こんにちは! ほそいあやと申します。
気づけば年の瀬。クリスマスシーズンでございます。
今日は、とても美しいクリスマス料理のレポートをお届けしたいと思います。
都内某所のキッチンスタジオにやってきました。
なにやら、若い女性たちがせっせと料理をしているようです。
手元を見てみると……
あっ! 四つ葉のクローバーだ。ご飯をアボカドでコーティングしているようです。
彼女たち、ただ者ではないオーラがぷんぷんする。
「もっと周りを草原みたいにしたい」「森のイメージがいい」
……という会話が聞こえてきます。相談をしながら試行錯誤しているみたい。
実は、彼女たちは多摩美術大学情報デザイン学科の学生で、中心は「多摩美術大学フードデザインラボ」という食をテーマにしたグループのメンバー。味だけでなく見た目も楽しめる料理を日々研究している学生なのであります。楽天とのコラボ企画もしていて、この日は楽天が運営するWeb媒体「Rmagazine」の取材が行われていました。
この日彼女たちが数時間かけて作った料理を見ていきましょう!
『リース風生春巻き』
紫キャベツとキャベツの色合いがきれいな生春巻きです。紫キャベツには生ハム、キャベツにはカニカマが一緒に巻かれており、キャベツの食感と塩気のバランスがよい生春巻きになっています。ヘルシーで見た目もかわいく、おいしかった~。ナイスアイデア。
『桃とMIXベリー寒天のカプレーゼ』
こちら、少し時間がたって色がにじんでいますが、カプレーゼをイメージしています。まったく違う食材でカプレーゼを作ったわけです。アセロラジュースを使った寒天がクリスマスにぴったりの色合い。
『たらこマヨネーズとサバのリエット~ほうれん草のクッキー添え~』
手前のリエットにびっくりしたんですが「サバ」なんです。サバ缶をクリームチーズと混ぜたリエットなのですよー。手軽だし、違和感もない味。
さらに、クラッカーの代わりにクッキー。合うのかな? と思ったけど、クラッカーよりも口の中がパサパサにならなくてアリだと思いました。ほんのり甘いしっとりとした生地で、ほうれん草の風味も生きていました。子どもも喜びそうな料理です。
『アボカド寿司ツリー』
ツリーに見立てた、サーモンとアボカドのお寿司。最初は縦(立体的)のツリーにする予定でしたが、設計上どうしても倒れてしまい、安定感を重視するとやってもやっても山になる……。そこで俯瞰でツリーに見えるものに変更したそうです。ちゃんとクリスマス感でてます。れんこんで雪の結晶を作るのは目からウロコでした。
『アイスクリームポテサラ』
ある芸人さんが「居酒屋で最後にアイスクリームが出てきて食べたらポテトサラダだった」と言っているのを聞いたことがありますが、そんなドッキリも余裕でできそうなクオリティ。抹茶アイスか、ピスタチオか。これはほうれん草を練り込んだポテサラです。赤いのは、ボルシチに入れる野菜でおなじみのビーツが練り込んであります。
(ちょっと失礼して)ふむふむ、これはうまいね。お腹にもたまるし、忙しい時の食事代わりにもってこいだ。朝はこれを片手に駅まで走っていけそう。溶けないし。
『骨つきチキンのマーマレード甘辛ダレ』
急にコンサバティブ。普通のクリスマスメニューも作るんだなあ。
(ちょっと失礼して)なんかハイカラな味がする! マーマレードがガツンと主張をしてくる! でもしつこくなくて、醤油の香りと合わさって、なかなかいいぞこれは。定番の一品にもこだわりを感じさせるなー。
『ビーツの赤いポタージュ』
真っ赤な野菜ビーツと、玉ねぎ、じゃがいも、バター、牛乳、コンソメなどで作られたポタージュ。ビーツってあまり目にしたことのない野菜でしたが、本当に鮮烈な色なんですね。味もすごくおいしかったです。温かくてももちろんですが、冷たくしてもビシソワーズのようになりそう。常温で飲んだのですが、野菜の甘みを強く感じました。それも計算かな? と思ってきいてみると「温度は考えてなかった」とのこと。
『寿司ケーキ 2』
先ほどのクローバー巨大軍艦は、周りをカリフラワーで囲まれ、よりボタニカルな仕上がりに。ジブリ感でてきました。
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「多摩美術大学フードデザインラボ」の木村さん(左)と串田さん(中央)。串田さんは、先輩のキムラさんに誘われてこのグループに入ったそうです。
普段からたくさん料理をするわけでもないけれど、見た目の面白い料理を作ることにひかれたという二人。「こういうビジュアルの料理が作りたい」が先にきて、味もそなわるようにする。絵を描く感覚で組み立てていくそうです。美大生ならではのスキーム。毎日絵を描いていると、料理も芸術的表現の一つとしてとらえられるようになるのかも。
木村さんに今までの自信作についてきいてみました。その作品がこちら。
Facebookより
多摩美術大学芸術人類学研究所のシンポジウム「実りの食卓-コミュニケーションと食-」にフードデザインラボからフードチームとして参加し、制作を行いました。
「実りの食卓」というテーマから、畑で採れる食べ物のみで構成された「畑の収穫テーブル」と、森でとれる食べ物のみで構成された「森の収穫テーブル」を制作しました。
おおー! 立派なアートだ。
ちなみに、私もかつては多摩美術大学の学生でしたが、当時はこんなシャレオツなのは存在しませんでした。
当時の古びた校舎の目下にはだだっぴろい野原が広がっているだけで、授業が終わると草原を駆け回るくらいしかやることなかったし。
他にやることといえば、ヒマを持て余してハシゴに登っていたことくらいでしょうか。
とにかく学内にも周囲にも、山と野原とハシゴ以外何もなかった。
今の多摩美はめちゃくちゃカッコいい校舎になり、おしゃれな図書館なんて世界的に有名です。環境の差のせいにする気はないのだけど、でも……でも……
いち女子大生として、やってることが人間と猿くらい違いすぎる。
俺もきらきらした青春送りたかったな。今日の彼女たちがとても眩しい……。
彼女たちの目を盗み、スタジオの片隅でこっそりつまみ食いをすることで鬱憤(うっぷん)を晴らしていた次第でございます。
§ §
多摩美大と楽天の産学協同研究プロジェクトで、学生を取りまとめる矢野准教授にお話をうかがいました。
―― 彼女たちのサポートは、どんなふうにしているんですか。
- 「僕はあくまで研究代表というスタンスで関わっていて、学生が自主的に進めていくのを見守る役です。それ以前に、(卒業生だから)わかると思いますが、学生がフェードアウトするんですよね……」
……とてもなつかしい。
みなさんのスケッチ。描いていて楽しいだろうなというのが伝わってきます。
- 「計画の作業はよいのだけど、材料を(楽天で)注文することから始めるので、今まで一度もネットで買い物をしたことのない子が多くてたいへん。会員登録から教えないといけない。夜中の3時にメールがきて相談されたこともありました」
食材は、この企画のパートナーである楽天で注文することとなっており、ネット通販がはじめての学生たちにとっては買い物ひとつでも大きな勉強になっているそうです。うん、それは絶対このさき役に立つ。
- 「みんな少し気まぐれでマイペースなので、ちょっとしたことでやる気を失ってしまったりもします。そういう時にどうやる気を復活させるかが鍵ですね。叱ったりはせずに、『ここまで来たらもうやるしかないじゃん』って言います。すると、そうだよねってなって、頑張ってくれます」
―― 今日の彼女たちすごく真剣でしたね。ビーツを触るのははじめてとか、生春巻きは食べたことがないと言っていたし、ぶっつけ本番な企画でもあるのにすんなりやり遂げていてすごかったです。
- 「若い世代なので、今まで食べたことのない食材も沢山あるようで、発見と驚きはつきものです。それらを自分なりに工夫して駆使して作品を作り上げた時の喜びは大きいと思います」
なるほど、単に料理をつくるだけじゃなくて、未知の食べ物やツールに触れて、知識を得ていく場でもあるんだなあ。
§ § §
私がつまみ食いをする横で、Rmagazineの撮影が着々と進行。カメラマンさんが皿の余白部分を綿棒で注意深く拭いています。
できた料理を並べます。とっても華やか!! クリスマスが待ち遠しくなるな~~。
メンバーの皆さん、おつかれさまでした。
自分たちで作った料理を、シャンパンとともにいただく皆さん。ほっとしたような笑顔が印象的でした。
なんだか本当にきらきらしている……(遠い目)。
BGM:ラストクリスマス by-ワム
以上、「美大生」が作る、おもしろくてきれいでおいしいクリスマス料理のレポートでした! おいしかったです!
※フードデザインラボではただいまメンバー募集中だそうです。