こんにちは。魚釣りが好きなライターの玉置です。月に一度は自分が釣った魚を捌いて調理しておいしく食べて、心身ともにリフレッシュをしていたのですが、ここ数カ月は新型コロナの影響で残念ながら魚釣りに行けていません。新鮮な魚が食べたいのに!
もちろん魚を買ってくれば好きなだけ食べられますが、何が釣れるかわからない海にエサを投げ入れ、ハリに掛かってくれた魚を料理する喜びは、スーパーや魚屋で選ぶのとはちょっと違うんですよね。一期一会、出たとこ勝負の腕磨き、そこにドラマがあるんですよ。
この魚をどう料理してやろうかと迷いながら包丁を入れるあの緊張感を、自宅で手軽に味わえないものかと悩んだ結果、通販で「鮮魚セット」を注文してみました。
ということで、この記事は届いた魚を3日間にわたって食べ尽くした記録です。魚を捌くのが苦手な人も挑戦できるよう、私なりの捌き方、保存方法も解説してみました。和洋中、さまざまな食べ方を試していけば、食べ飽きることもそうそうないのでは?
新型コロナの関係で行き場のない魚も多いと聞きますので、とりあえず一回注文をしてみてはいかがでしょうか!
【鮮魚セットを楽しむ方法 もくじ】
「魚ガチャ」を楽しめる鮮魚セット
今回注文してみた商品はこちらの「ウハウハ鮮魚セット」。送料、税込みで4,880円!(地域によっては別途送料がかかることがあります)
▶旬の鮮魚詰め合わせ ウハウハ鮮魚セット
▶同じショップの鮮魚セットを見る
いいでしょう。これは山口県の「魚かつ」さんという鮮魚店の商品で、「セットの中身はその日の水揚げ次第! とびきり新鮮なお魚をお届け!」というもの。楽天市場には何店かこういった商品を出している店があるのですが、どうせならとまだ行ったことのない山口県から取り寄せてみました。
サイトの説明には「人によってウハウハ or ぎょえーっの鮮魚セット」と書かれています。さらには
- 「朝獲れたての魚を、その日の内に丸のまま!」
- 「魚をさわるのが、苦手な人 危険です!」
- 「同じ商品は2つとありません。一箱入魂の宝箱です」
- 「スーパーには並ばない大衆魚以外の魚、レアな魚を詰め合わせます」
なんていう、魚好きの私にとっては魅力的なコピーの数々も。
お店側に完全お任せの「魚ガチャ」ですが、利用人数を「2人前」「3~4人前」「5~6人前」から選べ、人数が少ないと少量多品種になるようです。さらに魚を捌く技術も「初心者」「普通」「プロ」から選択可能。ここでプロを選ぶと、ハモやオコゼなどが容赦なく詰め込まれるとか。
逆に魚を捌くのに慣れていない方向けに「下処理鮮魚セット」という安心の商品もありますよ。お店によって下処理の度合いが異なるようですが、例えば魚かつさんでは以下のような状態で届くようです。
- 家庭用グリルに入る程度のサイズなら内臓処理&ウロコ取り済みで頭付きを真空パック
- 大型の魚は三枚おろししたものを1/4カットで真空パック
- 吸い物用にたたいたアラを真空パック
もちろん、今回私が頼んだのは「2人前」「プロ」という、魚の種類が一番豊富で危険な香りがするコース。いや腕前はアマなんですけどね。ちなみにこの記事にすることは店舗側に一切連絡していません。はい、ガチのレビューです。
さて一体何が送られてきたのでしょうか。アカエイやウツボが入っていたらどうしようと思いながらフタを開けます。釣りでいったら水面に魚が上がってくる、一番興奮する瞬間です。
(ゴマがつく魚の名前を言いたいだけ)
おおお、ちゃんとした魚! これは見るからに新鮮な「ちょっと良い魚」のオンパレードじゃないですか。船に乗って五目釣り(特定のターゲットを決めないで臨む釣りのこと)をして、これくらい釣れたら十分満足だよねという質と量。魚をじっくりと見ていたら、なんだか釣りに行ってきた気分になってきました。いい引きだったなー(妄想)。
到着した魚を紹介します!
それでは本日集まったメンバーを、送っていただいたメモを確認しながら、じっくりと紹介させていただきます!
「釣り物のイトヨリ、バトー(マトウダイ)、レア品のハタ、アオハタ、丸々太ったイサキ」というメモが入っていました
蛍光色のカラフルな魚は、釣り物(網で捕られたものよりも状態が良い場合が多い)のイトヨリ(正式名称はイトヨリダイ)で40cm。派手な見た目ですが上品な白身の高級魚です。
丸々太った(と送る側が書きたくなる良型の)イサキは33cm。イサキは30cmを超えると味のレベルがグンと上がって値段もアップする魚。この大きさは期待ができそうです。
続いてはグレーの魚体が迫力満点、レア品の(と送り手が書きたくなる)ハタは35cm。種類はマハタでしょうか。西日本で特に人気の高い白身の超高級魚です。何度か釣って食べたことはありますが、まさかここでまた出逢えるなんて。
一回り小さい黄色の魚はアオハタ、30cmと26cmがタッグでエントリー。青くなくてもアオハタです。ハタ科としては小型ですが、その味には定評があるとか。これだけ食べたことが無い種類なので、その味が気になります。
最後は38cmのバトー(正式名称はマトウダイ)。馬みたいな顔(口が伸びる)をしているので「馬頭鯛」。弓道の的のような模様があるため、「的鯛」と書くことも。こんな見た目ですが、世界各地で利用されている人気の白身魚です。
こうして揃った5種類6匹、冷静に考えると全部中型の白身魚! そうきたか!
白身の魚は白いキャンバス、どんな味に仕上げるかは調理人の腕次第。これは「似ているようで違う白身魚ごとの個性を、貴方の腕で輝かせて!」という店舗側のメッセージだと受け止めました。よし、やってやるぜ!
【届いた鮮魚リスト】
- イトヨリ
- イサキ
- ハタ
- アオハタ(2匹)
- マトウダイ
まずは魚の下処理から
魚が届いたらなるべく早く、その日に食べないものから下処理をします。食べる順番は、鮮度の落ちやすいもの、鮮度の良さが味に直結するものから先に食べたいですね。
具体的には、小さい魚(イワシ、キスなど)、青魚(サバ、カツオなど)、エビ・カニ類があれば先に食べ、白身の魚を寝かせておきたいところですが、今回は全部が白身魚。どれから食べても問題なさそうですが、身が柔らかいイトヨリとマトウダイが先ですかね。身がしっかりしているハタ類は、寝かせてこそ旨味が出てきそうです。
下処理といっても、ウロコと内臓とエラをとって水洗いするだけなので、慣れればそんなに難しい作業ではありません。「下処理済み」の商品を選べば、僅かな手間賃でプロがここまではやってくれます。
ここで一つ注意点ですが、魚のヒレは意外と鋭いので気を付けてください。今回は特にイサキ、ハタ類、マトウダイと、指に刺さりがちな魚が多かったようです。さすがプロ向け。
以下は私のやり方なので、あくまで参考程度ということで。
〈STEP1〉まずはウロコを落とす
ハタ類のようにウロコが小さい魚は、包丁を尾側から頭側に撫でてウロコを落とします。魚の部位に合わせて、包丁の刃、背、刃先、刃元を使い分け、全身くまなく落としましょう。魚が濡れていないのとウロコが剥がれませんよ。
イサキは少しウロコが大きいので、包丁よりは専用のウロコ取りが使いやすいです。我が家の道具は昔ながらのタイプなので、鱗がかなりの距離飛びますが、最近はウロコが飛び散らない便利な商品も多いようです。
〈STEP2〉腹から包丁を入れて内臓を出す
続いては魚の腹側にあるお尻の穴から頭側に包丁を入れて、内臓を出します。コツはなるべく浅く刃を入れて、内臓に傷をつけないこと。
赤い丸をつけたあたりから、頭に向かって浅く包丁を入れる
おいしそうな白子や真子(卵)、肝が入っていたらアタリです。今回はイサキが見事な白子入りだったので、台所で大きめのガッツポーズをしてしまいました。酒に浸けて臭みを抜いておきましょう。魚によっては胃袋や浮袋も食べられます。こういった希少部位が手に入るのも、丸の魚の醍醐味ですね。
頭をつけたまま料理する場合はエラを外します。指だと意外と引きちぎれないので、エラブタを持ち上げて、包丁で切り離します。もし頭が不要であれば、エラごと頭を切り落としてOK。頭を出汁用に取っておくのであれば、必ずエラは外してください。
〈STEP3〉お腹を水できれいに洗い流す
お腹の骨に沿った部分を包丁で開き、ここにある血の塊(腎臓)も丁寧に洗い流します。下の写真中央の部分です。これにて下処理は終了。ちょっと面倒ですが、じっくりと魚を観察できる機会なので、できれば自分でやってみてください。
ここから先は三枚におろして刺身にしたり、頭付きで塩焼きや煮魚にしたり、食べ方によって変わってきます。
〈STEP4〉魚の保存方法
その日に食べない分は水分をよく拭き取り、全体に軽く塩を振って、キッチンペーパーをミイラみたいにグルグルに巻いて(お腹にも詰め込む)、ラップかビニール袋で包んで冷蔵庫のチルドルームで保存します。ここから先の調理方法は、料理の本でも読みながら、ゆっくり考えましょう。
初日の夕飯:イトヨリのカルパッチョと洋風焼き
それでは料理をしていきましょう。トップバッターは美しい魚体のイトヨリです。それにしても美しいですねー。
他の魚と同じように下処理をしたら頭を落とし(イトヨリに限らず、アラは全て捨てずに取っておく)、三枚ではなく二枚におろして別々に調理します。三枚おろしだと「身・骨・身」となりますが、二枚は「身・骨付きの身」。これなら骨に身が多少ついても、そのまま調理するのでロスがありません。
イトヨリのカルパッチョ
イトヨリは身が柔らかく、そして皮が美しい魚。普通の刺身にするよりは、皮の輝きと歯ごたえを生かした湯霜造り(ゆしも、またはゆじもづくり。霜降り作りとも。魚の切り身に熱湯をかけ、表面にだけ火を通すこと。鯛などの皮目がうまい魚によく用いられる調理法)が良さそうです。
湯霜造りの方法を簡単に説明すると、以下のようになります。
- 2枚におろした身だけの側から腹骨を切り取り
- 流しに立てかけたまな板に乗せて
- キッチンペーパーを皮の上に被せたら
- 熱湯を掛けて
- すぐに氷水で冷やして
- 水分を拭き取る
これで皮にだけ火が通り、生の身と湯引きした皮の両方を一緒に食べられるようになります。
ちょっと味見をしてみたところ、あっさりとした柔らかい白身でおいしいのですが、刺身だとちょっと物足りない感じがあるので、皮ごと薄切りにして、ベビーリーフ、トマトと一緒に並べ、オリーブオイル、塩、胡椒を掛けてみました。
見た目よし、味よしのカルパッチョが完成です。わたせせいぞう先生のイラストを連想させる(個人の見解です)この鮮やかさは、やっぱり蛍光色が美しいイトヨリならではでしょう。
イトヨリの洋風焼き
残った骨付きの身ですが、こちらも洋風に仕上げていきましょう。塩、胡椒、小麦粉を全体に振りかけて、ちょっと多めのオリーブオイルで皮側からきつね色に焼き、ひっくり返して身側も焼きます。
こんがりと焼けた身を取り出したら、そのフライパンにバター少々と玄関の植木鉢から採ってきたローズマリーを加えて加熱して、それをソースとして掛ければ、イトヨリを洋風に焼いたやつの完成です。ソテーなのかムニエルなのかポワレなのかは聞かないでください。
食べ飽きないフカフカの上品な白身に、バターのコクとローズマリーの香りがアクセントとなってくれました。白ワインがよく合いますね。これに醤油をちょっと掛けるとさらに最高!(醤油大好き)
【鮮魚リスト 消化具合の進捗】
- イトヨリ → カルパッチョと洋風焼き
- イサキ
- ハタ
- アオハタ(2匹)
- マトウダイ
- 下処理等で出たアラ
初日の晩酌:マトウダイの刺身、イサキの白子ポン酢
夕食を食べて一息ついたところで、晩酌用のつまみを追加で作っていきます。
マトウダイの刺身
使うのはちょっと独特の形をしているマトウダイ。ヒラメ釣りなどでたまに掛かるので、何度か料理したことはある魚。いつもはバターソテーなどにするのですが、今回は刺身に初挑戦してみましょうか。
マトウダイは捌き方が独特
マトウダイの硬い棘。三枚におろす前にこれを切り落としてしまいます
マトウダイはウロコがないのでそのまま捌きます。腹の下にも硬い骨が入っているので、いきなり頭をおろし、内臓を出したら肝をキープ。尻尾を上にして立てて、棘ごと腹びれを落とし、持ち替えて背びれもカット。
これで棘のない安全な魚になります。ずいぶん小さくなってしまいましたが、頭や中骨も後日使うので、残念がる必要はありません。
ここから身を三枚に下したら、腹骨を切り取って、寝かせた包丁で尾側から皮を引きます。皮が硬くて身が柔らかい魚なので、意外と簡単です。
ここから先がまたマトウダイ独特なのですが、なぜか身が3つに裂けるので、手で優しく分解します。こういう体験、楽しくないですか。あとはお好みの厚さに切れば刺身のできあがり。
マトウダイを生で食べるのは(たぶん)初めてですが、プニュプニュでプリプリなのにサクサク感も備えているという歯ごたえの要素が多い白身でした。タコやウマヅラハギにも少し似ていますが、やっぱりマトウダイ独特の質感と言えるでしょう。
噛んでいるとじわっと旨味が広がってくる癖のない味わいで、また一つ大好きな刺身が増えました。このような知らない味との出逢いこそが、あえてお任せで魚を送ってもらう喜び。これぞ未知との遭遇です。
晩酌に丸々一匹分は多いので、半身は酒で湿らした昆布に包み、ラップをして明日の楽しみにしましょうか。
イサキの白子&マトウダイの肝ポン酢
イサキの白子とマトウダイの肝も、鮮度が良いうちに食べてしまいましょう。酒に浸けて臭みを抜いておき、熱湯でサッと湯通しして(お好みですが肝5~10秒、白子15~30秒くらい)、氷水で冷やしてからポン酢でいただきました。
まずイサキの白子がやばかった。これがトロットロに柔らかくて生臭さは皆無。口の中で溶けていきそうになったところで冷やした日本酒を流し込むと至福です。このイサキはアタリじゃなくて大アタリだったようです。
マトウダイの肝は濃厚の一言。脂肪を蓄える冬場ではないのでサイズこそ小さめですが、こちらも酒との相性はバッチリ。うっかり捨てなかった自分を褒めてあげたい。この白子と肝の晩酌セットだけで、もう魚代の半分は回収できてしまった気がします。
【鮮魚リスト 消化具合の進捗】
- イトヨリ → カルパッチョと洋風焼き
- イサキ → 白子ポン酢
- ハタ
- アオハタ(2匹)
- マトウダイ → 刺身(半身)、肝ポン酢
- 下処理等で出たアラ
二日目の昼飯:イサキの炙りと塩焼き
初日にしっかりとした処理をしてあるので、二日目以降は調理をするだけ。見事な白子で楽しませてくれたイサキを昼食に食べましょう。
実は昨日からずっと悩んでいたんです。これを生で食べるか、焼いて食べるか。せっかくの脂が乗ったイサキなので、やっぱり刺身で食べたいじゃないですか。でも塩焼きにすると最高にうまいんですよ。
どっちを選んでも幸せにしかならない最高の二択。大いに迷った結果、半身は生で炙りにして、残りを塩焼きにする欲張り作戦を決行。選びきれませんでした。
イサキの炙り
頭の横に切り込みを入れて、刺身用の身をとるために背中側から包丁を入れていくのですが、迷いが手元を狂わせました。包丁の刃先が骨から浮いてしまい、一番脂が乗っているお腹のおいしい部分(マグロでいうトロ)が残ってしまいました。あー。
いやでも大丈夫。これなら刺身用に腹骨を取る手間もないし、塩焼きでおいしくいただけるのだから結果オーライ。
自分をそうやって甘やかしながら、骨抜きで小骨を抜いていきます。頭側に引き抜けば簡単に抜けます。そして皮が縮むので包丁で浅く切れ込みを入れておき、刺身に切っておいてからガスバーナーで皮側をしっかりと炙ります。炙ってから刺身にしようとすると、皮が剥がれて難しいですよ。
イサキの炙りの完成です。しっかりと脂の乗った上質の白身、香ばしく炙られた皮、これは一匹全部この食べ方で良かったかも。一日冷蔵庫で熟成させたこともあり、旨味の余韻がすごく長い。幸せ。
送ってくれた魚屋さんが「丸々太った」とわざわざ書きたくなった気持ちがよくわかりました。まだ明るい昼間ですが、あまりにもイサキが素晴らしいので、お酒を飲むのは仕方ないでしょう。たまにはこんな日もあります。
イサキの塩焼き
さあ残りの半身を塩焼きにしていきましょう。身の厚い部分に切り込みを入れて全体に塩を振り、ガスコンロのグリルで焼くだけです。
この塩焼きがまたすごかった。焼いたことで活性化された脂が身の旨味をさらに一段引き上げています。これはテンションが上がる味。きっと相当うまいだろうなと予想したハードルを軽々と超えてきました。特にパリッと焼きあがった皮がヤバい。
そして半身を切り取ったことで、骨についた身がこんがりと焼きあがるという大きなメリットもありました。サンマでもアジでも開きの骨回りの肉を愛しているので、この部分は最高のごちそうです。もちろんうっかり残してしまった腹の身も、忘れられないおいしさとなりました。やっぱり生と焼き、両方を食べて正解でしたね。
【鮮魚リスト 消化具合の進捗】
- イトヨリ → カルパッチョ、洋風焼き
- イサキ → 白子ポン酢、炙り、塩焼き
- ハタ
- アオハタ(2匹)
- マトウダイ → 刺身(半身)、肝ポン酢
- 下処理等で出たアラ
二日目の夕飯:ハタの清蒸(チンジョン)とチャーハン
二日目の夕飯には、精鋭揃いとなった選抜メンバーの中でも主役といえるハタを食べます。寒い冬なら鍋にしたいところですが、さすがにこの時期はちょっと不向き。ならばと丸ごと一匹、中華風の蒸し物である清蒸(チンジョン。白身魚をネギやショウガと一緒に蒸した、高級な中華料理の一つ)にしてみましょう。
ハタの清蒸
程良く水分の抜けたハタを丸ごと蒸せる調理道具が我が家にはなかったので、仕方なく半分に切りました。それを皿に乗せ、紹興酒を少々振りかけて、細切りにしたネギとショウガをたっぷりと乗せて蒸し上げます。お腹にはネギの青い部分を詰め込んでおきました。
蒸し器は持っていないので、中華鍋に小皿を敷き、その上に魚が乗った皿をおいて、鍋に熱湯を注いでからフタをして蒸し上げるという手軽な方法です。
20分ほど蒸したところで仕上げに掛かるのですが、ここでパクチー(香菜)を買い忘れたことに気が付き、絶望の淵を覗きながら余っていたベビーリーフを乗せて、小鍋で熱した胡麻油をジュー。
ミトンを両手に装着して、慎重に取り出したらできあがり。布製よりもシリコン製の耐熱グローブがあればより安全でしょう。
醤油とナンプラーを合わせたタレで熱いうちに食べてみれば、さすがはハタですよ。上品なのに濃い旨味がすごい。しっかりとした筋肉質なのにプリップリで柔らかく、ネギやショウガと一緒に食べると泣けます。ここにパクチーがあったら号泣していたかもしれません。
特にうまいのが顔の部分。頬のしっとりした肉や、口回りのプルプルがたまらないのです。これを店で食べたらいくらするんだろうと下世話な想像をしてしまいます。せっかくのハタだから、尾側の半身は別の料理にしてもよかったかな。生でも焼いても揚げても絶対おいしいですよね。
清蒸のスープで汁だくチャーハン
さて清蒸を食べた後には汁が残りますが、これを無駄にしたら絶対に罰が当たります。もったいないオバケも出まくります。そこで私が毎回やっているのが汁だくチャーハンです。
まずご飯を適当な香味野菜と香ばしく炒めます。今回はミョウガとネギを使いました。
そこにハタから出た最高にうまい汁をジャバっと加えて、塩で味を調えて一煮立ちさせたら完成です。
チャーハンはパラパラ派としっとり派に分かれますが、今日の私はバシャバシャ派。これをチャーハンと呼んでいいのか微妙ですが。しっかりと炒めたパラパラのご飯を最高の汁と食べるちょっと下品な一皿は、家だからこそ可能な贅沢でしょう。
【鮮魚リスト 消化具合の進捗】
- イトヨリ → カルパッチョ、洋風焼き
- イサキ → 白子ポン酢、炙り、塩焼き
- ハタ → 清蒸、汁だくチャーハン
- アオハタ(2匹)
- マトウダイ → 刺身(半身)、肝ポン酢
- 下処理等で出たアラ
二日目の晩酌:マトウダイの昆布締め
この日の晩酌は、もちろん前日に仕込んでおいたマトウダイの昆布締めです。そっと包んでいた昆布を広げれば、そこには飴色に輝く美しき三切れの白身。うっとり。
昨日の刺身から水分が抜かれ、そこに昆布の旨味を吸い込んだマトウダイですよ。これを切って食べてみると、もしかして昆布締めにして一番うまい魚はマトウダイなのかもと思ってしまうほど。
食べれば食べるほど口の中に積み重なってく印象深い旨味成分。ねっとりとした身は昨日食べた刺身とまったくの別物で、どちらもうまいのがすごい。マトウダイ、さらに見直しました。いや、惚れ直しました。
【鮮魚リスト 消化具合の進捗】
- イトヨリ → カルパッチョ、洋風焼き
- イサキ → 白子ポン酢、炙り、塩焼き
- ハタ → 清蒸、汁かけチャーハン
- アオハタ(2匹)
- マトウダイ → 刺身(半身)、肝ポン酢、昆布締め(半身)
- 下処理等で出たアラ
三日目の昼食:魚出汁の塩ラーメン
三日目の昼は、ここまでに出た魚のアラ(塩をしてキッチンペーパーで包んで冷蔵庫で保管しておく)を、ネギ、生姜、昆布(昆布締めに使ったもの)と煮こんだ魚出汁のスープで、塩ラーメンに使ってみよう。
使うラーメンは、別鍋で茹でる生ラーメンタイプではなく、麺に出汁を吸わせるためにインスタントラーメンをセレクト。私の愛するサッポロ一番塩らーめんです。
この魚のアラを使った塩ラーメンは、私が釣りをしたときの定番ラーメン。コツは粉末スープを半分にすること。出汁が濃いのでそれで十分。様々な魚のエキスを存分に吸った麺は驚きのおいしさで、これぞインスタントだからこその味。自分で打った麺でも試したのですが、残念ながらこっちの圧勝となりました。
【鮮魚リスト 消化具合の進捗】
- イトヨリ → カルパッチョ、洋風焼き
- イサキ → 白子ポン酢、炙り、塩焼き
- ハタ → 清蒸、汁かけチャーハン
- アオハタ(2匹)
- マトウダイ → 刺身(半身)、肝ポン酢、昆布締め(半身)
- 下処理等で出たアラ → 魚出汁の塩ラーメン
三日目の夕飯:アオハタのアクアパッツァ
楽しかった「レシピのない魚料理生活」ですが、残すはアオハタが二匹だけ。寿司でも握るか、煮魚にするか、揚げて食べるか。どうしようかなと迷いつつスーパーへ買い物にいったところ、アサリが安かったのでアクアパッツァに決定!
たっぷりのオリーブオイルで潰したニンニクを焼いて香りを移し、アオハタを二匹とも投入。片面がしっかりと焼けたところでひっくり返し、アサリ、プチトマト(買い置きがあると思っていたドライトマトは切れていた)、ローズマリーを加えて、そこに水ではなく例の魚出汁をジャバーっと掛けます。
フタをしてしっかりと沸騰させて、アサリの殻が開いたら自分で育てたサヤエンドウとタラノメを加え、塩で味を決めたら完成です。
さすがは小さくてもハタの仲間、ブリンブリンの白身が見事。アサリとトマトという味の濃い援軍も加わり、鍋の中は旨味の大合唱状態。私の中のリトル玉置が「ウマスギーノ!」と叫びました。
そしてなんといってもうまいのが汁です。ベースが魚のアラを煮たダシで、それで作ったアクアパッツァの汁なのですから文句無し。アオハタだけにパンとの相性は最高だろうと(※ジャムのアヲハタと掛けています)、バターをたっぷりと塗ったトーストを浸して食べてしまいます。そりゃ旨いに決まっているさ。
パンで吸い切れない汁も、一滴たりとて無駄にはしません。硬めに茹でたパスタと合わせて吸わせましょう。そう、私は魚の味が染みた炭水化物が大好物なのです。
仕上げにチーズを削ったら完成です。味付けは塩くらいですが、煮詰まった魚のスープが最高の味に仕上げてくれました。
今日の記事、「最高」っていう言葉を使い過ぎですが、その都度本気で思っているのだから仕方がないですね。白身魚の宝石箱、ごちそうさまでした。
【鮮魚リスト 完食!!】
- イトヨリ → カルパッチョ、洋風焼き
- イサキ → 白子ポン酢、炙り、塩焼き
- ハタ → 清蒸、汁かけチャーハン
- アオハタ(2匹) → アクアパッツァ、パスタ
- マトウダイ → 刺身(半身)、肝ポン酢、昆布締め(半身)
- 下処理等で出たアラ → 魚出汁の塩ラーメン
こうして届いた魚を3日間に分けて食べたのですが、送られてきた発泡スチロールを開けた瞬間からずっと楽しかったです。どう食べようかと考えている時間、迷いながら料理する時間、もちろん味わっている時間、そのすべてが至福の時でした。
下処理済みなら魚に不慣れな人でも挑戦しやすい
同じタイミングで魚を捌くのに慣れていないソレドコ編集部の方が、新潟県の佐渡島から取り寄せしたのは「佐渡天然お魚セット 標準タイプ[下処理済]」という送料・税込み3,980円の商品。写真と感想を送っていただいたのですが、こちらもまた魅力的でした。
【ソレドコ編集部より】
左上から時計回りにカレイ(2匹)、イシダイ、アジ(3匹)、ソイ、マダイ、マハタが届きました
頭付きの魚を捌くのがどうも恐ろしく、スーパーでは切り身しか買ったことのない人間でしたが、覚悟を決めて捌いてみると、三徳包丁とよく切れるキッチンバサミがあれば意外となんとかなってくれました(刺身になるはずだったアジがタタキになっていた、といったトラブルはありましたが……出刃包丁は絶対に買います)。
下処理済みのセット(腹が開けてあり、ウロコとエラも取ってある)を選んだので、ゴミが少なかったのもよかったです。刺身、ソテー、煮付け、塩焼きと味わい倒し、一人暮らしでも3日間でおいしく消費できました。特に子持ちカレイの煮付けが最高! また頼みたいです!
🐟🐟🐟
どんな魚が来たとしても、それが新鮮でおいしければ楽しめるので、私にとって「魚ガチャ」にハズレなんてあり得ません。同じ魚屋さんで注文を続けて季節の変化を楽しむのもいいし、取り寄せる地域を変えて漁港巡り気分を味わうのも楽しそうですね。
送られてくる魚の組み合わせは毎回違うし、料理方法はいくらでもあるのだから、何度でも新しい物語を生み出すことができます。たとえ今は魚料理が苦手でも、やればすぐに身につくはず。魚料理、楽しいですよ!
著者:玉置標本
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。
Twitter:@hyouhon ブログ:私的標本、趣味の製麺
ソレドコでTwitterやってます!
今回紹介した商品
「鮮魚 詰め合わせ」を詳しく見る
「出刃包丁」を詳しく見る
「刺身包丁」を詳しく見る
「ウロコ取り」を詳しく見る
「キッチンペーパー」を詳しく見る
「魚料理 本」を詳しく見る
「骨抜き」を詳しく見る
「クッキングバーナー」を詳しく見る
「蒸し器」を詳しく見る
「中華鍋」を詳しく見る
「耐熱グローブ」を詳しく見る
「サッポロ一番塩らーめん」を詳しく見る
「ドライトマト」を詳しく見る