こんにちは、妄想を形にする「妄想工作家」オツハタです。
突然ですが、例えば活気あるアジアの様子を伝えるイメージとして「バイクに人や荷物をわんさか乗っけて走っている」という分野がありますよね。

RAMNIKLAL MODI / Shutterstock.com
これは後ろにトラックが付いているっぽいけど、こういうやつ。親族一同乗っけてたり、出荷されるアヒルをこれでもかと山積みにしたりなどなど、まるで中国雑技団の様相を呈しています。それ運ぶのもすごいけど、積む技術も相当だよね、っていう。
なんとギネスでは、2017年にインドで58人が乗った記録があるらしい。
前回は「崖ヤギゲーム」を作ってここでお見せしたわけですが、
https://soredoko.jp/entry/2018/07/19/110000
そう、今回は「アジアの活気溢れるバイク事情」をバランスゲームにしてみたいと、思ってしまったわけです。

あんまりなラフをいきなりお見せしてしまいましたが、こんな感じ。まさにリアルツムツム。
1台のバイクに、さてどれだけの人が乗れるのか? という、絶対無茶な方向に行きそうなゲームを作ってみたいと思います!
多過ぎるコマが計画を狂わせる
前回はレジンキャストでリアルめなヤギさんを複製してコマにしましたが、今回は材料を変えてみたいと思います。
人間をリアルに作るとそれはそれで薄っすら問題なような、あと当方の技術的にも問題があると思われますので、積み木のイメージで、「木材」で作ってみたいと思います。
さっそく部材を取り寄せました。

うわっ! こりゃ大変だ。
「積み木」とは言っても、人型の木片(クリスマスのお菓子「ジンジャーブレッドマン」みたいなの)をたくさん作って積むのは形状に無理があるかと思いまして、ラフに描いたような「頭、手、胴体、足のパーツを針金でつなげる」方式にしたいと思います。
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方々から取り寄せるもパーツの在庫にばらつきがあり、頭は一番大きなパーツ、その次に足、一番小さいのが手というふうに、最初に配分計算が求められました。これは本来ならしなくていい苦労かと思います。
ちなみに今回は、運転する人を含めて総勢54名の人形を作ることにしました。本当は60名ほど用意したかったんですが、買う数を間違えたかな……。
でもインドのギネス記録58人は改造バイクでの記録だったみたいだし、こっちは改造なしの素のバイクだぞ!と言い訳しておきます。積み木だけどな。

胴体にぴったりなパーツがなかったので、長い丸棒を糸ノコで切り出します。ご苦労なことです。ああ、電動の卓上糸ノコが欲しいところ。

頭と手足を差し込む穴をドリルで開けていきます。

本当は、アイボリー色の針金を使おうと思っていたのですが、この長さだと意外と折り曲げにくかったので、むき出しのアルミの針金に変更。
この針金同士を引っ掛けて乗せていくというわけです。それにしても果たして人に見えるのか……。

木ダボを埋め込んで、木工用ボンドで頭をじかに接着していきます。手足は強力な多用途接着剤で対応。

どんどん作って箱に入れていったら、なんだかえらい風景が現れていました。人が、分子モデルのようだ。
ここまでで丸3日を費やしました。さ、30人くらいで、よ、よかったかな……。
積み木に服を着せ続けるという修行

とにかくこの子らを人間にしなくては! まずは顔だ!
民芸品の職人になったつもりで、素朴に仕上げます。素朴過ぎたかしら。

次は服を着せるのだ! そうすれば限りなく人間に近づくに違いない!
何度も仮設計を繰り返し、上下それぞれ大小の型紙を作って、家に余っていたハギレを裁断していきます。

で、これが54人分の衣服。もうすっかり担任目線です。全員に、これから着せてやるぞー。

着せるときも、コツが要ります。こうやってスリットを入れたところに布用ボンドをつけて、

くるっと巻きつけます。この方式を編み出すのに半日以上かかってしまいました。

上着はもっとテキトー。指にボンドを出して、袖を掴んでぐるぐるっと腕に巻きつけるだけ。前面には別布をまた貼り付ける、×54人分、という丁寧な仕事をぜひ評価していただきたい!
さて最後は肝心のバイクです。
やはりここはアジアのスタンダード、HTB『水曜どうでしょう』でもおなじみの濃紺のあいつ、スーパーカブを模していきたいと思います。

といっても、参考写真を見ながら、パーツをそれっぽく組み合わせるだけです。

これが大人の仕事だろうか。子供のようなピュアな心で作ってまいりますよ。
さて服を着せ始めてからまた3日がたってしまいました。外ではもうすっかり桜がピークを過ぎた頃、やっと全体が完成です!

年季の入ってそうな人を運転手に決めて、彼はもうカブに接着。明らかにサイズが合っていないけどな!

こちらがフルメンバー。皆、虎視眈々と、バイクに乗せてもらうのを今か今かと待っております。
では試遊といきましょう。ところで前回の崖ヤギゲームの時に「飲みながらやっても面白いかも」との意見が出ました。今夜あるお店に集まる用事がありましたので、そこで遊んでもらうことにします。
さて、54人フル搭乗は、酔った頭で達成できるのか!?
「安定化」と「崩壊」を繰り返し、その先に待っていたもの
家の近所にある、アメリカンクラフトビールが充実している雰囲気のいいお店で地元の方々と飲む約束があったので、事前にお許しを得て、この「アジアの活力満点積みゲー」を持ち込ませていただきました。

あらためて見ると、途方もないな……。でもキャンプ料理のおいしいこのお店には、なんだか合っているような。
飲みながら話が盛り上がっている時にはなかなかゲームを切り出せず、タイミングを見計らった頃には私も含め、皆さんけっこうなご陽気モードに。
しかしながら概要を説明すると、皆さんあの過積載ぶりのイメージを一瞬で理解し、なし崩し的にゲームは始まりました。

「順番に、1人が1体ずつトライ。バイクが倒れるとやり直し」というルールのもと積み上げがスタート。しかし手元が狂うのかけっこう難易度高いのか、なかなか積めない!

しかし徐々にコツをつかみ始め、

順調に乗っていきます。

やがてはアクロバティックなバランス感覚を見せ始め、思い描いていたあの「アジアの過積載」が再現されようとしている……!
すると参加者全員に熱が入り、いつの間にか目標が「とにかく全員積む!」にすり替わる事態に。もうこうなったら一丸となってどどどっと積み始めます。

ちょっとたつとこの混沌ぶり! ありえない、ありえないよ!

しかし志なかばで崩壊。
再スタートするも、酔った頭では何人そろおうと、ダメなものはダメなのか??

やがて遊び始めた。

コラ、いちゃつくんじゃない。

酉の市の熊手を作り出す人も。でも、こちらは遊んでいるわけではありません。

パーツに分けて考えることにより、効率的に積むことを考え出した我々。ツーバイフォーか。

しかし崩れるとダメージもデカかった!

何度も積んでは崩れを繰り返すうち、皆さんの笑いが止まらなくなってきました。積み木の崩壊とともに腹筋も崩壊。いいぞ! よくないけど。

いかにひっかける部分を広げるかということに、1つの光が見えました。長く連なるグループが誕生。

……お? この連なりを軸に、どんどん乗せていきます。もうこれシン・ゴジラだな。

おー。

……おっ!
成ったー! ミッション達成! 無改造バイクに54人搭乗のギネス記録来たー!
この妙な達成感、笑った。

この長く伸びた部分、後にここから新たな生命が生まれる……。

ここら辺の人たち、大丈夫か。

部分的に切り出すとこんな感じ。彫刻の森美術館にこういうオブジェあった。

最後に別方向から全体像を。ほとんどかき氷。あるいはスズメバチに集団で対抗するミツバチか。
前は絶対見えてないね。
というわけで、全員がミツバチのように一致団結して取り組んだこの積みゲー。意外な(?)盛り上がりを見せました。お酒のせい? ノンノンノン。
手足を可動にしたことで、自由度高く遊べたかと思います。自由度高過ぎて、遊び終わって分解するのが大変でしたが。
途中から「アジアの過積載ぶり」という従来のテーマをほとんど忘れて熱中してしまいました。今度はお酒を飲まずにトライして、皆を無理なく整然と乗せられるよう頑張ってみたいと思います。
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