こんにちは。福岡県出身&在住のライター、大塚たくまです。
おいしいものが好きで、地元では「福岡めんたいこ地位向上協会」(めん地協)のメンバーとして、めんたいこの地位向上を図る活動をしています。
突然ですが、皆さんは「キャビア」を食べたことはありますか。
ぼくは結婚式のコース料理でちょっとのってるのを食べたことがある程度です。食べても、どれがキャビアの味なのかはよく分かりませんでした。
実際、みんなは「キャビアの味」って分かってるの……? そう思って、ぼくはTwitterで尋ねてみました。
キャビアの味って、わかりますか?
— 大塚たくま|株式会社なかみ (@ZuleTakuma) 2021年10月28日
7割弱が「分からない」という結果に。やっぱり、多くの人がキャビアの味を分かっていませんでした。
なんでこんなことを言い出したかといいますと……実は今、全国各地で「チョウザメ養殖」が増えていて、「国産キャビア」が次々と誕生しているらしいのです。
キャビアといえばフォアグラ・トリュフと並ぶ世界三大珍味の高級食材。日本でチョウザメ養殖? 国産キャビア?? いったい何が起こっているの……???
福岡めんたいこ地位向上協会の一員として、他の魚卵の動向(?)も探っておきたい。というわけで、今回は国産キャビア生産がさかんな宮崎県のジャパンキャビア株式会社(以下、ジャパンキャビア)の社長・坂元基雄さんにお話を伺いました。
ジャパンキャビアは、宮崎で一番最初に本格的な商品化に成功した、いわば「国産キャビアのパイオニア」。坂元社長はチョウザメの魅力にとりつかれ、社長自らキャビアレシピを開発しまくっているという、正真正銘「キャビア沼」の住人です。
社長のお話を聞いて、ぼくは「キャビアはもっと気軽に楽しんでいい」と知ったのでした。みなさんもきっと、この記事を読み終わった頃にはキャビアを身近に感じているはずです。
ジャパンキャビア株式会社 代表取締役社長。
チョウザメの魅力にとりつかれ、建設会社の営業マンから転身、独立。
社内で一番キャビアへの情熱が強い。同社のキャビアに付属しているレシピは、社長自らが考案し、自宅キッチンで調理したもの。
公式サイト:https://www.japancaviar.jp/
Twitter:@Jcaviar1983
【おいしいキャビアってどういうもの? 楽しみ方を教わった】
まずはキャビアを食べてみよう
キャビアについてお話を聞く前に、そもそも、ぼくはキャビアを「キャビア」と認識して味わったことがありません。ということで、まずはキャビアと向き合ってみることにしました。
キャビアはチョウザメの卵巣をほぐして、塩漬けにしたもの。高級食材として知られ、日本でもパーティー料理などで使われますね。
今回は、輸入品のキャビアと、ジャパンキャビアの国産キャビアを食べ比べてみることにしました。
まず食べてみたのは輸入キャビア。キャビアを単独で食べるのは初めてかも
単体で食べてみると、感想としてはシンプルに「魚卵」。凝縮したイクラのような味がします。おいしい。
そして、国産キャビア。ジャパンキャビアの製品です
輸入キャビアと比べて、粒の皮がやわらかい。そして、プチッと弾けてみずみずしく、豊かな風味を感じました。
同じキャビアなのに、2つはまったく違う味わいでした……。まさかキャビアの味にこんなに差があるとは。キャビアを知るためにキャビアを食べたら、ますます謎が深まってしまいました。
イクラ、カラスミ、数の子……日本の魚卵との戦い
インタビューに答えてくれた坂元社長、取材はリモートで実施しました
── 取材の前に輸入キャビアと国産キャビアを食べ比べてみたんです。国産の方がやわらかく、みずみずしい印象がありました。風味も豊かに感じましたね。
海外産は粒が硬くなる傾向があり、塩分が強めですね。
── なぜでしょうか。
海外産はつくってから輸送するのに時間がかかります。長持ちさせるために、塩気が強かったり、保存料を使われたりする場合があるんです。また、低温殺菌することも多く、粒が硬くなってしまうんです。
── なるほど。国産キャビアは、そういった長時間の保管をする必要がないので、フレッシュなんですね。
口溶けが良くて、クリーミーになりますね。国産は塩分が控えめなので、キャビア本来のうま味を感じやすいんですよ。
── キャビアの味って、分かるようになるものなんですか。
私も最初、キャビアの味って分からなかったんですよ。「なんだ、このしょっぱくてプチプチしたものは」って感じで。「なぜこんなに高いの?」というのが正直な感想でした。
── でも、やっぱり本当においしいものは、とびっきりおいしいんでしょう。
おいしいです。私もこの業界に入って、世界中のキャビアを食べていくなかで、本当においしいキャビアに出会いました。「これが本物のキャビアの味なんだ」と感動すると同時に、「あまり大したことがないな」とも思ったんです。
── えっ!? そうなんですか。本物のキャビアの味にたどり着いたのに???
はい。日本にはもともと魚卵を食べる文化があるじゃないですか。イクラとかカラスミ(ボラの卵巣を塩漬けして干したもの)とか数の子(ニシンの魚卵)とか。どれもとってもおいしい。それと比べたら海外のキャビアって、味だけで比較したらちょっと……。
── ちょっと……?
「日本のおいしい魚卵にはかなわないんじゃないか」って思ったんです。
── えーっ、本当ですか! つまり、それほど日本で食べている魚卵の品質は良いということなんですね。
(写真提供:ジャパンキャビア株式会社)
その通りです。日本の魚卵は素晴らしい。だからこそ、私たちの目標は「日本人がおいしいと思えるキャビアをつくること」なんです。おいしいと思われないと日本では他のおいしい魚卵たちに負けてしまう。
── (めんたいこも負けていられない……)ちなみに坂元社長は、どんなキャビアがおいしいキャビアだと思いますか。
メーカーと魚種によって好き好きあるとは思うんですが、私のなかではヘーゼルナッツのような香りがする、うま味の強いキャビアがおいしいと思います。高級品種である「オシェトラ」というチョウザメのフレッシュキャビアがそれに当たりますね。
── なるほど。やはり「香り」と「味」なんですね。
メーカーはそこに命をかけていると思います。
キャビアをクラッカーにのせるのはやめてほしい!
── キャビアの「香り」と「味」の違いを楽しむ食べ方ってありますか。
キャビアを食べた後、鼻から息をしてみてください。そうすると、潮の香りがするんですよ。山奥の淡水で育てているうちのチョウザメのキャビアも潮の香りがします。
── 遺伝子レベルの潮の香り……?
そうなんだと思います。不思議というか、すごいですよね。
── 坂元社長がおすすめするキャビアの食べ方を教えてほしいんですけど。
まず最初にお伝えしたいのは「キャビアをクラッカーにのせるのはやめてほしい!」ということですね。
── えええ!? あれこそ、定番じゃないんですか?
一般的なイメージだが……(写真:AC)
私はいろんなところで言っているのですが、もともとキャビアはクラッカーではなく、「ブリニ」というものにのせるのが主流なんです。ブリニはロシア料理で、そば粉入りのパンケーキですね。味が薄いものです。
── いや、ぼくもクラッカーにのせて食べたんですよ。でも、キャビアの味がクラッカーの塩味に負けて、全然分からなくなって。クラッカーがよくなかったのかな? と思ったんですが。
クラッカーだとそうなるんですよ。キャビアのクリーミーな口溶けも、全然分からなくなってしまいます。大体、塩分の強いキャビアに塩分の強いクラッカーを合わせるって、ありえない! そう思いませんか?
── めちゃくちゃ熱く語りますね……。それほど、ぼくらはキャビアとしっかり向き合ってこなかったんでしょうね……。何か気軽に試せる、キャビアをのせておいしいものってあります?
お寿司はおすすめです。おいしいのはもちろんですが、自宅でパーティーをするときに、出前のお寿司にちょっとキャビアをのせるだけで「すごい寿司がきたぞ!」という気分になります。
確かにお寿司にのせると気分が上がった
── 「なんだかすごいパーティーにきたぞ」という気にもなるかもしれません。
キャビアって、ちょっと特殊な食材だと思うんです。おなかいっぱい食べるものじゃないし、いつでも食べられるものじゃないので。
── 確かに、「晴れの日」や記念日の料理にちょっとのっていると、テンションが上がります。「俺、キャビア食ってるんだぞ」という満足感。
ゲストのそんな気持ちを演出できるところも、キャビアのいいところなんです。
── 上にのせるだけで、みんなが喜んでくれるんだから、いいですよね。
自宅でパーティーをするときに手土産にキャビアを持っていくと盛り上がりますよ。
── あー、それいいですね。面白そう。話題にもなるし、いろんなパーティー料理にのせてもおいしいですからね。
それと、大塚さんは、キャビアにお酒を合わせるとすると、どんなお酒を合わせますか。
── ワインとか、シャンパンのイメージですけど……。
実は辛口の日本酒が合うんですよ。
── おおおー。そうなんですね。他の魚卵と同じですね。
シャンパンは泡で臭みを消してくれるので合いますね。ワインは「シャブリ(フランス・ブルゴーニュ地方でシャルドネ種からつくられる白ワイン)」などが良いとされていますが、キャビアの臭みを引き立てるような特徴があるので、あまり合わないと思います。あと、ウォッカも合いますね。
── けっこういろんなお酒と合うんですね。
特にウォッカは、うちでもキャビアに合うキャビアウォッカを開発しているくらいですよ。
── ウォッカも開発するとは。キャビアをおいしく食べるための準備が進んでいっているんですね。
【古代から現代に至るまで、キャビアの歴史を聞いた】
キャビアはもともと労働者の食べ物だった
── 楽しみ方を知ったところで、そもそものキャビアの歴史を教えていただきたいんですが、どれぐらい昔から食べられていたものなんですか。
実は、古代エジプトの時代までさかのぼるんですけど……。
── そんなにさかのぼるんですか!
チョウザメは結構たくさん取れていた上、魚卵は栄養が豊富なので、かなり重宝されていました。塩漬けにして麻袋に詰めて、保存食にされていたようなんです。
── 昔から高級食材だったんですか?
いえ、実は昔はまったく高級食材ではなくて……。労働者が食べるものだったようです。逆にチョウザメの身は高級食材とされていたそうです。今とは反対ですね。
── ええっ。それは意外ですね。
バターのような調味料として使われていたようで、パンに少しキャビアを塗れば、それで1日働けると。塩漬けということで塩分も多く、労働者にとっては最高の食材だったんですね。
── 高級食材となったのは、いつごろだったんでしょうか。
『キャビアの歴史』という本によると、キャビアが高級食材へと変貌したのは、ロシアの女帝エカテリーナ2世(在位1762-1796年)の統治時代だったようです。ロシア最後の皇帝ニコライ2世(在位1894-1917年)の時代になると、皇帝に献上されるキャビアは11トンにも及んでいたとのこと。驚きですね。
── 一気に、今から100年ほど前の話になっちゃうんですね。
労働者階級が食べていた、つまり当時の人からすればわりと粗末なものという扱いだと思うのですが、それが高級品として復活するという歴史はすごいですね。復活のときに、現在のような黒い粒々がはっきりとしたものに?
高級食材になったのは100年ほど前(写真提供:ジャパンキャビア株式会社)
そうですね。ニコライ2世の時代から今のようなキャビアになったようです。ロシア帝国がヨーロッパに勢力を拡大していくにつれ、ヨーロッパに高級食材としてのキャビアが伝わっていったんです。
── なるほど。そうやって世界に広まっていったんですね。そんなキャビアが日本で広まったのはいつごろの話なんでしょうか。
日本に持ち込まれたのは、はっきりと何年ということは分かりませんが、比較的新しいと思います。日本のキャビア輸入量がグンと増えてくるのは、バブル期(1980年代後半から90年代にかけて)なんですよね。
── おお、分かりやすい。お金持ちがキャビアとドンペリでパーティーをするみたいな。
その通りです。そういう使われ方が増えてきて、知名度が上がっていきました。
町おこしのために「国産キャビア」が増えている
── 輸入品ではなく、「国産キャビア」が最初にできたのは、いつ頃の話なのでしょうか。
最初の国産キャビアは、岩手県の「釜石キャビア」です。2003年に国産初のキャビアを発売しました。
※釜石キャビア……日本初の養殖キャビアの商品化を果たしたが、2011年の東日本大震災で壊滅的な被害を受け、生産できなくなった。
── それ以前は国産のキャビアはなかったということなんですね。とすると、国産キャビアは、バブル期にはやったものとは違う?
そうですね。国産キャビアが食べられるようになったのは、まだ20年ぐらいの浅い歴史だと思いますよ。でも、今では宮崎だけではなく、全国いろいろなところでキャビアの生産に取り組む地域が増えてきています。
同じ宮崎県だと椎葉村の「平家キャビア」、他の道県では、愛媛県四国中央市の「法皇キャビア」、 香川県東かがわ市の「瀬戸内キャビア」、北海道美深町の「美深キャビア」……などなど。
── へぇぇ。四国から九州から北海道までいろんなところでやってるんですね! なぜこんなに広がっているんですか?
宮崎で成功したと聞いたから、他の地域でも成功を夢見て取り組むようになりました。「ご当地キャビアで町おこしをしたい」んですね。
── そんな簡単に「つくろう」と思えば取り組めるものなんですか。
簡単そうに見えて、実は高いハードルがあるんですよ。
チョウザメは非常に強い魚なんです。恐竜よりも前の2億5、6千万年前から、この地球上に同じ姿でいる魚ですからね。生命力が強いんです。病気にもなりにくいので、養殖はやりやすい魚です。
チョウザメは「強い魚」だという(写真提供:ジャパンキャビア)
── 養殖自体はやりやすいんですね。
ビジネスとしての計算がしやすいのも利点です。だいたい10kgの個体から、1割の重さ、つまり1kgのキャビアが取れます。弊社では1kgで50万円の価値があります。
── 1匹の卵で50万円になる魚なんて、なかなかいないですよね。
例えば、メスのチョウザメを1,000匹養殖すれば5億円の価値になります。成功イメージが描きやすいんですよ。ただ、キャビアって卵が取れれば終わりじゃないので……。
── 卵が取れれば終わりじゃない? どういうことですか。
採卵してから稚魚を孵化(ふか)させるまでの「完全養殖」、卵を取ってからの「製品開発」。この2つができている地域はそこまで多くないんですよ。
しかも「完全養殖」と「製品開発」は、まったく別の話です。
完全養殖というのは本当に長い道のりなんです。
まず稚魚を親に育てて、その親から卵を取って、その卵を人工孵化させます。そしてその稚魚をまた親にして卵を取り、人工孵化させて稚魚にできないといけない。3世代かけて、やっと初めて完全養殖成功といえます。
製品開発というのは言葉通りですが、完全養殖のチョウザメからとれた卵をキャビアに加工し、ブランディングして販路を開拓するということです。
それぞれにそれぞれの高いハードルがあります。
チョウザメの「完全養殖」には20年かかる
(写真提供:ジャパンキャビア)
── 改めて、「完全養殖」「製品開発」それぞれの難しさについて教えてください。まず完全養殖について教えてほしいのですが……。その前に、そもそも宮崎で国産キャビアをつくるきっかけは、なんだったんでしょうか。
1983年に、旧ソ連から⽇ソ友好の証しとしてチョウザメが贈られてきて、宮崎県の水産試験場で飼育研究がスタートしたことがきっかけですね。
宮崎県水産試験場は、1991年に日本で初めて人工孵化に成功します。そして、2004年に日本で初めてチョウザメの完全養殖に成功したのも宮崎県水産試験場なんですよ*1。
チョウザメからキャビアが取れるまでには生後10年前後かかるんです。つまり、最初の稚魚をつくるのに10年、稚魚が大人になるのに10年。完全養殖には20年かかるんです。
── な、長い。20年も時間がかかっていたら高級品なのも分かる気がする……。そうして成し遂げた完全養殖って、素晴らしい地域資源ですね。
そこから宮崎で民間でのチョウザメ養殖がスタートしたんです。
── ぼくは福岡に住んでいるんですが、恥ずかしながら、宮崎に対してあまり「キャビア」というイメージは持っていませんでした。結構、知られていますか?
県外に行くと、そこまでの知名度ではないというのが現実なんでしょうね。
宮崎県知事の名刺にもキャビアが印刷されているんですよ。実際、名刺を受け取った方もびっくりされているそうです。やっぱり、キャビアって寒いところの食材というイメージがあるので。
── 確かに。南国・宮崎で「キャビア」と言われると、不思議な感じがするかも。しかも、チョウザメの養殖って、宮崎の山奥でやってるんですよね?
山奥の施設で養殖している(写真提供:ジャパンキャビア)
もともと山の中に鮎を育てる養殖施設があったんです。そこを有効活用しているところが多いです。今の日本の法律だと、河川法や農地法の関係で新たな養殖場をつくるのが難しいという背景もあります。
もう一つ大事なところは、山の奥だと、それより上に人の生活がないことです。生活排水が川に流れてこないから、水質への影響も心配しなくていいので。
── なるほど。そんな背景があるんですね。とはいえ、チョウザメの生育に適した環境って、寒い地域なんじゃないんですか?
海外の専門家でも、チョウザメの養殖を始めた頃「南国・宮崎でチョウザメが育つわけない」という意見が主流でした。水温が高いから、チョウザメには良くないと。しかし、実際に養殖してみると、水温が高い分、むしろ成長が早いということが分かったんです。
── すごい! 想定と違っていたのか。
北海道のチョウザメと比較すると、宮崎のチョウザメは1〜3年早く卵を持つようになります。
何百回、何千回とやり直してたどり着いた「熟成技術」
キャビアの熟成(写真提供:ジャパンキャビア)
── 次に、 卵を取ってからの「製品開発」について教えてください。具体的にどのような加工をするんでしょうか。
本場のキャビアは短いものでも3カ月は熟成します。長いものになると6カ月とか1年かけて熟成する。うちのキャビアも、熟成してうま味を伸ばしてクリーミーさを加えています。
── 熟成することで、うま味が濃くなるということですか。
そうです。あるとき海外に視察に行ったときに、「実はキャビアって、熟成して寝かせるんだよ」と教えていただいて。ワインとかチーズみたいに寝かせることで、うま味が出る食材だというのを知りまして。
── 海外から熟成技術を学んだんですか。
いや、それが熟成技術は各社の企業秘密なんですよ。絶対に教えないんです。だから、独自の熟成方法にたどり着くまで、何百回、何千回とやり直しているんです。つくっては寝かせ、つくっては寝かせ……。塩を薄くし過ぎると腐ってしまうし……。
熟成技術は企業秘密(写真提供:ジャパンキャビア)
── 気が遠くなるほど大変そうですね……。
とにかく「菌」との戦いです。雑菌を繁殖させたくないけど、熟成はしたい。適切な温度帯、適切な熟成方法、熟成する容器、温度や湿度の環境……そういったものを変えながら試作を繰り返します。
── うわ……。それ、20年かかった完全養殖の後にやったことですよね……。研究にはどれぐらいかかってるんですか。
製品化するまでに3年ほどかかり、研究は今でも続いています。
── ぼくは軽い気持ちで瓶から取り出してペロッと食べてますけど、その奥にはとてつもない歴史と努力があるんですね……。
そうなんです。だから、町おこしの夢は描きやすいけど、決して簡単ではありません。
── 熟成は企業秘密で誰も教えてくれない、と。だから高級品なのか~。
【ジャパンキャビアの今後の展望を聞いた】
「飾るキャビア」ではなく「食べるキャビア」にしたい
卵×卵の「卵かけごはん」(写真提供:ジャパンキャビア株式会社)
── 坂元社長は国産キャビアの「パイオニア」として、キャビアをどのようにしていきたいと考えているんでしょう。
私たちは「日本でキャビアを食べる文化を育てたい」と思っているんですよ。今はキャビアは食べるものではなく、飾るものなんですよね。
── ぼくもずっと「飾るもの」というイメージでした。
海外にはキャビア専門のレストランがあるくらい、キャビアをバクバク食べるんですよ。それくらい日本でも食べてほしいです。
── そんなキャビアの食文化をつくるために、どんなことに取り組んでらっしゃいますか。
今取り組んでいるのは、「和テイストのキャビア」です。日本ならではの醤油、昆布のうま味や出汁をキャビアと合わせることで、日本にしかないキャビアをつくっています。
── おお! 和食にも合わせられるかも。
そうです。日本人でも「おいしい」と思える「和キャビア」です。
── 日本人が「チョウザメの卵」と本気で向き合い出したらどうなるのか、というのがいよいよ味わえるということですね。これは面白そう。
もっとキャビアに親しんでくれる人が増えるように、頑張ります。
── 本日は貴重なお話をありがとうございました。
キャビアをもっと自由に楽しもう
こんなにキャビアを食べたのは初めてだった
坂元社長のお話を聞いて印象的だったのは、「日本人がおいしいと思えるキャビアをつくりたい」という言葉。
魚卵と親しんでいる日本だからこそ、世界で一番おいしいキャビアがつくれるんじゃないかと感じさせられました。日本の誇りを背負って生産されている、ジャパンキャビアの国産キャビアは絶品です。
キャビアと言われると肩肘張っちゃいがちだけど、もっとフランクに楽しんでいいことも分かりました。卵かけごはんで食べてもいいんですよ?
思っていた以上に、キャビアの世界は面白い。みなさんもぜひキャビアと仲良くなってみませんか。手間暇かかった高級食材ですが、国産だから「ふるさと納税」もありますよ。
「国産キャビア」各地で追随するところが出てくるかも注目したいと思います!
楽天市場「まち楽」では、「国産キャビア」のような「日本全国のいいもの・おいしいもの」で地域を応援しています!
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「おいしい魚にかける思い」を知ってほしい
著者:大塚たくま
福岡に住む、九州を愛するライター。ライター活動の傍ら、テレビやラジオ出演、クラファンの企画などを行う。地元の食文化を応援するため「福岡めんたいこ地位向上協会」を立ち上げ、めんたいこを楽しむ食文化の創造に取り組み、YouTubeなどで活動中。Twitter:@ZuleTakuma
ソレドコでTwitterやってます!
今回紹介した商品
「ジャパンキャビア」を詳しく見る
「オシェトラ フレッシュキャビア」を詳しく見る
「1983 JCAVIAR ウォッカ」を詳しく見る
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*1:2003年に商品化に成功した「釜石キャビア」は完全養殖ではない養殖のチョウザメからとれた卵でキャビアをつくっていた。