「アイス好きをもっとアイス好きに」をモットーに、日々アイスクリームのおいしい食べ方を研究しているシズリーナ荒井と申します。
今までに、北海道から沖縄まで5万個以上ものアイスクリームを食べ続けている私ですが、その中でも一番記憶に残っているアイスクリームがあります。
そのアイスクリームこそが「スノーロイヤル」。
濃厚なミルク感でありながら、後味は重くなくキレがあり、軽やかな食感。そして、道民おなじみの喫茶店「雪印パーラー」(1961年創業)でしか味わえないという特別さ。「スノーロイヤル」という名前の由来。どこをとっても至高というべきアイスクリームなのです。
スノーロイヤルは1968年に誕生して以来、今でも雪印ブランドの一つとして引き継がれています。ですが、50年以上前にここまでの味に至った味作りについての詳細は未だにあまり公になっておらず、秘密のベールに包まれている謎多きアイスでもあるのです。
そこで、雪印パーラーの喫茶店の店長を歴任し、厨房に入ったりアイスクリーム製造にも携わったりもしていた、日本一「スノーロイヤル」について知り尽くす雪印パーラーの佐々木さんにお話を伺ってきました。すると、そこには想像以上のこだわりと伝統があったのです。
今回は、そんな「スノーロイヤル」の秘密だけでなく、おすすめの食べ方や、お店の味を再現する方法も紹介しています。ぜひ、通販で購入し、至高のアイスクリームを味わってください!
【編集部より】
北海道でしか食べられないのかと思った方も、ご安心ください。楽天市場に雪印パーラー公式ショップがあります!
1日20個の限定販売ではありますが、おうちにいながら「スノーロイヤル」の味を楽しめますよ。
🍨もくじ🍨
※取材はリモートで行いました
アイスマニアでは知らない者がいないスノーロイヤル
まず、スノーロイヤルとはどんなものなのか、簡単に説明いたしましょう。
その1:昭和天皇のために作られたアイスクリームである
このアイスが生まれたのは1968年。
北海道百年記念式典で北海道を訪問する昭和天皇のために、宮内庁から「最高のアイスクリームを作ってほしい」という依頼があり、種々の配合による2年間の試作の後、かつてないタイプ(後述の「その2」)のアイスクリームが完成。「スノーロイヤル」と名付けられました
その2:乳脂肪分が高く、ミルクの風味が濃厚
アイスクリームには「乳固形分」が含まれており、乳固形分は「乳脂肪分」と「無脂乳固形分」に分かれます(のちほど詳しく説明します)。
乳脂肪分が多ければ多いほどミルクの風味が良く、味も濃厚になるのですが「スノーロイヤル」は乳脂肪分だけで15.6%もあります。これは現在でも、コンビニエンスストアでも買えるハイクオリティなアイスクリームグレードを上回る成分数値なのです。
今でこそ濃厚なタイプも買えるようになりましたが、50年前はとても希少で画期的でした。それだけ濃厚な味わいでありながら、後味がキレて重くなく、あっさり食べられます。
その3:北海道限定!
基本的には、北海道にある雪印パーラーの喫茶店でしか食べられません。現地に行かなければ食べられない、究極のアイスクリームなのです。
なお、現在は楽天の公式ショップでのみ、通販でも購入可能です。
▶雪印パーラー公式ショップ(楽天)
……という、アイスマニアでは知らないものがいない「スノーロイヤル」ですが、知りたいことがたくさんありまして。佐々木さんにお話をうかがえてうれしいです。深掘りさせていただきます!
こちらこそ、今回の取材でスノーロイヤルの魅力がより多くの人に伝わったらうれしいです。お手柔らかによろしくお願いいたします。
お話を聞いた人
佐々木栄太郎さん
1990年に雪印パーラーに入社。本店喫茶部を経て、小樽店店長、千歳空港店店長、本店店長を歴任。2007年よりe-shop事業部を担当し、現在に至る
スノーロイヤルとは、昭和天皇・皇后両陛下のために作られた特別なアイスクリームであるという、インペリアルなエピソードは有名ですよね。
ありがとうございます。
でも、そのエピソードが先行し過ぎて、大切な味作りに対しての評価の声が小さくなってしまっていると思うんです。そこで今回は、スノーロイヤル自体の味作りや販売に対するこだわりについて、うかがっていきたいと思います。
具体的には、先ほどのまとめの「その2:乳脂肪分が高く、ミルクの風味が濃厚」と「その3:北海道限定!」について教えてください!
分かりました。答えられないこともあるかもしれませんが、できる限りお答えいたします。
スノーロイヤルのおいしさの秘密は3つある
私の中では、スノーロイヤルは特別なアイスなんです。北海道に行ったら必ず雪印パーラーの喫茶店に寄って、食べるようにしています。
やっぱり、ミルクの風味が別格というか。これだけ味わいがしっかりとしているのに、しつこくなくていくらでも食べられると言いますか。
まるで牧場で食べるアイスクリームのような味わいなんですよね。
昔からそう言っていただける方がとても多くてありがたいです。私もアイスの中ではスノーロイヤルが一番好きですね。
味は昔から変わっていないんですか?
はい。1968年に生まれてから、素材は変えていませんし、味もまったく変わっていません。
主張が激しくないので、パフェとかにも合いますよね。
おっしゃる通りです。雪印パーラーで食べるパフェには、スノーロイヤルを使っているものもあります。
パフェも雪印パーラーでこれまでたくさん食べてきました! やっぱりスノーロイヤル、おいしいですよね。おいしさのポイントは何でしょうか?
おいしさのポイントは簡単にいうと、
- ポイント1:食感
- ポイント2:乳脂肪分が豊富
- ポイント3:卵不使用
だと思っています。
なるほど、その3点について詳しく教えてください。
ポイント1:綿雪のようなふわっとした食感
まずはスノーロイヤルの食感について教えてください。名前の通り、雪のようなふわっとした食感ですよね。
アイスクリームの食感は、含まれている空気にも影響されます。「スノーロイヤル」は独特の綿雪のような食感を生み出すために、空気含有量を高めに設定しています。
確かに、軽やかさを感じます……!
🍨アイス用語解説🍨
【空気含有量】
アイスに含まれている空気の量。「オーバーラン」とも言われる。空気が多く含まれていればいるほど、ふんわりとした口当たりになり、軽くさっぱりとした味わいになる。
ただし、空気が多いほど、風味は感じやすくなるものの甘みや冷たさを感じにくくもなってしまう。
綿雪のような独特の食感
スノーロイヤルの、濃厚な味わいながらも後味のキレの良さがあるのは、この食感によるところも大きいんです。
なるほど。あのキレは、材料の工夫で生み出しているんだと思っていました。
ポイント2:豊富な乳脂肪分による濃厚なミルク感
食感が綿雪のようで軽いのに、なぜ濃厚さも感じるのでしょうか?
そこは企業秘密なんですが……。
そこをなんとか! 話せる範囲だけでもうかがえませんでしょうか……!
……そうですね。シズリーナさんにスノーロイヤルの特徴として挙げていただいた、乳脂肪分が15.6%と豊富に含まれているのが重要なポイントなんです。
🍨アイス用語解説🍨
【乳脂肪分】
アイスクリームなどの乳製品には水分以外の「乳固形分」が含まれています。この乳固形分は「乳脂肪分」と「無脂乳固形分」に分かれるのですが、乳脂肪分は脂肪分のこと。バターやクリームの主成分で、基本的には乳脂肪分が多ければ多いほど、ミルクの風味が強く、濃厚な味わいになります。
【アイスクリームの分類】
アイスは乳固形分の量と、その中に「乳脂肪分」がどれだけ含まれるかによって、種別が分かれます(ラベルにも必ず記載されているので見たことがある人も多いでしょう)。
- アイスクリーム:乳固形分15%以上 うち乳脂肪分8%以上
- アイスミルク :乳固形分10%以上 うち乳脂肪分3%以上
- ラクトアイス :乳固形分3%以上
- 氷菓 :上記以外のもの
ただ、乳脂肪分が高いだけではおいしさには直結しません。味作りで大切なことは、無脂乳固形分と乳脂肪分との配合のバランスです。
スノーロイヤルはどのぐらいのバランスなんでしょうか。
スノーロイヤルでは、無脂乳固形分は8.5%、乳脂肪分は15.6%のアイスミックス(アイスクリームの原料)を使っています。この絶妙なバランスによって、しっかりとした味わいと軽やかさを両立しています。
なるほど。濃厚でありながらクドさを感じさせない秘密なんですね。
ポイント3:卵不使用による後味のキレと軽やかさ
それと、スノーロイヤルの特徴といえば、卵を一切使用しないで作っているという点も挙げられます。これも後味のキレ、軽さに関係しています。
雪のように真っ白なのも、卵を使っていないからですよね。
仰るとおりです。
ちなみに、スノーロイヤルの姉妹品として、卵を使った「エクセレンス」というアイスクリームも発売されていたんですよ。
懐かしい……! ありました、ありました!
エクセレンスは卵を使用し、空気含有量も低めで重厚感のある口溶けのアイスクリームだったと記憶しています。甘さも控えめで女性に大変ご好評いただいていました。
スノーロイヤルとは逆に、卵を使用されていたんですね!
エクセレンスは砂糖を減らした分、卵を使用してコクを生み出したアイスです。食感は、スノーロイヤルよりは少し固めでしたね。
スノーロイヤルは、卵を使わないからこそ、乳脂肪分のバランスや空気含有量にかなりこだわっています。
なるほど、スノーロイヤルの味の秘密がなんとなく分かりました。
他のこだわりとしては、北海道産の乳原料を100%使用しています。この乳本来のおいしさを楽しんでいただけるように、甘さも控えめに調整しています。
確かに、濃厚でしっかりとミルクのおいしさやコクを感じられますよね。
繊細な作りのスノーロイヤルの質を守るため北海道限定に
スノーロイヤルは北海道以外ではまったく目にすることがないのですが、なぜ北海道限定なのでしょうか?
ここまででご説明してきたように、スノーロイヤルは味や食感、色にまでこだわり過ぎてしまい、とても繊細な作りのアイスクリームなんです。
雪のように真っ白な「スノーロイヤル」
ということは、今作っている場所以外では作りにくいということでしょうか?
はい。別の環境で作って、質が落ちてしまっては元も子もありません。品質とブランドを守るためにも、会社のルールとして販売エリアをしぼることにしました。
現在では北海道および、雪印パーラー直営店、そして通信販売のみでのお取り扱いとなっています。
通販でも購入できるのは、関東にいる私にもありがたいです!
ですが、通販でも、品質を守るために1日20セット限定販売とさせていただいています。
徹底されてますね……!
一応、北海道物産展などにはたまに出展しています。そこでしたら、道外でもご購入できるチャンスもあるかもしれません。ですが、物産展にも毎回参加しているわけではないんです。
確実に入手されたい方は、通販をご利用いただければと思います。
まずは何もつけずそのまま食べてミルクのコクを味わって
佐々木さんは、スノーロイヤルをどのように食べてほしいですか?
スノーロイヤルは雪印パーラーを代表するブランドですし、雪印パーラーの喫茶店では大きなパフェなどにも必ずスノーロイヤルを使用しているんですが……
ですが?
やっぱり、そのまま味わっていただきたいですよね。北海道の誇る乳本来の風味を楽しんでいただきたいので。
このミルクのコクは味わってもらいたいですよね。
そのままで食べるのが一番オススメではありますが、何かをつけて食べることを否定しているわけではありません。
雪印パーラーのパフェもおいしいですし、それは承知しております。
スノーロイヤルはチョコソースなどにも合う(シズリーナ作成)
「パフェグラス」を詳しく見る
「チョコレートソース」を詳しく見る
そのまま食べるとして、お店で出てくるようなスノーロイヤルの味をおうちで再現するにはどうしたらいいでしょうか? お店では、例えば何度くらいで提供しているのでしょう?
冷凍庫から出してすぐだと硬いため、雪印パーラーの店舗では、お客様の目の前にお届けする際に温度が「マイナス14℃」になるよう計算しています。
マイナス14℃! これを家で再現するにはどうしたらいいのか、私の方で検証してみたいと思います。
それが実現できたら、スノーロイヤルをもっとおいしく召し上がっていただけますね。ぜひお願いします!
通販では「2Lサイズ」と「カップ10個セット」をご用意しております。どちらがお得かと言えば、2Lサイズの方です。2Lサイズの方が値段も安い上、量も多いんです(カップ14個分相当)。
ただ、2Lサイズがお得とはいえ、冷凍庫のスペースを占領する、器に盛る必要があるなど、少し面倒な点もあります。このへんは、ライフスタイルに合わせて選んでいただければ。
ちなみにどちらの方が売れ行きが良いのでしょうか?
実際はカップの方がご好評いただいていますね。お中元やお歳暮でご利用いただくことも多いので、カップの方が贈答品としては喜ばれそうですね。
「スノーロイヤル」の2Lサイズを見てみる
「スノーロイヤル」のカップ10個セットを見てみる
「スノーロイヤル」のカップ12個セットを見てみる
読者のみなさんは、こんなにいっぱいあっても食べきれない……思うかもしれません。でも、本当に口当たりは軽いし、コクがあるのにキレがあるので、あっという間に食べられますよ!
お店クオリティのスノーロイヤルを味わうためには
後日、スノーロイヤルを楽天で注文し、佐々木さんから教えていただいた雪印パーラークオリティである「マイナス14℃」を自宅で再現してみました。
冷凍庫で保管され、マイナス18℃以下になっている「スノーロイヤル」を、冷蔵庫に移して15分経過すると、なんとお店クオリティの「マイナス14℃」に仕上がりました!
※製品温度がマイナス18℃以下であり、冷蔵庫の環境が0℃〜4℃の場合に限る
確かに、風味やあの独特な食感も雪印パーラーで食べている感覚に!
お取り寄せでもこんなにふわとろ食感で楽しめるとは思ってもいませんでした。自宅でも、アイスクリームを口にし、目を閉じればそこは雪印パーラーです。
というわけで、「スノーロイヤル」は楽天でも購入が可能ですので、気になる方はぜひオンラインショップをチェックしてみてください!
まさかのおいしさになるスノーロイヤル×●●丼
そのまま食べるだけでは物足りない! という方に、とっておきの掛け合わせレシピを紹介しましょう。
カツ丼にスノーロイヤルを合わせるんです!
「えっ、そんなの本当においしいの!?」と思うかもしれません。これが本当においしかったんです!!
そもそもスノーロイヤルは乳本来のおいしさがぎゅっと詰まっているアイスクリーム。甘さも控えめで、本当にアイスクリームの”クリーム”部分を楽しめる商品です。
ふわっとコクを足してくれるという印象があり、もしかしたら食事系のアレンジにもコクを足すのにいい作用が生まれるのではないかとカツ丼に合わせてみたら……。
ビックリしました。
濃厚なコクが生まれて、これはちょい足しレベルではなく、食事としてアリに!
よくカレーに牛乳や生クリームを加えたりするじゃないですか。あの感覚に似ていると思います。
ダシの染みこんだ卵とミルクの風味たっぷりのスノーロイヤルも好相性ですし、熱々のカツ丼に冷たいアイスという、温度のコントラストも楽しめます。
勇気がいるかもしれませんが、味は私が保証します! スノーロイヤルをたっぷり買ったときには、ぜひ一度試してみてください。
正統派(?)の方は、チョコレートソースにアーモンドスライスをトッピングしてもおいしいですよ。
スノーロイヤルを食べるときは、必ず冷蔵庫に入れて15分解凍するのを忘れずに! スノーロイヤルの印象が、必ず変わります!
「チョコレートソース」を詳しく見る
「アーモンドスライス」を詳しく見る
まとめ
マイナス14℃にするお店の味の再現が成功したので、後日佐々木さんに報告してきました。
佐々木さん、先日はありがとうございました! 冷蔵庫に移動して15分たったスノーロイヤルがちゃんとマイナス14℃になりました!
本当にこれで北海道の雪印パーラーの味を再現できているか、いずれ改めてお店に確認しにいきたいと思います。
そうでしたか、ありがとうございます! 多くの方によりおいしい状態でスノーロイヤルを味わっていただきたいです。
北海道にお越しの際は、ぜひ新千歳空港限定商品「空港ソフト」も召し上がってください。国内線2階にある雪印パーラーで注文できます。
ぜひ食べてみたいです! これはスノーロイヤルとは別のアイスクリームなんですよね?
別のアイスなんですが、スノーロイヤルにかなり近いレシピで作っています。卵を使わなかったり、ミルクの風味をいかす点は同じですね。若干ですが空港ソフトの方が甘さ控えめにしています。
それは知りませんでした。北海道に行った際は忘れずに食べたいと思います。今回は貴重なお話をありがとうございました!
🍨
今回、改めてスノーロイヤルを食べたけれども、味作りのエピソードを聞いてから食べることで、より愛着が生まれました。
今まで以上に口溶けを楽しみ、乳本来のおいしさと向き合うことができて、まるでスノーロイヤルと会話ができた気がするほど。
いつかまた北海道に行って、雪印パーラーで器に盛り付けられたスノーロイヤルも食べたいと思います。
あっ! 自宅で食べるときは冷蔵庫で15分を忘れずに!
スノーロイヤルを食べて北海道へ行きたくなったら、こちらもチェック!
著者:シズリーナ荒井
アイス研究家。今までに5万2,000個ものアイスを食し、年間4,000種類以上のアイスクリームをテイスティングするという、アイスに人生を捧げアイスを愛してやまない日本最強のアイスマニア。SNSで話題となったアイスのアレンジレシピや企業同士の商品コラボを手がけるなど、食べ方をデザインする“イートデザイナー”としても活躍中。テレビ放送で拝見するアイスについて熱く語る様子からは、アイスへの愛が溢れている。
Twitter:@sizzleeena
公式サイト:シズリーナ荒井オフィシャルサイト
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今回紹介した商品
「雪印パーラー公式ショップ」を詳しく見る
「スノーロイヤル」を詳しく見る
「スノーロイヤル 2Lサイズ」を詳しく見る
「スノーロイヤル カップ10個セット」を詳しく見る
「カツ丼」を詳しく見る