初めまして。ジャニヲタで「Hey! Say! JUMP」八乙女光くん担当の千紘と申します。Hey! Say! JUMP(以下、愛称の「JUMP」)の現場で過ごす時間が、何よりも大好きです。
年に数回開催されるコンサートや、3カ月ほぼ毎日上演されるグループ全員が主演の舞台……。JUMPの現場は数年前まで、私にとって無限と言えるほどたくさんありました。
チケットを手に入れるのも比較的容易だったため、自分のお金さえあれば「一番大好きな時間」はどんどん増やすことができたのです。
しかし近頃、JUMPはようやくブレイクの波に乗り始めました。以前と比べるとテレビの出演数が増え、それと引き換えに現場の数が激減してしまったのです。こうして私は、現場1回の重みというものを今まで以上に感じるようになりました。
そこで見直したのが、現場へ行くときの“最強のお供”である「双眼鏡」と「うちわ」です。
ジャニヲタにとってはどちらも大切な存在。この2つを充実させることによって、貴重な現場がさらに最高のものへ引き上げられると考えたのです。今回は、これからコンサートへ行く予定がある人に自信を持ってオススメする、私の“最高のお供”を紹介したいと思います。
用語解説【2】担当……応援しているアイドル、またはそのファン
用語解説【3】現場……コンサートやイベントなどが行われる会場
「双眼鏡」を見直すだけで世界が変わる
双眼鏡のランクには「松」「竹」「梅」がある
コンサートで使用する双眼鏡のランクには「松」「竹」「梅」があると、私は勝手に定義しています。
「松」は5万円以上で、具体的には防振双眼鏡のこと。ジャニヲタの間では「防振」という略称で親しまれていて、メーカーとしてはCanonが一強時代を築いています。「竹」は2万円程度で、「梅」は4,000円程度の価格帯といったところでしょうか。
私が初めて手にしたのは、小さくて軽い「梅」の双眼鏡。世の中に良い双眼鏡があるという概念すらなかったので、7年近く愛用していました。
双眼鏡をランクアップできるんだと知ったのは、ジャニヲタの間でTwitterが浸透し始めたころ。双眼鏡をのぞいたときのぼやけた視界は私の視力のせいじゃなかったんだ、双眼鏡ってお金を掛けられるものなんだ!と、まさにヲタクとしての視界が広がりました。
ジャニヲタの双眼鏡レビューをあまりネットで見掛けなかった当時でも、防振はすでに頭角を現していました。しかし「梅」ユーザーな私にとって5万円以上もする防振の価格は狂気の沙汰に見え、とても手を出す気にはなれなかったのです。
「梅」から「竹」に買い替えて世界が一変
双眼鏡を手にし、現場へも頻繁に通うようになった私はその後、家電量販店の店員さんに相談しながら初めて「竹」の双眼鏡を購入します。総合光学機器メーカーのVixenが販売する、アトレックという機種でした。
Vixen「アトレック HR8×32WP」
(今は後継モデルとして「アトレックII HR8×32WP」が販売されています)
購入してすぐのデビュー戦は、2013年春に静岡で開催されたJUMPのコンサート。
本当に、本当に、本当に、ほんとーーーーーーーーに、びっくりしました。
今までと同じチケット代を払ったのに、双眼鏡を変えただけでこんなにも見えるものが違うなんて、と。
明るくて、鮮やかで、テレビを見ているように思えるほど間近な距離感。今まで、遠くに見えるステージは風景のようにぼんやりしていたのに、この双眼鏡をのぞいた先に見えたのは、セットや照明やスピーカーといった名前を持つものの集合体でした。
当時、私の周りで双眼鏡にお金を掛けている友人はいませんでした。なので、この大きな発見を共有しようと、コンサートのたびにアトレックの先に広がる鮮やかな視界を友人たちに見せていました。やはり全員が「えっ!?」「マジか」「嘘やん……」と驚きの声を上げながら二度見ならぬ二度のぞき見をしていたので、明らかな違いを感じたようです。
この後、皆こぞって「竹」クラスの双眼鏡を買い始めました。それほどまでに、世界が一変するのです。
やはり気になってしまうCanonの防振双眼鏡
しかし、「竹」の双眼鏡と共に歩み始めた人生が数年続くと、だんだん「松」の防振が気になってきます。このころになると、防振ユーザーはどんどん増えていき、ネット上でレビューもよく目にするようになりました。
「竹」の双眼鏡だけでも、十分な革命だった。だからこそ、それよりも上位クラスの防振はもっと大きな感動を与えてくれるのではないだろうか。そのときでした、友人がCanonの防振「BINOCULARS 10×30 IS II」を貸してくれたのは。
衝撃を受けました。しかしそれは、思っていたのと逆の衝撃でした。
感動はなかった。アトレックと、見え方がほとんど変わらなかったのです。
個人的に感じた「松」「竹」「梅」の違い
私が感じた双眼鏡における「松」「竹」「梅」の差は、「梅から竹の差は非常に大きく、竹から松の差は非常に小さい」でした。
さらに分かったのは、自分が「ブレ音痴」な人間だったということ。
防振が高価な理由は手ブレを防止する「防振機能」が備わっているからですが、この防振機能がオンになっている状態とオフになっている状態の差が、私にはほとんど分からなかったのです。よく防振機能を表現するときに用いられている「わずかに揺れていたのがピタッと止まったような感覚」も、体験できませんでした。
こういう理由があり「もう防振は買わなくていいな、ずっとアトレックでいいや」と思っていた私ですが、2016年、ついに「松」の防振双眼鏡を購入してしまいます。
理由は、単純に「倍率」の問題でした。JUMPの現場に、東京ドームをはじめとするドーム規模でのコンサートが増えだしたのです。
大切なのは「倍率」だった
左にあるのがCanon「BINOCULARS 12×36 IS III」。一眼レフと同じくらいの大きさ。ボディに巻いているクマは、防振ボタンを押しっぱなしにするためのお弁当箱用バンド
アトレック HR8×32WPはレンズの性能は良かったものの、倍率は8倍なので、広すぎるドーム規模の会場には向きません。ただ倍率8倍から倍率10倍の双眼鏡に変えても、これくらいの差ではあまり変化を感じない上に、ドームではきっと物足りないだろうという思いがありました。
ならば倍率12倍にしようと考えたものの、高倍率になると、いくら私がブレ音痴とはいえ手ブレが不安になる。こうしてたどり着いたのが倍率12倍のCanonの防振「BINOCULARS 12×36 IS III」でした。私が借りた倍率10倍の防振より、少し倍率を上げたものです。
左がVixenのアトレック、右がCanonの防振双眼鏡
インターネットに初めて上げた自撮り画像が、スナイパーみたいな写真になるとは……
ようやく購入に踏み切った「松」の防振。アトレックとの大きさを比較するべく、それぞれの双眼鏡を構えた写真を並べてみました。防振がいかに大きいかが分かります。このゴツさはまったくかわいくないですね……。
重さはアトレックが390gで、防振が660g。合わせて約1.1kgでした
購入した防振をドームで使ってみると、倍率は上がったとはいえ、見え方は以前借りた防振と同じでした。倍率8倍のアトレックを初めて使ったような感動はありませんでしたが、これはこれで買って良かったと満足。
ちなみに、防振を使うのはドーム規模のコンサートだけで、アリーナ規模の会場にはこれまで通り「竹」の双眼鏡であるアトレックを持参していました。
ですが、ある日「アリーナ規模で倍率12倍を使うとどう見えるんだろう?」と思い立ち、防振を使ってみることにしたのです。
倍率12倍の防振をのぞいてよみがえってきたのは、アトレックを初めて使ったときに感じた「めっちゃ見える!!!!」というあの感動でした。
隣の席にいた友人にも見せてみると、「えっ!?マジで!」からの二度のぞき見という前回と同じリアクションが返ってきました。
どれくらいの違いかというと、ステージ上のメンバーを見たときに倍率8倍で「何をしているのかしっかり確認できる」レベルだったのが、倍率12倍だと「どんな表情で、何をしているのかしっかり確認できる」と感じるレベル。表情が分かるのです。本当にずっとのぞいていられます。担当の喜怒哀楽、わしづかみです。
デメリットを挙げるとすると、アリーナ規模で倍率12倍は近すぎるということ。
座席からステージまでの距離に影響されるとはいえ、近すぎて視界いっぱいに顔が入ってくるので、本当に1人しか見えなくなります。自分の好きなメンバーだけをロックオンしたい人にはアリーナ規模でも倍率12倍の双眼鏡がオススメですが、そうじゃなければ倍率8倍や倍率10倍が良いかと思います。
ただし、私が倍率8倍では満足できなくなったように、ドーム規模の会場では倍率10倍も物足りなくなってくると思います。ステージがよく見えそうだからという意味で「ドームでのコンサート用に防振買おうかな!」と考えている人に必要なのは、防振機能ではなく倍率12倍かもしれません。
ジャニヲタの魂「うちわ」を磨く
“幻”のうちわに抱いた夢
ジャニヲタにとっての「うちわ」は、相棒でありアイデンティティー。コンサートには欠かせない存在です。
メンバーの顔写真がプリントされている公式販売のものや、カッティングシートなどで好きなメンバーの名前を入れるファン自作のものがメインです。そんなうちわについて、私は長年、ある夢を抱いていました。
あれは2009年。私はTwitterで、あるジャニーズグループがファンの持っていたうちわについて言及したというコンサートレポートを見掛けました。
そのうちわは、なんとクリスタルガラス「スワロフスキー」でメンバーの名前をかたどっていたのだとか。メンバーが話題にするほどの「スワロうちわ」は一体どれほど美しいものだったんだろう!と、ものすごく興奮を覚えました。
私自身、長年コンサートを共に戦ってきたうちわには強い愛着があります。もはや自分の本体は本当はうちわのほうで、私はうちわに宿る魂を人間の形にしただけのハリボテなんじゃないかと思うほど。
スワロうちわの話を知って以来、何度もネットで検索を試みたのですが、作り方を載せたブログも、制作代行をしますといったWebサイトも見つけることはできませんでした。実際にコンサート会場でも見たことがなかったので、スワロうちわが実在したかどうかも不明のまま時だけが過ぎていったのです。
スワロうちわプロジェクト本格始動 輝かせたいのは胸元だ!
情熱が薄れつつあったスワロうちわをふと思い出したのは、2015年の私の誕生日。百貨店のジュエリーコーナーを歩いているときでした。
良い年頃になったし、石が付いたそれなりのネックレスでも買おうかな、と自分への誕生日プレゼントを探していたのですが、何を見ても心がときめかない。欲しいものがない。……そこで、ふとよみがえってきたのです。
そうだ、輝かせるのは首元じゃない、胸元で振るうちわだ!!!
すぐさま、ネックレス購入資金をスワロうちわに当てようと決意。そこから本格的にプロジェクトが動き出しました。しかも2017年は、JUMPが10周年を迎えるアニバーサリーイヤー。それまでには完成させたい。作るなら今しかない!!!
しかし制作すると決めたところで、誰が作業をするかが重要です。私の普段のうちわ作りといえば、Microsoft Wordで文字を打ち出し、東急ハンズなどで買ってきたカッティングシートに転写して、それを切り抜いていく……というシンプルなもの。
でも、スワロうちわとなると、いわゆる「デコ技術」が必要になってきます。私にはそういったスキルが全くなく、かといって拙いものに仕上がるのだけは絶対に嫌でした。
強力な2人のサポーター
そもそもスワロってどこで買えばいいのかな……と、ふと目線を落とした先に、自分の爪の輝きに気付きました。そうだ! スワロを扱うプロが身近にいた!
思い浮かんだのは、私がいつも通っている個人経営サロンのネイリストさんでした。とても信頼のおける方で、JUMPの衣装をモチーフにしたネイルもオーダーメイドで仕上げてくれる実力者です。
頼むならこの人しかいないと思い、相談を持ち掛けてみると、ネイリストさんは「面白そう!」とすぐに食い付いてくれました。この翌日には、自分で調べたというデザインや素材の提案をメールで送ってくれるほど。
ですが、こんなに心強いネイリストさんも、ジャニーズの現場については精通していません。スワロうちわを作ったところで、コンサート会場で実際どういうふうに見えるのかというのは、ネイリストさんはおろか私でも分かりませんでした。
本物のスワロうちわの使い手に話を聞きたい……という思いを捨てきれないままTwitterを見ていると、あるツイートが引っ掛かりました。「作ってから数年経つけど、まだまだスワロうちわが活躍している」という、自作のスワロうちわを何年も使っている人の感想でした。
見つけた!という喜びで勢い余って「現在スワロうちわの制作を考えている者です。画像を見せていただくことはできませんでしょうか」と話し掛けてみたものの、うちわはデザインに特徴がある場合、見る人が見れば一発で特定されてしまいます。でも、「簡単に見ず知らずの人に写真なんて見せられないよね……」と思う間もなく、すぐさま画像付きでお返事が。
画面の向こうに現れたのは、迫力と美しさに満ちた、かわいいかわいいスワロうちわでした。
その後もこの方は次々とスワロうちわの作り方やアドバイスを伝授してくれて、本当にお世話になりました。実績のある「先輩」の存在は、とても頼もしかったです。
スワロうちわは永遠の愛の輝き──
強力な2人のパートナーに助けられ、2017年11月14日、JUMPの10周年記念イベントに合わせて、無事にスワロうちわが完成しました。
制作時間は17時間。掛かった費用は、材料費の約2万円と、ネイリストさんの作業費4万2,500円を足して、約6万2,500円。作業費は、普段ネイルをお願いしている2時間5,000円の料金で算出しました。
ジャニーズのコンサートでは、演出の妨げになるような強い光を放つ応援グッズの持ち込みが禁止されています。
スワロうちわの輝度がどうなるかひやひやしていたのですが、実際はカッティングシートで制作されたうちわと大きな違いはなく、悪目立ちするようなものではありませんでした。でも光に当たると、余韻を残すようにキラキラキラ~と上品に輝く……本当の宝石のように美しくて、初めて手にした夜は感動のあまり何十分も眺めてしまいました。
双眼鏡は誰のファンになっても今まで通り使い続けることができますが、スワロうちわは自担(応援しているアイドル)の名前を刻んだ唯一無二のもの。それにここまでお金を掛けるということは、すなわちこれからも自担を見続ける人生を歩んでいくという私の誓いでもあります。
愛を具現化したもの、それこそがこのスワロうちわなのです。自己満足に過ぎないですが、私にとって長年の夢だったものが実現した瞬間でした。
うちわのデザインをお見せするのはここまでに留めますが、もしどこかで見掛けたときは、あのときのスワロうちわだ!と思っていただければ幸いです。
以上が、コンサートを最大限に楽しむために試行錯誤や比較検討を重ねて集結させた、私の“最高のお供”です。これらのおかげで、現場で過ごす時間がもっともっとスペシャルなものになりました!
こだわりの強いヲタクにとって、誰が使っても一律に良いものなんてきっとない。人それぞれ好きなアイドルが違うように、こういうところが好き、こういう理由で選んだ、という強い思い入れがあるものこそが、自分だけの特別な時間を輝かせてくれるんだと思います。
皆さんが、自分の“お供”が一番大好き! と自慢できるような仲間たちと、素敵な現場ライフを過ごせていますように。
著者:千紘(id:kagekina-replica)
「Hey! Say! JUMP」八乙女光くんにフルスロットルなジャニヲタの端くれ。女子アイドルも好き。
ブログ:過激なレプリカ
Twitter:@ybhkkgkhc
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