ……じゃなくて「崖の上のヤギゲーム」全貌です。
ナチュラルな内装に、これまた究極にナチュラルな「崖」が、しっくりなじんでしまいました。

これが、コマとなる白黒のヤギたちです。早くも挑発しあってるようにも見えます。
「さっきの手紙のご用事はなんだコノヤロー!」
「おめーこそ読まずに食べてんじゃねーぞコノヤロー!」

ルールはとりあえずシンプルに、白ヤギさんと黒ヤギさんで交互に崖にコマを置いて(引っ掛けて)いき、早く持ちゴマ全てを崖に置いた方が勝ち。
さあ、より多くの塩分を崖から摂取していただきましょう。
足の裏の形状と、崖の形状を読んで……(あまり意味なし、落ちるときは落ちる!)

ここで、今日のホームラン。アクロバティックで命知らずなヤギの名場面集です。まさに、崖っぷち。

……崖にヤギが増えるにつれ、みんなが言葉少なになってきました。ここまで来ると、白黒の対戦よりも、「20匹全部を崖に引っ掛けた姿が見たい」、ただこの1点に向け、心がひとつになっていきました。
あと少しで20匹。固唾(かたず)をのんで見守っていると……

あっ!!!
その瞬間は、ほぼ何の前触れもなく、急に訪れました……。ちょっとの振動なのか、自分のつたない手先のせいか。
さっきまで静かに営まれていたヤギの日常が、一瞬でもろく崩れ去りました。言葉もない(実際はワーワーキャーキャー大騒ぎ)。
このあとも、崖自体をうっかりこづいたりして何度か崩壊を繰り返しますが、ついに……

20匹、崖上り達成! 2匹ほど、もはや崖から上がって一息ついてる者もいらっしゃいますが!
いやー、これが見たくて作ったのですよ。白黒両陣営とも、手紙のことはとうに忘れて、ミネラル摂取に余念がない様子。

切り立った崖で両足を踏ん張り塩を摂取する姿は、まさにあの過酷な状況下のヤギそのもの……のはずなんですが、このヤギのコマが元々はボンヤリとした素人造形から複製したものになりますので、そこはかとなくノンキな雰囲気をかもし出しちゃってます。
……とまあ、このように、筆者も予測できなかったほど意外な盛り上がりで終えた崖の上のヤギゲーム。これ、お酒飲んでたらもっとすごい盛り上がりだわ(全然積めないだろうけどな)。
思うに、コマも崖も作りがイマイチ甘かったがために偶然性が増し、よってゲーム性も格段に高められたということでしょうか。ゲーム性というかギャンブル性というか。
後日、別のメンバーでやってみた様子を動画にしました。このスリル感がクセになる
部屋に置いて気のおけない友人が来訪した折に「崖にヤギ置いてみない?」と誘うも良し、このままインテリアにするも良し、ちょっとの揺れでヤギが落ちるので地震計代わりにするも良し。
そうそう、書いていて思ったんですが、ここにカードも組み合わせたらもっと良かったかもですね。両者1枚ずつ引くカードに「縦に置く」とか「上から10cmの範囲に置く」とか「シャッフル」とか(?)書いてあって。
ゲーム性ということならそういうことも考えるといいのだろうな。今後、また改変してどこかで披露してみたいと思います。
あー楽しかった!
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