こんにちは。子どもの知育おもちゃを探していて、海外のボードゲームの世界にはまってしまった、ルシュールクミオと申します。
いつも子どもと一緒に遊べそうなボードゲームを探してきては、家族みんなで遊んでいます。
さて、最近は小さい子でも携帯ゲームやアプリを使いこなすので、子どもや孫と一緒に遊ぶのが難しいようですね。特に、おじいちゃんおばあちゃんは、孫にとって遊び相手ではなく「新しいおもちゃやゲームを買ってくれる人」になっていることも。
子どもの喜ぶ姿は嬉しいものですが、すぐに背を向け会話もなく画面に夢中な姿になってしまう、というのは少々むなしいものがあります。
そこで、わが家が親戚の家へ行くときに持参している「子どもと一緒に楽しい体験ができる、親子3世代で楽しめるボードゲーム」をご紹介したいと思います。
今回選ぶボードゲームのポイント
- ルールや操作が簡単で気軽に遊べるもの
「ルールが難しい」「プレイ時間が長い」ものは、小さい子どもやお年寄りには向きません。シンプルで手軽にできるものを。
- みんなで遊ぶと楽しいもの
普段遊べない相手や、人数が増えることによって楽しさが増すものを選びます。
- 大人が遊んでも楽しいもの
大人も童心にかえり、時に子どもよりも夢中になるものを選びます。親など信頼できる大人が心から楽しんでいる姿は、子どもにとっても嬉しいものです。
変わり種のすごろく「ウミガメの島」
お正月に親戚が集まったときの定番といえば、すごろく。今回紹介するのは、ウミガメの産卵をテーマにした一風変わったすごろく「ウミガメの島」です。プレイ人数は2〜7人。
大きめの箱の中には、島の絵が描かれたボードが1枚、カメをモチーフにした木製の駒が7つ、サイコロが3つ入っています。木製の駒やサイコロはドイツゲームならでは。プラスチック製にはない温かみが感じられます。
プレイヤーはウミガメとなって、順番にサイコロを振って全21マスを進み、ゴールを目指します。島の外にあるイカダからスタートして島をぐるっと一周まわり、中心の砂浜がゴールの産卵場所となります。
ゴールには「産卵できる卵の数(点数)」を示す1から6までのカードがランダムに置かれています。ゴールに到着したらカードを上から順番に取っていき、カードがなくなる最終レースまでに獲得した合計得点が高い人が勝ちとなります。
このゲームでは振れるサイコロはなんと3つ。まず一つ目のサイコロを振り、出た目に満足しなければ、二つ目、三つ目と追加で振ることができます。
しかも、二つ目を振った場合は出た目の合計(一つ目と二つ目のサイコロで出た数字の合計)×2倍、三つ目の場合は合計×3倍進むことができ、一気に進めるチャンスとなります。
スタート地点のイカダにいましたが、三つ振って合計「7」×3倍=21マスで、なんと一気にゴール
とはいえ、サイコロをたくさん振ればいい、というわけでもありません。出た目の合計が8以上になったらアウト。どこにいても振り出しのイカダに戻されてしまいます。
「リスクを冒してもう一つ振るか、それとも手堅く進むか」というリスクとリターンを考える必要があり、それがまた面白味を倍増させます。
さらに、画期的な仕組みがあります。自分のカメ(駒)を進めていき、他プレイヤーのカメがいるマスに着くと、なんとそのカメの背中に乗ることができるのです。
一度カメが背中に乗ったら、下のカメはゴールまで相乗りのままマスを進まなくてはいけません。さらに、ゴール到着時に得点をゲットできるのは一番上のカメのみ。乗られたカメは不幸な役回りです。
下のカメはゴールに着いても意味がないので、いっそワザと8以上にして振り出しに戻りたいところですが、二つ目三つ目のサイコロを振る判断を下せるのも、一番上のカメ。なかなか厳しい上下関係です。
普通のすごろくは、マラソンのように「他人との競争だけど、中身は自分との戦い」です。
でもこのゲームでは「いかに他のカメに乗って楽をするか」を考え、プレイヤー同士で乗ったり乗られたりしながらのレースとなります。「ちょっと、乗らないでよ~!」という感じで盛り上がります。
子ども:「カメの一番上に乗れると楽しい~!!」 おじいちゃん:「やっぱり堅実が一番じゃが、それだけでは勝てないのぅ」
いらない贈りもの、引き取る? パスする?「ゲシェンク」
お次はカードゲーム「ゲシェンク」です。プレイ人数は3〜7人。
ゲシェンクとはドイツ語で「贈りもの」の意味。しかし、このゲームでの「贈りもの」は、マイナス点のカードのこと。嬉しくないカードを、何とかして他のプレイヤーにあげることがこのゲームの目的です。
コンパクトな箱の中に、3~35の数字が書かれたカードと、プラスチック製のチップが入っています。
各プレイヤーには資金としてチップを配ります(4人なら9枚ずつ)。全33枚のカードからランダムに9枚抜き、残った24枚を山札として中央に置いたらスタートです。
山札から1枚カードを引き、場にオープンにします。これが今回の「贈りもの」。つまりはマイナス22点のカードということです。さて、誰がもらうことになるでしょうか。
自分の順番がきたら、カードを「引き取る」か「チップを1枚払ってパスするか」を選択します。引き取るプレイヤーがいないと、カードの上にチップがどんどんたまっていきます。
カードを引き取れば、カードの数字がマイナス点となります。その代わり、プラス点であるカード上のチップがもらえます。チップは1枚あたりプラス1点としてカウントされます。
例えば手元に25と26の数字のカードを持っており、オープンになったカードの数字が27だった場合、この27のカードを引き取ると手元に25-26-27と連続した数字がそろうことになります。このように連続した数を引き取れば、一番小さいカード1枚だけ(この場合25)がカウントされ、その他のカード(この場合26、27)はノーカウントとなります。なので、続き番号のカードは、チップが乗っている分むしろ「引き取りたいカード」となります。
オープンになったカードを誰かが引き取ったら、また山札をめくり「引き取る」か「チップを払うか」選択します。山札にカードがなくなるまで続け、最後に手持ちカードのマイナスを合計し、チップのプラス分と相殺した結果で、一番マイナスが少ない人が勝ちとなります。
こんなカードだった場合、5、17、27のマイナス49点です
基本的に、カードをたくさんもらえばマイナス点が増えるので、引き取らない方がいいに決まっています。しかし、パスするためのチップの枚数も限られています。積まれたチップの数や、続きの番号になるかなどを勘案して、引き取るかパスするかを選択するのが考えどころです。
31は引き取っても手元のカードと連続するから引き取って問題なし。でも、もっとチップが増えるまでパスしてつり上げようかな
チップをため込む人や、チップをすぐ使い果たし引き取るしかない人など、プレイヤーの性格も垣間見れます。参加プレイヤーによってゲームの雰囲気が変わり、相手の出方を見て遊べるところも面白い。小さく持ち運びやすいので、旅行のおともとしてもおすすめです。
おばあちゃん:「ついついチップを使っちゃうから、すぐなくなるわぁ」 お父さん:「カード数字と同じだけチップがあればもらうんだけどな。どこでもらうか悩ましい」
やっぱり盛り上がる「ヴィラ・パレッティ」「キャプテン・リノ」
パーツをどんどん積んで壊したら負けのバランスゲームは、パーティゲームの定番。崩れそうでハラハラドキドキ、崩れてしまったらうわ~っとなる、みんなで緊張感や一体感を共有できる楽しさがあります。デジタルなゲームには、なかなか真似できないシステムです。
そんなバランスゲームから、二つのボードゲームを紹介します。
柱を積んで高い建物を建てよう「ヴィラ・パレッティ」
まずは、2002年に「ドイツ年間ゲーム大賞」を受賞した「ヴィラ・パレッティ」です。「ドイツ年間ゲーム大賞」は、ボードゲームのメッカ・ドイツで毎年一作のみ選ばれる名誉ある賞ということで、面白さは折り紙つき。
大きな箱の中に入っているのは、円形の紙製ボード1枚と、木製の柱が20本(5本×4色)、床となるボード5枚、柱を抜くためのフック、最高得点者が持てる「マイスターマーカー」など。これらを使い、みんなで高い建物を建てていきます。プレイ人数は2〜4人。
まずは、円形の紙製ボードの上に柱を全部立てて、その上に最初の床ボードを置きます。プレイヤーは4色ある柱のうちの1色を担当。フックを使って下の階から自分の色の柱を1本ずつ抜き取り、上の階に柱を建てていきます。
「もうこの階から柱を抜けない……」となった場合は、他プレイヤーの同意を得た上で、新しい床ボードを置き、また柱を抜いて建てていきます。高さが増すにつれて、床の面積はどんどん狭くなっていきます。
柱は太い順に3点、2点、1点の点数がついています。プレイ中、最上階に置いてある柱の合計点が一番高い人には「マイスターマーカー」が渡されます。途中で崩してしまった場合は「マイスターマーカー」を持っている人が勝ちとなります。
最上階にある赤が3点を獲得し、勝ちました
柱は全部で20本ありますが、自分で動かせる柱はたった5本。
建物はどれかの柱が支えなければ崩れます。単にバランスをとるだけではなく「できるだけ他の色の柱に建物を支えさせ、自分の色の柱を上の階に乗せる」という、相手の出方を横目に見ながら、自分が進む戦略を考えるバランスゲームです。
お母さん:「楽勝だと思ったけど、手先と頭を使うから、意外と脳の刺激になりそうね」 子ども:「きゃ~やばい!やばい!やばい~~!!」←誰の番の時も叫んでいます
カードを積み上げていく「キャプテン・リノ」
「キャプテン・リノ」は、棒や駒ではなく、カードを積み上げる面白い発想のバランスゲームです。プレイ人数は2〜5人。
箱に入っているのは、主人公のサイ「リノ」の駒と、平らな「床カード」と折れ曲がった「壁カード」。壁と床のカードを組み合わせて、建物を高く作っていきます。
ゲームのはじめに床カードを各自に手札として5枚ずつ配ります。壁カードはみんなの共通のカードとして使います。
床カードには壁カードをどのように置くかを指示したマークが記載されています。またカードの隅に特殊効果のマークが付いているものがあります。
特殊効果とは順番を逆転させたり、順番をスキップさせたり、山札から1枚床カードを引かせたりといったもので、まるでUNOのようです。
順番がきたら、床カード記載のマーク通りに壁カードを置き、その上に手札の床カードを置いて、建物を1フロアずつ高くしていきます。これを繰り返し、一番早く手札をなくした人が勝ちです。
壁を1枚しか設置できない床カードや、カードの特殊効果を使って、他のプレイヤーを妨害するという要素もあります。
リノマークがついた床カードを置くと、次のプレイヤーはリノ(サイ)の駒を置く必要があります。決して重くはないものですが、微妙に保たれている建物のバランスを崩してしまうので、置くときはハラハラドキドキです。
子ども:「上手にやればどんどん高くなるところが楽しいよ!崩れても楽しい!」 おじいちゃん:「こりゃ、楽しい。普段は使わない神経を駆使してボケ防止にもなるのぅ」
古くて、新しい。ボードゲームの魅力
世代を越えて家族みんなで楽しく遊べる、ドイツのボードゲームを4作ご紹介しました。
何でもデジタル化が進んでいる今だからこそ、みんなが顔を合わせてコミュニケーションしながら遊ぶボードゲームは、いわば古くて新しい存在です。この記事が、家族・親戚で楽しい時間を過ごす一助となれば、嬉しいです。
著者:ルシュールクミオ (id:bg4kids)
第2子妊娠で遠出しづらくなったのを機に、家で子どもと遊べる海外ボードゲームを探してくるのが趣味となった、アラフォーサラリーマン。 ブログ「親子ボードゲームで楽しく学ぶ」では、集めたボードゲームの紹介や実際の遊び風景などを書いています。