アウトドアとカメラが趣味のブロガー、OKPと申します。
カメラ・写真が趣味の人間にとって、何かとなじみ深い「○○沼」。有名なのは、気になるレンズを次々に購入してしまう「レンズ沼」ですが、今回はカメラとは切っても切り離せないアイテムである「カメラバッグ沼」の世界をご案内しようと思います。
はじめに伝えておきたいのは、人によってベストなカメラバッグは異なるということ。そもそも、撮影対象も撮影スタイルもさまざまですし(スナップ、風景、ポートレート、動物……)カメラバッグに求める条件にしても、形状(タイプ)、携行性、容量、耐久性から、デザイン、素材、価格まで、挙げだしたら切りがありません。
さらに、撮影目的や機材の量によって、数種類のカメラバッグを使い分けることは当たり前。筆者本人も、街でのスナップ、登山、取材旅行では、使うカメラもカメラバッグも変わります。
なので、今回の記事では、さまざまな趣味・仕事でカメラとカメラバッグを使っている皆さまに、「愛用のカメラバッグとその中身」を紹介してもらいました。あなたの理想とするカメラバッグを探す際に、少しでも参考になれば幸いです。
・【登山】行動中にスナップ撮影しやすい:PAAGOWORKS「FOCUS」(OKP)
・【子連れ】カジュアルデザインで日常になじむ:日乃本帆布「ひねりショルダーS」(赤祖父さん)
・【街歩き】シンプルで洗練されたスリングバッグ:Peak Design「Everyday Sling V2」(アニさん)
・【猫】日常になじみ、置いても倒れにくいデザイン:「ひらくPCバッグnano」(荻窪圭さん)
・【星景】容量が大きく、三脚や予備のカメラも入れられる:MAMMUT「Seon Cargo 35L」(星空さん)
・【レンズ沼】レンズが取り出しやすく、15年以上愛用:「ARTISAN&ARTIST GDR-104」(toshibooさん)
・【プロカメラマン】シチュエーション別に4つのバッグを使い分け:thinkTANK photo「Airport Accelerator」ほか(田中慎一郎さん)
【登山】行動中にスナップ撮影しやすい:PAAGOWORKS「FOCUS」(OKP)
東京在住のフリーランス編集者/主夫/ブロガー。アウトドアと音楽、カメラが趣味。ブログ「I AM A DOG」にて趣味や日々の食事について書いたり写真を載せたり。
ブログ:I AM A DOG/Twitter:@iamadog_okp
PAAGOWORKS(パーゴワークス)の「FOCUS(フォーカス)」
【撮影スタイル】
登山行動中にスナップ撮影
【愛用カメラバッグのここが好き】
・登山用バックパックと連携できる
・カメラを衝撃や結露から守る保護ケースにもなってくれる
・サコッシュ的にも使える
登山で使うカメラバッグには、大きく分けて次の2種類があると考えています。
- 目的の撮影場所まで安全にカメラ機材を運ぶためのバッグ(バックパック型のカメラバッグなど)
- 行動中にスナップしやすいようカメラの出し入れがスムーズにできるバッグ
今回私が紹介するのは、後者のタイプ。PAAGOWORKS(パーゴワークス)の「FOCUS(フォーカス)」というカメラバッグです。
フォーカスは、小型一眼レフカメラから中型ミラーレスカメラぐらいまでのサイズのレンズ交換式カメラを1台のみ収納できる、いわゆるトップローディングタイプ(上蓋を開けて出し入れする方式)のカメラバッグです。
現在使っているフォーカスは、すでに3代目。2014年から使い始めて以来、モデルチェンジしたときと、マイナーチェンジしたときに買い換え&買い足したほどのお気に入りです。
一見すると普通のショルダーバッグにも見えますが、ストラップは着脱式になっているので、付属のアタッチメントを使えば、登山用バックパックのショルダーハーネスに吊り下げるチェストバッグ(体の正面、胸の下あたりに固定できるバッグ)として利用できます。
これにより、フォーカスの加重をバックパック側に逃がすことができ、かつ行動時にもカメラの位置が安定します。
現在の私は、行動中に2台のミラーレスカメラ(オリンパス OM-D E-M1 MarkII)を使って撮影するスタイル。1台は斜め掛けのショルダーバッグにしたフォーカスに入れ、もう1台はバックパックのショルダーハーネスにカメラホルスターで装着しています。
さらに、フィールドの状況によってチェストバッグ方式にいつでも切り替えられるよう、持っている全てのバックパックにフォーカス用のアタッチメントを取り付けています。
カメラに合わせて2つのフォーカスを持ち歩くことで、カメラを衝撃や結露から守る保護ケースにもなります。フォーカスの内側は二重構造になっていて、緩衝材を兼ねた着脱式のインナーバッグのスカート部分を閉じれば、より防滴・防塵性能を高めることができます。
フォーカス本体はPVCコーティングされた防水性の高い素材が使われているので、多少の雨ならレインカバーなしで使うことも可能です。
また、バックパックを置いて付近を散策する際などは、貴重品など必要最小限の荷物だけをフォーカスに詰め、いわゆるサコッシュ的な使い方もよくします。
このように、フォーカスは行動中の使用に特化したカメラバッグなので、カメラ以外に収納できるのはあくまで最小限の荷物だけ。上蓋と本体に数カ所の収納ポケットが付いているので、財布にスマートフォン、交換バッテリー1個、カメラやレンズの汚れを拭き取るクリーニング用品(クロス、レンズティッシュ、レンズペン)といった、頻繁に使うアイテムのみを収納しています。C-PLなどのレンズフィルターを使う場合も、フォーカスになんとかスペースを作ります。
大きなカメラバッグであれば一緒に収納するようなその他の撮影アクセサリーは、別のスタッフバッグにまとめてバックパックに入れています。
参考までに、スタッフバッグの中には主に以下のものを入れています。
- ミニ三脚
- 交換バッテリー(行程に応じて数本)
- レンズフィルター
- バッテリーチャージャー
- モバイルバッテリー
- 各種充電ケーブル
- 予備SDカード
- ブロワー
- 六角レンチ
- クリーニング用品の予備
- レンズ&ボディキャップ
- マスキングテープ
- フォーカス用予備アタッチメント
ここまで読んで「交換レンズは?」と思われる方もいるかもしれません。必要に応じて必要な交換レンズを持って行くこともありますが、フィールドでレンズ交換をするよりもカメラを持ち替えた方が何かとトラブルが少ないので、現在はカメラ2台と2本のレンズで撮影を組み立てるスタイルに落ち着いています。
ちなみに、同じパーゴワークス製の「SWING-L」という一回り小さいカメラバッグも使っています。これもフォーカスと同じような使い方ができるので、携行するカメラのサイズが小さいときなど、目的に合わせてカメラバッグを使い分けています。
そんなフォーカスを使った最近の登山から、2020年2月の上州武尊山(じょうしゅうほたかやま)での1枚。爆風が吹き付け、雪が勢いよく舞い上がる稜線を歩く妻を振り返りながらパシャッ。行動中に素早く写真を撮ることを重視したシステムだから、このような臨場感のある記録写真を残すことができます。
続きまして、皆さんが愛用しているカメラバッグを見て行きましょう。
・【子連れ】カジュアルデザインで日常になじむ:日乃本帆布「ひねりショルダーS」(赤祖父さん)
・【街歩き】シンプルで洗練されたスリングバッグ:Peak Design「Everyday Sling V2」(アニさん)
・【猫】日常になじみ、置いても倒れにくいデザイン:「ひらくPCバッグnano」(荻窪圭さん)
・【星景】容量が大きく、三脚や予備のカメラも入れられる:MAMMUT「Seon Cargo 35L」(星空さん)
・【レンズ沼】レンズが取り出しやすく、15年以上愛用:「ARTISAN&ARTIST GDR-104」(toshibooさん)
・【プロカメラマン】シチュエーション別に4つのバッグを使い分け:thinkTANK photo「Airport Accelerator」ほか(田中慎一郎さん)
【子連れ】カジュアルデザインで日常になじむ:日乃本帆布「ひねりショルダーS」(赤祖父さん)
1980年群馬県生まれ。東京在住。IT系企業に勤めるサラリーマンで2児の父。鉄道旅行と、インターネットで読んだり書いたりするのが趣味。好きな食べ物はヨーグルト、好きな飲み物は飲むヨーグルト。
ブログ:光景ワレズANNEX/Twitter:@akasofa
日乃本帆布「ひねりショルダーS」
【撮影スタイル】
子供を連れて出掛けるときに撮影
【愛用カメラバッグのここが好き】
・シンプルでカジュアルなデザイン
・帆布でできているので軽い。使い込むほどに味が出る
・旅先でのサブバッグとしても活躍する
赤祖父と申します。普段は2児の父親で、会社員をしています。これまで、週末はよく子供を連れて近所の公園などさまざまな場所に出掛けていました。
そんな私が普段から愛用しているカメラバッグは、日乃本帆布の「ひねりショルダーS」。
私はカメラが好きだが、専門家のような「カメラ専用バッグ」はソレっぽ過ぎるので避けている。あくまで素人らしく、シンプルでカジュアルなデザインを好んでいる。
そして、最も重視しているのは、旅行やお出掛けの際に負担となる「大きさ」「重さ」をできるだけ抑えることだ。「荷物を減らしたのに、バッグ自体が重い」というケースもありがちだが、このバッグは帆布でできていて、約440gと非常に軽い。その上、撥水加工もされているので、雨でも機材はちゃんと守れる。
ショルダーバッグはいろいろと買い替えてきたが、この日乃本帆布製ほど、見た目の割に物がたくさん入るショルダーバッグは他にないのでは、と感じた。例えばペットボトルや折りたたみ傘、A5のガイドブック類も余裕で入る。必要なものがサッと取り出せるかぶせ蓋のひねり留め具も便利だ。
カメラを携えたお出掛けでは、一人で出掛けた場合の「本気で撮影モード」(写真を撮るぞ! というとき)と、子供と一緒に出掛けた場合の「子連れで撮影モード」で中身がガラッと変わる。とはいえ最近はほとんどが「子連れで撮影モード」ではあるが。
まずは「本気で撮影モード」のときの持ち物。
カメラは「LEICA(ライカ) M9-P 」。ずっとフィルムカメラのライカを使っていたが、時代の波に乗ってデジタル化した。交換レンズは2本くらい。単焦点&オールドレンズなので、同じ焦点距離のレンズを複数持つこともある。
ミニ三脚「UltraPod II」は、軽さと堅牢さを重視したもの。ライカの重量でも装着できる。HAKUBAのレンズペンは、レンズの掃除に1本は持っておきたい。液晶は確認用にしか使わないので結構電池は持つが、念のために予備バッテリーも入れている。
あとは、ペットボトルや割りばし(購入したお店の店員さんに入れ忘れられると悲しいので1つはバッグに入れています)、旅先でウォシュレットがなかったとき用のおしり拭きシート、モバイルバッテリー、ケーブル類が入ったポーチも用意。風呂用メガネは、かけたままサウナにも入れるスグレモノだ。
そして、こちらは「子連れで撮影モード」。「本気で撮影モード」とは持ち物ががらっと変わり、身軽になっている。
まずカメラだが、残念ながらライカはマニュアルフォーカスのため、速射性に劣り、正直言って子どもを撮るのにはあまり向いていない。なので、子供を撮るときは、とにかく「記録」優先で機動性(小さく軽く取り回しやすい)と速射性(一瞬を逃さない)の高さを意識して「SONY DSC-RX100m6」を持つようにしている。8倍ズームレンズ搭載のオールラウンダーで、サイズもコンパクト。旅行にも最適だ。ただ、一番使うのは結局スマホかもしれない。
白い「insta360 Go」は、服に装着できる超小型のアクションカム。動画なら撮りこぼしもない。子どもに撮ってもらうこともある。
子供の手や口を拭くなど、何かと重宝するウェットティッシュも必須アイテム。また、ちょっとしたお菓子があれば、子供の機嫌を直したり待ち時間などの間が持ったりするので、忘れずに持っておきたい。
基本的に旅行の際は、バックパックに加えて、サブバッグとしてこの「ひねりショルダーS」を必ず持っている。旅館やサウナなどでポケットのない浴衣などを着ているときや、館内の手荷物を持ち歩くのにも重宝する。私にとって、このバッグはまさに旅の四六時中のパートナー。帆布なので、使い込んでの味わいも出始め、愛着もひとしおだ。今後も末永く使っていけるだろう。
そしてこちらの写真は、「子連れで撮影モード」の装備で「江戸東京たてもの園」の夏祭りへ出掛けたときに撮った1枚だ。甚兵衛を兄妹で着て、クーラーのない古い建物を見学している。真夏の暑さの中のセミの鳴き声、そして時折、心地良い風が入ってきていたのを覚えている。こんな普通の夏休みがまた過ごせたら良いなと願っている。
カメラ専用バッグでないショルダーバックを使い、求められるシーンに応じて柔軟に荷物を詰め込んで行くスタイルです。
実は専用カメラバッグは緩衝材の重量や厚みもあり、見た目より荷物が入らなかったりするのですよね。カメラバッグに見えないカメラバッグを求めていくと、たどり着くのがこのスタイルかもしれません。カメラを持ち運ぶ目的だけでない、どんなときも肌身離さずの相棒感が感じられるステキなカメラバッグです。
【街歩き】シンプルで洗練されたスリングバッグ:Peak Design(ピークデザイン)「Everyday Sling(エブリデイスリング) V2」(アニさん)
本業は大学教員、ネットではねこと写真ばかり。カメラなんてなんぼあってもいいですからね主義者だが、ズームレンズはレンズじゃない党でもある。
ブログ:bluelines/Twitter:@gorotaku
Peak Design「Everyday Sling V2」
【撮影スタイル】
街歩きで撮影
【愛用カメラバッグのここが好き】
・手軽で、カメラを出し入れしやすい形
・造りがしっかりしているので、カメラを収めやすい
・デッドスペースなど余計なものがない
こんにちは、アニです。「bluelines」というブログをやっています。このブログ、ここ数年は趣味の写真ばかりを載せています。休日にふらりと街を歩き、写真を撮り、まとめてブログエントリにしています。
写真関係機材一般に当てはまることですが、カメラバッグもまた「沼」です。選択肢は無数にあり、どんなカメラで何を撮るかによって最適なバッグも変わってしまいます。
僕は本格的に写真を撮り始めてから、さまざまな撮影スタイルを模索してきましたが、それに応じてカメラバッグもいろいろ変えています。最近になってたどり着いたスタイルは、「カメラ1台と単焦点レンズのみを持って街に出る。目的を決めずに歩いて、偶然出会った光景を撮る」でした。
このような撮り方に合ったカメラバッグは何か。僕の答えは、1本のストラップで斜め掛けできる「スリングバッグ」です。
リュックサックはカメラを取り出すのに手間がかかる。メッセンジャーバッグは大き過ぎて持て余す。手軽で取り回しやすく、カメラを出し入れしやすいスリングバッグは、できるだけ身軽に、シンプルに撮り歩きたい僕にちょうどいいのです。
そして、いくつかのスリングバッグを試してたどり着いた、「ひょっとしてこれ、最高なのでは?もうこれだけいいのでは?」と思っているバッグ、それがPeak Design(ピークデザイン)の「Everyday Sling(エブリデイスリング)V2」です。
Peak Designは細部までこだわったカメラギアで定評のあるメーカーですが、このバッグも素晴らしい使い心地です。最初に3Lを買い、あまりに良いので6Lも買い足しました。
まず、造りが非常にしっかりしていて、カメラを収めやすい。スリングバッグというと細長くて、サイド部分にデッドスペースができるものが多いのですが、Everyday Slingはそのようなデッドスペースがない形状をしています。おかげで、実際の容量に対してとても小さく感じます。ジッパーは滑りが良く、バッグの開閉が気持ちよく行えます。
僕が今メインで使っているカメラは、RICOH「GR III」とNikon「Z6」です。GR IIIを持ち出すときは3L、Z6のときは6Lを使います。カメラの他に持ち歩くのはスマホ、財布、がま口、鍵くらいです。なるべくシンプルにしたい。
このバッグを一言で表現するなら、「必要十分」でしょうか。余計なものがなく、必要な部分はシンプルで洗練されている。僕は写真を撮るとき、選択肢をあえて減らしています。
ズームレンズは使わないし、単焦点も持ち出すのは基本1本だけ。レンズ交換はしない。その時にたまたま、そのカメラが撮らせてくれる写真を探して歩く。こういう撮り方に、このバッグはすごくしっくりとハマってくれるのです。
さまざまな撮影スタイルとカメラバッグ沼を歩んだというアニさんが行き着いたのは、シンプルで洗練されたスリングバッグ。Peak Designの製品はデザインと機能性を高次元で両立させたものが多く、カメラ愛好家の間でもファンが多いですよね(私も色々とお世話になってます)。
カメラバッグと関係ない感想で恐縮ですが、ねこ型キーホルダーとがま口の可愛さが気になってしまいました(笑)
【猫】日常になじみ、置いても倒れにくいデザイン:「ひらくPCバッグnano」(荻窪圭さん)
老舗のデジタル系フリーライター。カメラやスマホの記事が中心だが、ときどき猫写真家や旅ライター、古道研究家、街歩きガイドになる。主な連載に『這いつくばって猫に近づけ』(ascii.jp)など、近著に『東京「多叉路」散歩』(淡交社)など、講師として「東京古道散歩」(新潮講座)などがある。
ブログ:混沌の屋形風呂/Twitter:@ogikubokei/Instagram:@ogikubokei
「ひらくPCバッグnano」
【撮影スタイル】
外で猫を撮影
【愛用カメラバッグのここが好き】
・蓋が外側に大きく開くので、すぐに中身を確認してカメラを出し入れできる
・三角形デザインなので、無造作に置いても安定する
・内部も崩れくい形状で、マジックテープを使った間仕切りを付けられる
25年ほど前から主にデジカメの記事を書いている、ライターの荻窪圭です。ほかには、猫写真の連載を持ったり街歩きのガイドをしたりと、比較的好きなことをやって食べております。
普段、ガチで撮影に行くときはカメラバッグメーカーが販売するガチのカメラバッグを使っていますが、日常のちょっとした撮影や気軽なスナップを撮るのに向いたバッグにしっくりくるものがなくて困っていました。
断面が三角なのできれいに自立する。外のメッシュポケットには名刺などを入れている
そんなとき、ブロガー・いしたにまさきさんが作った「ひらくPCバッグnano」をモニターとして提供していただいたのです。これが私の中で大ヒット。いしたにさんはカメラもガジェットも持ち歩く人なので、カメラも持ち運びしやすいようちゃんと考えられていたのですね。
猫を見かけたらすぐにカメラを取り出したい。そんなとき、「ひらくPCバッグnano」は蓋が外側に大きく開くタイプなので、すぐに中身を確認して出し入れできます。大抵のバッグは内側に開くので蓋が邪魔になるのです。
撮影に集中しはじめると、バッグをその辺に置いて身軽になりたい。そういうときも、このバッグは安定の三角形デザインなので、無造作にポンと立てても安定します。それがうれしい。立てておけば中身が転がり出ることもありませんし。
そして最高なのは内部。崩れにくい形状かつ、内部にマジックテープを使った間仕切りを付けられるのです。カメラバッグと同じ方式ですね。私は手元にあったカメラ用の間仕切りを2つ入れています。
このバッグに入れるカメラは、オリンパスの「OM-D E-M1 Mark II」に、同社のレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」。このコンビを一番よく使ってます。レンズを下に入れて収納するとサイズ的に奥行きがギリギリですが、この方が出し入れしやすくてスペースを有効に使えます。
さらに、猫専用レンズとしてシグマの「56mm F1.4 DC DN」も欠かせません。コンパクトなのに写りがよい、猫撮りに向いた中望遠レンズです。
こちらは、バッグを無造作にベンチに置いて猫を撮っていたら、別の猫が怪しんでやってきた瞬間のカット。猫がつついても倒れません。「E-M1 Mark II + 56mm F1.4 DC DN」で撮影しました。
あらためて、「ひらくPCバッグnano」はカメラバッグではないのでクッションはありませんが、街中で使う分には問題なし。むしろコンパクトで、軽くて、中を整理しやすくて、長時間歩きながらブラブラ猫スナップを撮っても疲れないというメリットの方が大きいのです。
「ひらくPCバッグ」でありながら一度もPCを入れたことはないものの、必要なものだけをシンプルに持ち歩けて使いやすい、機動力と実用性を兼ねた日常のカメラバッグとして常用してます。
これいい! かなり欲しいかも!? ……と、思わず読者視点でがっついてしましたが、私も同じカメラとレンズを使っていることもあって、かなり興味津々のバッグです。
たしかに自立するバッグはカメラバッグにも最適ですし、蓋が外側に開いた方が中身を確認しやすいというのは盲点でした。スカーフのような布は、隙間を埋める緩衝材や機材の保護の役目を兼ねているのでしょうか。
【星景】容量が大きく、三脚や予備のカメラも入れられる:MAMMUT「Seon Cargo 35L」(星空さん)
MAMMUT(マムート)「Seon Cargo(セオンカーゴ)35L」
【撮影スタイル】
星景写真を撮影
【愛用カメラバッグのここが好き】
・ロゴも目立たないほどシンプルなデザイン
・容量が大きく、PCやタブレットなどの収納スペースもある
・内部は仕切りがないので、着替えを入れることも可能
はじめまして。日本各地の星景を撮影している、星空といいます。写真歴としては9年、星景写真の撮影を始めて8年になります。
現在、私が天体撮影の時に愛用しているカメラバッグは、MAMMUT(マムート)のバックパック「Seon Cargo(セオンカーゴ)35L」です。
このカメラバッグはもともとカメラ用にデザインされたものではなく、会社帰りにクライミングジムに通う人のために作られたバックパックになります。そのため、会社に持って行くPCと、事務用具やクライミングジム関連の道具を入れられる2つのコンパートメントを備えていて、容量が大きい(35L)ところが大きな特徴となります。
そして、写真のように全体的にシンプルに作られており、社名ロゴも目立たないデザインになっています。通常の撮影での使用だけではなく、通勤用にも使用するには最高のバックパックです。
ただ、クライミングジム用に設計されているためか、通常カメラバッグ装備されている三脚用のポケットなどが付いていないので、そこら辺で不便に感じるところはあるかもしれません。
このカメラバッグには、キヤノンのカメラ「EOS R」1台と、同じくキヤノンのレンズ「RF15-35mm F2.8 L IS USM」、リモートタイマーなど、主に天体撮影で使用している機材をメインで入れています。
天体撮影時の収納としては、写真のように上部にカメラとレンズ、リモートタイマー、バッテリーなどを収納しています。
下部のスペースには、例えば三脚のようなカメラ以外の機材や予備のカメラなどを入れています。また、このカメラバッグは仕切りがないので、自由性が高く、旅行時には下部のスペースに着替え類なども収納しています。
もちろん、PCやタブレットなどの収納スペースもあるので、使い勝手は間違いなく良いと思います。
これまで、最高のカメラバックを求めて9年間に7個ほどのカメラバックを使うなどカメラバッグ沼にハマっていましたが、このマムートのセオンカーゴに出会ってからは、他のカメラバックは買っていません。そのぐらいトップクラスに扱いやすいカメラバッグです。
最後に、このカメラバッグを持って撮影した写真を紹介して締めくくりたいと思います。撮影場所は、長崎県の廃炭鉱がある池島。使われなくなった石炭を移動させるジブローダーと天の川を撮影した写真になります。
多機能タイプのバックパックの携行力を生かして、カメラバッグとして運用するスタイル。実は私もMAMMUTの似たタイプのバックパックをカメラバッグとして使っているので、「分かります、分かります」と大いに頷きながら拝見しました。
それにしても、このバックパック(Seon Cargo 35L)のコンパートメントの豊富さ、ちょうど良さは「実はカメラバッグとして使うことを想定していない?」と思わされてしまいますね。
【レンズ沼】レンズが取り出しやすく、15年以上愛用:「ARTISAN&ARTIST GDR-104」(toshibooさん)
アートディレクター/グラフィックデザイナー。 デザインとともに撮影技術を学ぶ。写真は仕事1割、趣味9割。キヤノンフルサイズ機を経て、現在メインカメラはマイクロフォーサーズ機を愛用。2020年よりパナソニック、シグマのLマウント機も導入。ブログにてカメラ/レンズ/写真をさらに楽しんでいただける情報を発信中。
ブログ:toshiboo's camera・toshiboo's blog 2
「ARTISAN&ARTIST(アルティザン・アンド・アーティスト)GDR-104」
【撮影スタイル】
レンズ交換を繰り返しながら歩いて撮影
【愛用カメラバッグのここが好き】
・フラップ(蓋)がなく開口部が広いガーデンバックタイプなので、カメラやレンズの出し入れが簡単
・内部が真っ赤で“映える”デザイン
・ポケットが多く、内部も余裕があるので、かなりの物が入る
こんにちは、ブログ「toshiboo’s camera」にてカメラ系の記事を執筆しているtoshibooと申します! 趣味とデザイン関係の仕事ともに、写真撮影を楽しんでおります。
キヤノンの「EOS Kiss Digital」から始めたカメラ歴は、2020年で16年余りになりました。レンズ沼にハマった結果、これまでに買ってきたレンズは30本以上。たくさんのレンズを持ち運ぶことも多くなりましたが、そんな私が15年間使っている愛用のカメラバッグを紹介します。
それがこちらの「ARTISAN&ARTIST(アルティザン・アンド・アーティスト)GDR-104」です。15年前から、撮影のたびにほぼ毎回このカメラバッグを使っています。これまでにコンパクトなものやバックパックタイプ、ハードケースタイプなど、さまざまなカメラバッグに手を出しましたが、結局このバッグに戻ってきています。
筆者のこのバッグは「GDR-104」という型番になりますが、15年間で改良が重ねられ、現在は後継モデルとして「GDR-212N」が販売されています。
このバッグを使い続けている一番の理由は、とにかくカメラとレンズが取り出しやすいから。
まず筆者の場合、カメラを持って移動するときは車がメインで、登山などはしていないこともあり、バックパックタイプよりもショルダータイプの方が使い勝手が良いです。そして、フラップ(蓋)がなく開口部が広いガーデンバックタイプですので、カメラやレンズの出し入れがとても容易です。
移動中でも、立ち止まってカメラバッグを肩にかけたまますぐにレンズ交換が可能です。歩きながらでもできなくはないくらい簡単です。落とすのが怖いので、オススメはしませんが……。
もう一つは、デザインの良さです。今でこそオシャレなカメラバッグは増えてきましたが、15年前は”いかにもなオタクっぽいカメラバッグ”しかありませんでした。
筆者のバッグはさすがにクタクタになってきましたが、上質なナイロン地に真っ赤なインナーが映えるガーデンバッグスタイルというのは、15年経った今でもかっこよく思えます。
そしてこのバッグ、標準ではインナークッションの仕切り数こそ少ないのですが、ポケットも多く、インナー周りにも余裕があるため、かなりの物が入ります。
ちなみに、普段持ち歩いているセットの一例がこちら。このセットで14mm〜800mm+2.5倍マクロ撮影までこなせる内容になります!(35mm換算)フルサイズ機でも、ボディ1台とレンズ3本くらいは楽に収納可能です。筆者の場合、レンズを収める仕切りクッションが足りなくなったら他のカメラバッグから取って入れています。
それに加え、交換バッテリーやフィルター類、ブロワーなどのメンテナンスグッズ、夏には欠かせない虫除けスプレーも入れています。
トラベル三脚で済む場合は、一緒にバッグに入れてしまっています。脚は飛び出ますが……。これに追加で、iPadやMac Book程度なら収納可能です。
さすがにフルで収納すると重くてあまり歩きたくなくなりますが……。多くのシーンで荷物を一つにまとめながら撮影できますし、軽い30分程度のハイク(ハイキング)では斜めがけして歩いています。
見ての通りバッグの開口部は完全に閉まらないため、雨や埃は入ってきます。ですが、そもそも降雨時や埃が多い場所ではレンズ交換をしたくないので、その際バッグは車内に残しておくことになります。バッグごと持ち出したときの突然の雨だけには気をつけたいところ。
なので、車で移動した先で、レンズ交換を繰り返しながら歩いて撮影することが多い筆者の撮影スタイルにとってはぴったりのカメラバッグです。
こんなふうに15年間、毎回のように重い機材を入れてラフに扱ってしまっていますが、丈夫で壊れそうな気配もなく、今では頼もしい相棒のような存在になっています。
こちらは、カメラバッグを携えて島根県松江市の枕木山へ撮影に出掛けたときの1枚。道中はレンズを変えながらスナップし、最後は三脚を立ててじっくり撮影しました。この日は澄んだ空気で遠くまで晴れわたり、美しい冠雪大山と弓ヶ浜を見渡すことができました。
同じショルダーバッグでも大量のカメラ機材を効率的に収納し、衝撃から守り、かつ取り出しやすい機能性を併せ持つ大型カメラバッグ。レンズ交換式カメラの機動性を十二分に発揮させるべく、どんな状況にだって対応するぞという気合いが感じられるバッグとその中身です。
それにしても15年使い続けられるバッグの堅牢性には驚きです。今までどれだけのカメラとレンズが、このバッグの中を通り過ぎてきたのかも気になるところです!
【プロカメラマン】シチュエーション別に4つのバッグを使い分け:thinkTANK photo「Airport Accelerator」ほか(田中慎一郎さん)
1968年東京生まれ。2003年よりアルペンスキーワールドカップを本格的に撮影し、国内ではアマチュア野球と陸上競技を中心にスポーツ全般の撮影を行っている。現在、アルペンスキーワールドカップの年間約40戦のうち、その70%をカバーする唯一の日本人フォトグラファー。AJPS(日本スポーツプレス協会)、AIPS(国際スポーツプレス協会)会員
ブログ:アルペンスキー撮影記
・thinkTANK photo「Airport Accelerator(エアポート アクセレレーター)」
・Lowepro(ロープロ)「Vertex 200 AW」
・Manfrotto「ROLLER BAG50」
・f-stop「SUKHA(スカ)」
【撮影スタイル】
アルペンスキーや野球などのスポーツ競技を撮影
【愛用カメラバッグのここが好き】
・Airport Accelerator……背負うタイプなので、移動時に手が空く。大きな機材もしっかり入る
・Vertex 200 AW……Airport Acceleratorとほぼ同じ大きさでありながら、コンパクトな外観
・ROLLER BAG50……中望遠の長いレンズが縦に入り、カバンを開けたときの収まりがきれい
・SUKHA……背面からオープンするタイプなので、ショルダーが汚れたり傷ついたりすることが少ない
スポーツカメラマンの田中慎一郎です。冬は欧州でアルペンスキー、春から秋にかけては国内で野球、陸上、水泳などを撮っています。
バッグそのものの紹介の前に、基本的に入れている中身は以下の通りです。
- カメラボディー2台(ときには3台)
- レンズ4本、大砲レンズ1本、テレコンバーター(焦点距離を伸ばすために使う補助用途のレンズ)2本
- ストロボ2台
- 予備バッテリー2個
- ブロワー
- クリーニングクロス
- レインカバー
- 雨具
- 40L容量のビニール
- ノートパソコン
- カードリーダー
- 一脚
このように、おそらく何か書き忘れているであろうと思うほど、「仕事道具」は多種多様です。そんな多くのものを収めるカメラバッグ、現在は4つのタイプを撮影シチュエーション別に使い分けています。
<1>thinkTANK photo「Airport Accelerator(エアポート アクセレレーター)」
thinkTANK photoは、2005年創業の比較的新しいカメラバッグメーカーながら、国内のスポーツカメラマンから一番の人気を誇ります。日本の通信社、新聞社、雑誌社、フリーランスのスポーツカメラマンの中で、ここの製品を一つも持っていない人は皆無でしょう。
キャリーローラータイプ(カメラマン内の通称は「コロコロ」)のバッグを使うカメラマンが多い中、背負うタイプの「Airport Accelerator(エアポート アクセレレーター)」は、私の国内でのメインバッグとして出番が最も多い相棒です。「コロコロ」による細かい振動は厳密にはカメラ、レンズの精密機械ネジに良くないので(小さいネジがゆるんでしまうため)なるべく背負うタイプのものを使うようにしています。
重量は20kg超になるので長時間の移動には向きませんが、シンプルなショルダー取付部による背負いやすさが特徴で、400mmの「大砲レンズ」から大三元レンズ(広角・標準・望遠ズームレンズ3本のこと)、ボディー2台と全て収まり、移動時に両手が空くところがお気に入りです。
<2>Lowepro(ロープロ)「Vertex 200 AW」
Lowepro(ロープロ)は老舗のカメラバッグメーカー。thinkTank photoが人気になる前に、スポーツカメラマンの中で最も人気があったブランドです。現在でも海外スポーツカメラマンでは使用者が多く、私も過去にいくつも所有していました。
この「Vertex 200 AW」も背負うタイプで、400mmのレンズが必要ない、インタビュー撮影などのときに使用しています。エアポート アクセレレーターとほぼ同じ大きさでありながらコンパクトな外観で、パソコン収納部にも余裕があり出し入れが容易です。
<3>Manfrotto「ROLLER BAG50」
Manfrotto「ROLLER BAG50」はローラータイプで、カメラとレンズが美しく収まります。中望遠の長いレンズでも寝かせることなく縦に入り、カバンを開けたときの収まりがきれいなのでお気に入りです。
バッグそのものを地面に転がして移動するため、車での移動で駐車場から近い距離の会場や、都会の舗装路のみのアクセスで会場に到着できる場合に使用。レンズを守るためにも、このバッグを使うときは、thinkTANK photoのレンズケース「Glass Taxi」を併用して400mmの大砲レンズを入れています。
<4>f-stop「SUKHA(スカ)」
登山リュックタイプのf-stop「SUKHA(スカ)」は、スキーの撮影時にのみ使用しています。背面からオープンするタイプで、雪上で機材を早く取り出せるほか、ショルダーが汚れたり傷ついたりすることが少ないのが気に入っています。登山リュックの形状なので、重量配分もコントロールでき、背負ったときに軽く感じます。
デザインのカッコ良さもあり、ここ数年で国内・海外のスキーカメラマンの中で人気上昇中です。
そのスカから取り出したカメラとレンズで撮影した、アルペンスキーW杯での写真です。2020年1月、場所はオーストリア・キッツビュール。氷のように硬い斜面をスカを背負って降りていき、撮影ポジションを決めて、バッグからカメラとレンズを取り出して撮影しました。
このように、さまざまなカメラバッグを使い分けて仕事に励んでいます。私に限らず、プロのカメラマンにとって、カメラバッグは大切な相棒である仕事道具を収める「生活必需品」です。
ガチなプロスポーツカメラマンの方のカメラバッグにコメントを付けるという、恐れ多い役回りに身が引き締まる思いです。
驚くのはやはり機材の物量でしょうか。スポーツ撮影ともなると、これだけの機材を確実に携行する必要があるのか! と圧倒されてしまいます。レンズキャップにレンズ名が一目で分かるようなシールが貼られていることに、密かに感動したり……。最後に紹介されているf-stopですが、ここ数年は山岳写真を撮る人の間でも人気のカメラバッグシステムですね。
ここまで私を含め、7人の寄稿者によるカメラバッグを見ていただきました。ざっくりとショルダーバッグ、バックパック、スリングバッグに大別できますが、全てが異なる特徴を持つバラエティー豊かなカメラバッグが集まりました。
同じ「写真を撮る」行為を手助けするサポート役ながら、使っているカメラやレンズと同じぐらいに(場合によってはそれ以上に)ユーザーの個性が表れるのが、このカメラバッグというジャンルであることが分かってもらえたかと思います。
この記事をきっかけに、カメラバッグの魅力に興味を持ってもらえたらならばとてもうれしいです。そして私自身のカメラバッグ沼も、今回また少し広がってしまったかもしれません……。