こんにちは、編集者の徳谷柿次郎です。

みなさん、お酒は好きですか?
居酒屋でお酒を飲むのもいいですが、気のおけない友人たちとの「家飲み」もまた楽しいものです。
なぜなら! 学生時代にありがちな「安く飲むため」の飲みと違い、大人になってからの家飲みは、ちょっといいお酒やツマミを味わう絶好の機会でもあるからです。
仕事で全国47都道府県を取材するようになってから、「世の中にはこんなにも未知の美味い酒があるのか……」と驚くばかりで。いっそ全国で出会った好きなお酒を取り寄せて「家飲み」をすれば最高なのではないでしょうか?

というわけで、今回は1000~5000円で購入できるお酒8種類を集めてみました。どれも近所のスーパーやコンビニでは手に入らないものばかり。これらのお酒を紹介しながら、家飲みの一歩先をご提案できたらと思っています。
今回の家飲みの参加者

株式会社Huuuu代表取締役 / 徳谷柿次郎(34)
ジモコロ編集長として全国を旅して美味いモノにありついてる。週に4回以上飲み会がある。
株式会社LIG代表取締役 / 吉原ゴウ(35)
10代の頃に料理人を目指した経歴もあるグルメ野郎。美味い酒と食への投資は怠らない。会食含め年間340回ぐらい飲んでいる。
ポケットマルシェ取締役 / 本間勇輝(38)
世界を放浪した後、全国の農家・漁師から直接食材を買えるスマホアプリ「ポケットマルシェ(通称:ポケマル)」、新聞と食材が定期的に届く「東北食べる通信」に関わった食通。
今回の参加者は、美味しいお酒や食べ物に興味が強いこの3人。日本や世界を回り、美味しい食とお酒に目がない野郎ばかりが集まりました。
では早速、家飲みスタート!
用意したお酒はバリエーション豊かな8種類

(写真 左から順に)
- スコッチウイスキー「CARDHU」
- ピルスナービール「アウグスビール」
- ハーブリキュール「SUZE」
- スパークリングワイン「奥野田フリザンテ」
- クラフトジン「季の美」
- 日本酒「日高見」
- 焼酎「無言」
- 泡盛コーヒー「35リキュール」
今回は日本酒からウイスキー、リキュールまで、計8種を用意。すべて一度飲んで「これは美味い!」と思った銘柄ばかりです。いやー、もう一度飲めるのが嬉しい。
まずは炭酸三番勝負
最初にビールで乾杯!
1本目のお酒は、都内の飲食店で「これ以上美味いビールはないよ?」と勧められて、気づいたら4人で10本以上飲んでしまった「アウグスビール」です。
1.旨いビールを知らない人生は罪? 「アウグスビール」

本間「さて栓抜きがないので、歯で開けましょう」
柿次郎「え、どういうこと?」

本間「やり方は、こうです」※自己責任でお試し下さい
柿次郎「えええ」
本間「アフリカで教えてもらったんだけど、簡単ですよ。要はテコの原理で歯を当てて、ビール瓶を動かすだけで……」
柿次郎「ムリムリムリ! 歯が折れる……次は手で開けられるお酒にしましょう」
暇な人は動画でお楽しみください。

ゴウ「うん、美味い! 柑橘のフルーティさが際立つね。そのあとに苦味がきて、いい余韻。酵母の旨味かな。新しめの醸造所が作ってるんだね。初めて知った」
本間「さらっとしてるのに印象深い。じわじわ良さがくる」
ゴウ「ラベルがすごいね。『旨いビールを知らない人生は罪だと思います』だって」
柿次郎「コンビニでもビールの種類が増えてるけど、やっぱり未知のビールと出会うと飲みたくなりますよね。ちなみに『ビール+リンゴジュース+美味いお酢』もオススメです」

ゴウ「わ、これも美味い!」
本間「ビールの苦味がダメな人も、甘味と酸味が掛け合わさって飲みやすくなりますね」
柿次郎「料理人に教えてもらった京都の『富士酢』が美味しすぎてそのまま飲んでたんだけど、試しに組み合わせたら超美味かったレシピです」
2.辛口日本酒をソーダ割!「純米酒 日高見」

柿次郎「はい、次は宮城の純米酒『日高見』です!」
本間「これ、美味しいよね」
柿次郎「そのまま飲んでも美味しいんですが……今日はソーダで割ります!」
ゴウ「えー! 日本酒に炭酸水?」
柿次郎「そう、スプリッツァー(白ワイン×炭酸水)みたいな感じ。東京の中野にある宮城漁師酒場『魚谷屋』で飲んでたら、地元の酒屋のおっちゃんが教えてくれたレシピです」
本間「(ごくっ)あ、サッパリしてる! 他の日本酒でも炭酸で割れる?」
柿次郎「辛口の日本酒なら合うみたいです。日本酒が苦手な人とか、家に辛口の日本酒が余ってたらソーダ割もいいんじゃないかなぁという提案!」
ゴウ「夏にゴクゴク飲むのにいいね。新発見だ!」

この組み合わせ、オススメです。
3.ビールみたいなスパークリングワイン「奥野田フリザンテ」

柿次郎「次は、山梨のフェスで見つけたスパークリングワイン『奥野田フリザンテ』です。ちょっと衝撃を受けすぎて、わざわざ今回のために山梨まで買いに行きました」
ゴウ「おー、美味い。酸味がすごいね」
柿次郎「他のワインはあまり飲まないんですけど、これはスパークリングワインなのに口当たりがビールみたいでグイグイ飲めちゃうやつです」
本間「味の第一印象が派手! ラベルのデザイン含めて、女の子に受けそうですね」
柿次郎「このワイナリーは他にもワインの種類が……」
ゴウ「柿次郎。ビールやシャンパンみたいな炭酸のお酒が、なぜ世界中で飲まれてるか分かる?」
柿次郎「突然うんちくが始まった。どういうこと?」
本間「食事の邪魔をしないから?」
ゴウ「いい答え! 本質的に炭酸には『リセット』の効果があるわけ。お寿司のガリみたいに、脂っこいものを食べた後の口の中をサッパリさせる」
柿次郎「ガリは消毒効果だけかと思ってた」
ゴウ「炭酸は一杯目で食欲を出す働きもあるんだけど、多種多様な食事に合う特徴があるから、いろんな地域で飲まれてるんだよね。一方で日本酒やワインは別の役割がある。それは……」


柿次郎「ゴウくん、もういいかな。酔っ払って頭に入ってこないし」
ゴウ「え、まだ続きが!」
柿次郎「家飲みでうんちくを過剰に語りすぎるのはNG!」
ゴウ「はい……」
本間「知識はスマートに出さないといけないね」
ちょっと休憩。究極の卵かけごはん

ここで小腹が空いてきたのでお酒は小休止。「究極の卵かけごはん」をいただきます。
究極とブチ上げている理由はというと……。
お米を日本酒で炊く
水85%。日本酒15%くらいの割合でお米を炊きます。今回は先ほどの「日高見」を使用。
卵は白身と黄身に分ける
はじめに白身だけを泡立てて、炊いたお米にかけて混ぜます。黄身はそのあとに。

柿次郎「卵も米も全部美味い! 卵が甘い」

ゴウ「うん、美味い! 白身と黄身を分けてるから、卵の味がしっかりする」

ゴウくんの娘(10)もこの勢い! 相当気に入ったらしいです!

「究極」のもう一つの理由はいい卵。「ポケットマルシェ*1」で扱っている福島の「相馬ミルキーエッグ」を、本間さんが持って来てくれたのです。
本間「震災後に福島の相馬地区に移住して卵を作り始めた生産者さんなんですよ。めちゃくちゃこだわって作っていて、ただただ美味しい卵」
ゴウ「俺は一食一食に真剣に向き合うことを心掛けているんだけど、それはそういう作り手の想いを全力で受け止めたいからなんだよね。味の違いがわかる舌じゃないと、いくらすごくても気づかないじゃん」
柿次郎「舌の解像度みたいな話ね……ゴウくんのこだわり、ちょっと理解できたわ」
ゴウ「ちょっとかよ」
続いてリキュール3変化

柿次郎「少し趣向を変えて沖縄のコーヒーリキュール『35COFFEE』です。泡盛が大好きな県民性だけど、コーヒーと合わせちゃったという。コーヒー好きなので気になってました」
4.ほぼアイスコーヒー? 危険な泡盛「35COFFEE」

本間「あ、『35』ってサンゴのことか!」
ゴウ「風化したサンゴで焙煎か。温暖化の影響でサンゴがどんどん死んでるみたいだから、エコ的な視点もあるね」

柿次郎「あ、めっちゃ美味いっ! ほぼアイスコーヒーだ!」
ゴウ「ホントだ。コーヒーリキュールってコーヒーの旨味がガツンとくるやつが多いけど、これはサッパリしてる。夏にいいね」
本間「ここまでで一番驚いたかも。自宅に1本置いとけば、ビール代わりにクイッと飲めていいですね」
柿次郎「アルコールの味はそこまでしないけど、泡盛なんだよね……。ついつい飲みすぎちゃうと危ないやつだ」
本間「サンゴ感はあります?」
ゴウ「それはよくわかんない」
柿次郎「まぁ、すでに酔ってるから。次いきましょう。今回イチオシの国産クラフトジン『季の美』です!」
5.国産クラフトジンの革命児!「季の美」

柿次郎「この『季の美』は最近僕がめちゃくちゃハマってるお酒です。お米から作ったライススピリッツを使用し、山椒、柚子、檜、玉露などの国産素材にこだわったクラフトジン。ぜひロックでどうぞ」
本間「おお、柑橘の香りがブワーッてくる!」
柿次郎「国内のクラフトビールが流行ってますけど、次はクラフトジンが流行るんじゃないかなーと思ってます」
ゴウ「美味いね。凍らせるともっと美味しいんじゃない?」
柿次郎「あ、度数が高いお酒は凍らないんだっけ」
ゴウ「テキーラとかもそうだね」
柿次郎「いいなーやってみよう。でもこれ、飲みやすいくせに45度もある恐ろしいお酒なんですよ……夜な夜なグイグイ飲んで記憶を無くしてます。家で一人で」
6.ピカソも愛した薬草リキュール「SUZE(スーズ)」

本間「リアルゴールドみたいな色だ……どれどれ」

本間「あー、瓜っぽいというか薬っぽいというか……」
柿次郎「なんか駄菓子っぽい味がする?」
ゴウ「主な原料が薬草のハーブだから、薬っぽいってのはそうかもね。ロックよりソーダ割の方が合うかな?」
柿次郎「色がいいからグラスに映える。カクテル向きな気がする」
ゴウ「『泡盛コーヒー』も『季と美』も『SUZE』も、リキュール(蒸留酒)に何かを漬け込んだお酒だね」
柿次郎「ほほう」
ゴウ「リキュールって本来は味がないから、別の素材を添加して味をつけてるんだよね」
柿次郎「さっきからその豊富な酒知識は何由来なの」
ゴウ「だから、酒に限らず食べることに真剣なの! めちゃくちゃストイックに食事してるから。人間の食事できる回数って一生のなかで限りがあるから、若いうちから一食一食に本気で向き合ってる。だから自然に知識もつく」
ゴウ妻「いつも家で食事するとき、一人で語ってますよ」
柿次郎「一人で」
ゴウ「食の知識披露したいのに、全然聞いてくれないんだよ」
柿次郎「どこの夫婦も同じだな……」
焼酎とウイスキーは同じ?

ゴウ「もうあと2本だ。このウイスキー行こうか」
柿次郎「目がトロンとしてるけど大丈夫?」
※複数のお酒を飲みまくって2時間近くが経過しています
7.ジョニー・ウォーカーの原酒「CARDHU(カーデュ)」

柿次郎「行きつけのバーで『珍しいハイボールが飲みたい!』とオーダーして教えてもらったやつです」
本間「ずいぶん長い歴史のあるウイスキーだね」
ゴウ「バランスのとれた味って感じ」
本間「普通に美味しいですね」
柿次郎「たしかに。個性はそんなにない? いい意味でコンビニにありそうというか……」
本間「万人受けする味って感じ」
柿次郎「それです!」

柿次郎「最後の1本は、熊本県の米焼酎『無言』です。焼酎メーカーと仕事をしているお酒大好きな代理店おじさんに教えてもらったんですが、かなり珍しい作り方をしているとか。ぜひ皆さん無言でお楽しみください」
ゴウ「その一言ちょっとうざいな……」
8.希少な樫樽熟成の米焼酎「無言」

本間「ものすごく滑らかで、蜜みたいな甘みがあるね。焼酎でこんな味は初めてだ」
柿次郎「樫の木の樽で熟成してるみたいよ」
ゴウ「なるほど! 蒸留酒って基本は透明だからね。樫の樽ってことはバーボンと同じような製法だ。焼酎とウイスキーって素材が違うだけで同じような作り方だから可能……」
柿次郎「普段焼酎は飲まないけど、いいお酒は翌日残らないし、特に米焼酎はさっぱりしてていいよね。他の焼酎も飲んでみたくなる!」
ゴウ「うんうん。家飲みで知らないお酒と出会うって楽しいなー」
本間「それではウニをやりましょう」
ゴウ「ウニ??」
柿次郎「今回、本間さんが用意してくれてます」
体験型の食が家飲みをさらに楽しくする

ゴウ「殻付きじゃん」
柿次郎「しかもまだ生きてるからね。今日これが宅急便で届いて、箱開けて驚いたよね。なんちゅうもん送るんだと」
本間「殻付きのウニさばいたことなんてないでしょう。何事も経験ですよ」
これには子供たちも大はしゃぎ! 「体験型」の食を用意しておくと、家飲みがさらに盛り上がります。

本間「ウニを割ったら身をスプーンですくうんですけど、黒い部分が腸なので取り除いてください」

柿次郎「え、めちゃくちゃ細かくないですか? しかもウニ1個からとれる身の量少ない! 漁師さんってこれ手作業でやってるんですか?」
本間「そう、大変ですよね。そういう苦労も、実際にやってみるとわかるんですよ」
柿次郎「ウニが高い理由は手間賃ですね。酔った状態だと辛い作業だ…修行……」
本間「学びですよ」
柿次郎「はい(飲む前にやりたかった……)」
家飲みは人を笑顔にする
というわけで、今回8種類のお酒をご紹介しました。
コンビニやスーパーで買ったモノで気軽に家飲みも最高ですが、あえてみんなでお金を出し合って「普段飲まない、いいお酒を飲みながら語り合う」「通販で貴重な食材を仕入れてツマミにする」ような体験も一度試してみてください。
普通の飲み会ぐらいの予算で事足りますし、家飲みメンバーに料理人や料理好きを混ぜるとよりクオリティが上がるはずです。

それでは皆さん、楽しい家飲みを満喫してください。
著者:徳谷 柿次郎
株式会社Huuuu代表取締役。おじさん界代表。ジモコロ編集長として全国47都道府県を取材したり、ローカル領域で編集してます。趣味→ヒップホップ / 温泉 / カレー / コーヒー / 民俗学 / Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916
今回紹介したお酒
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