
私は日頃、山や丘陵地、川沿いを歩きながら風景や生き物を写真に記録しています。
なかでも、野鳥や昆虫を撮影する際にはレンズ交換式のミラーレスカメラを使うことがありますが、大きな超望遠レンズをいつも持ち歩けるわけではありません。
もっと手軽に望遠レンズを使って撮影したいと思い手に入れたのが、パナソニックのコンパクトデジタルカメラ「LUMIX DC-TZ99(以下、TZ99)」です。購入してそろそろ1年が経ちますが、今では手放せない散歩の相棒となっています。
このようなコンデジを手にするのは数年ぶりですが、望遠性能だけでなく、その他のさまざまな機能も充実した、「スマホには撮れない写真」が撮れるカメラだと強く実感しています。
- 超望遠720mm相当のズーム性能と手のひらに収まるサイズ感をチェック!
- 手ぶれ補正とAF(オートフォーカス)も優秀!
- 撮影現場で役立つナイスな機能もたくさん!
- 現像を前提にRAWデータで撮れば、仕上がりがもっと美しく
- AFの使い勝手など……ちょっと気になるポイントもご紹介
- スマホでは届かなかった世界を撮るなら、これ
超望遠720mm相当のズーム性能と手のひらに収まるサイズ感をチェック!
今回紹介するTZ99は「高倍率コンデジ」と呼ばれるジャンルのコンデジ。外見は普通のコンパクトカメラながら、超望遠域までのズームレンズを搭載したカメラです。
本機の一番の強みは35mm判換算で24mmから720mm相当までをカバーする「光学30倍ズーム」レンズですが、さっそくその自慢のズーム性能をご覧に入れましょう。
まずは広角24mm相当、スマホの広角カメラとほぼ同じ画角です。

そして最大までズームすると、こうなります(超望遠720mm相当)。

遠くに木の上にとまっているハシボソガラスが目までクッキリ写りました。有効画素数は約2030万画素あるので、ここからトリミング(写真を切り取る)をすることで、より大きく見せることもできます。
同じ場所から一歩も動かず、レンズの力(光学ズーム)だけでここまで画角を変えられます。
望遠レンズを搭載した最新スマホ(iPhone 17 ProやPixel 10 Pro)の光学ズームが5〜8倍程度(約120〜200mm相当)なのと比べれば、「720mm相当/光学30倍」という数字がいかに規格外の「超望遠」かお分かりになると思います。

もちろん、撮像センサーやレンズがよりハイスペックな大きいミラーレスカメラの画質には劣るのですが、手のひらサイズでこれだけの超望遠域が手に入る道具は他にありません。
なお、TZ99の重さは約322g。決して超軽量というわけではないですが、外出中ずっと手首からぶら下げていても苦にならないサイズ感です。
「今日行く場所は野鳥が見られるかもしれないけれど、大きなカメラを持ち出すほどでもないな……」という日も、ためらうことなくカバンに放り込めます。

手ぶれ補正とAF(オートフォーカス)も優秀!
久しぶりにこのクラスのコンデジを使って驚いたのが、手ぶれ補正とAF(オートフォーカス)の進化です。
普段使っている高性能なミラーレス一眼カメラと同等……とまではいきませんが、止まっている被写体を撮る分には本当にサクサクと気持ちよくピントが合い、最大望遠で撮っても手ぶれをかなり抑えてくれます。
少々コツは必要ですが、素早く動くような被写体でなければ、以下の作例のように空を飛んでいる飛行機や大きめの鳥にピントを合わせることも十分に可能です。

ときには、ミラーレスカメラのサブ機として使うこともあります。たとえば雪山登山。
山の上ではなるべくレンズ交換をしたくないですし、そもそも重い超望遠レンズを持ち歩きたくない。そこで望遠レンズ代わりにTZ99を携行したのですが、山の中に暮らすライチョウの姿を大きく引き寄せて記録できました。

撮影現場で役立つナイスな機能もたくさん!
その他、日々のお供に連れ回しながら1万枚以上撮影してきた中で、「これはよくできているな!」と感心した機能を3つご紹介します。
① 遠くの被写体を見失わない「ズームバック機能」
超望遠レンズは見える範囲(視野)が狭すぎるため、「撮りたい鳥がどこにいるかわからなくなった!」と画面の中で迷子になりがちです。
そんな時に重宝するのが、背面のボタンを押している間だけ、画面を広く戻してくれる「ズームバック機能」です。
広い視野でターゲットを画面の真ん中に捉え直し、ボタンを離せば元の超望遠にシュッと戻る。このアシストのおかげで、動く被写体もスムーズに追いかけることができます。

② レンズ交換感覚で画角を切り替える「ステップズーム」
昔から一部のコンデジには搭載されていた機能ですが、ズームレバーやレンズの周りにあるコントロールリングを回すことで、24mm、50mm、90mm、200mm……と、レンズ交換式カメラでおなじみの焦点距離に一段階ずつジャンプしてくれます。

画角のコントロールがスムーズになるだけでなく、「ここは一歩引いて、少しズームした方が歪みが少なく写せるな」など、レンズ交換式カメラの「画角を選ぶ楽しさ」を手軽に味わえます。
③ 実はマクロモードもかなり優秀
超望遠が魅力のカメラですが、小さな草花や昆虫に近づいて撮るマクロ撮影(接写)も得意です。
広角カメラを使うスマホのマクロモードと違って、被写体から一定の距離を保ったまま大きく写せるため(50mm相当で最もクローズアップできる)、虫を驚かせたりカメラの影を入れることなく、自然なマクロ撮影が行えます。
超望遠からマクロまで、自然観察の道具としてこれ以上ない機動性です。

現像を前提にRAWデータで撮れば、仕上がりがもっと美しく
良いところばかりをお伝えしてきましたが、どんな条件でもスマホよりきれいに撮れる魔法のカメラではありません。
本体が非常にコンパクトなので、光を取り込む「撮像センサー」という部品には小さなものが使われています。
小さい分、取り込める光の量も少なくなるため、曇りの日や夕方など、光量が少なくなってくると写真にざらざらとしたノイズが目立つという弱点があります。
そこで私は「RAW」という現像作業を前提としたデータ形式で記録しており、撮影後にパソコンに取り込み、現像ソフト(Lightroom Classicなど)でノイズ処理を行います。
近年の現像ソフトが取り入れてるAIを使ったノイズ処理はかなり強力で、この技術があったことも、ノイズが弱点となる小センサーのコンデジを買ってみようと思った理由でした。


現像というひと手間が必要になりますが、家に帰ってから「今日の写真をじっくり自分の手で仕上げる時間」を楽しむのも、写真趣味の醍醐味です。
最初はカメラ任せで撮った、なにも加工していない「撮って出し」でも十分良質な写真が撮れると思いますが、もっとクオリティアップしたい感じることがあれば、この「RAW現像」というアプローチをぜひ思い出してみてください。

AFの使い勝手など……ちょっと気になるポイントもご紹介
TZ99を使う中で見えてきた、コンデジ特有の癖や惜しいと感じる部分についても紹介しておきます。

- 手前の小さな被写体にピントが合いにくい:足元の花や昆虫を狙うと背景にピントが合ってしまいがちです。この場合は設定で「AF+MF」をオンにし、コントロールリングを回して手動で調整するコツを掴めば解決できます。
- 電源オフがワンテンポ遅い:起動は約1.6秒とそこそこスムーズですが、電源オフはボタンを押してからレンズが完全に引っ込むまでに約3.2秒かかります。撮り終えてすぐ片付けたい時に、少しタイムラグを感じます。
- 広角はスマホの方がいいかも:広角から標準ぐらいの焦点距離では、画像処理が優秀な分スマホの方がパッと見で鮮やかに見えます。ただし自分はRAW現像が前提で、同じカメラを使った方が写真全体の雰囲気を統一しやすいので、TZ99を使う日はスマホカメラはほぼ使いません。
スマホでは届かなかった世界を撮るなら、これ
LUMIX DC-TZ99は、日常のスナップはスマホに任せつつ、スマホでは手が届かなかった「はるか遠くの世界」を身軽に持ち歩くための最適な相棒です。
スマホのズーム画質に物足りなさを感じている人はもちろん、大きなカメラを持ち出すことが億劫になってる人にとってもコンデジのサイズ感は、もう一度カメラを持ち出す楽しさを思い出させてくれるかも。
スマホでは届かなかった世界を手元に残せる快感を、ぜひ令和の高倍率コンデジで体感してみてください。
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著者:OKP
東京の多摩地区で暮らすフリーランスな編集者、ブロガーで主夫。ブログ「I AM A DOG」にて趣味のカメラやアウトドア、日々の食事について書いたり、写真を撮って載せています。
X:@iamadog_okp/Blog:I AM A DOG
