こんにちは。シルク・ドゥ・ソレイユで縄跳びアーティストをしていました、縄のまっちゃん(粕尾将一)です。今はパフォーマンス&縄跳び教室の出張訪問で全国の小学校を回っています。これまでに約400校、10万人の子どもに縄跳びを教えてきました。
縄跳びといえば身近なところで「100円ロープ」が有名ですよね。ほら、ビニールでカラフルなこんなやつです。小学校で使っていた記憶がある人も多いはず。
ちなみにプロの世界では「運動そのもの」と「道具」を明確に分けるために、道具に「とびなわ」、運動そのものに「縄跳び」という表現を使います。
さて、ひと口にとびなわといっても競技用からダイエット用までたくさんの種類があります。目的に合わない道具を使うと、思ったような効果が出ない場合も。
特にシルク・ドゥ・ソレイユに出演していた頃は本当に道具にこだわっていました。なぜなら、演技の善し悪しが道具ひとつで変わってしまうからです。
そこで今回は、365日ロープに触れている自分がオススメする「目的に合わせた『とびなわ』の選び方」を紹介します。
子どもこそ「とびなわ」を選ぶ必要がある
と思ったあなた。違うんです、子どもこそ道具を選ぶ必要があるんです! なぜなら、適した道具を使っているかどうかで、上達に大きな影響があるからです。
では、どうやってあなたのお子さんに合うとびなわを選べばいいでしょうか。選ぶ時のポイントは大きく分けて以下の3つです。
1.ロープの太さ
太いほど空気抵抗が大きくなり、細いほど空気抵抗が小さくなる。
空気抵抗が大きいとロープを回す感覚が強くなるが、速く回すのには適さない。
2.ロープの重さ
重たいほど腕への負荷が増え、軽いほど楽に回せる。
ただし空気抵抗との関係で、軽すぎるロープは回せない(例:釣り糸だと縄跳びは難しい)。
3.グリップ(持ち手)の長さ
長いと操作性が上がる。ただし長過ぎると扱いにくくなる。
前跳びを練習している子ども向け
たとえば幼稚園や保育園で、ヒモ状のとびなわを使ってるのを見たことありませんか?
こういったロープは「ロープ太め × ロープ軽い × グリップ短め」という特徴があり、前跳びを練習している子どもにオススメです。
ロープは太いほど空気抵抗が大きくなるので、回している感覚をつかみやすいです。上手な人は無意識に回してしまいますが、はじめのうちはどうやって力を加えていいか理解できません。そんな場合に、適度な空気抵抗が回している感覚をより理解しやすくしてくれるのです。
また、短く設計されたグリップなら小さいお子さんの手にも合います。
【練習のポイント】
はじめのうちは「両足ジャンプで前に進むように跳ぶ練習をする」といいでしょう。
またこのようなビーズの付いたロープを使うと、質量が増すため、より回す感覚をつかみやすく効果的な練習ができます。
日本国内では「日本ロープスキッピング連盟(JRSF)」による販売のみになります。
とはいえ、そこはまだ小さな子ども。一人で練習を続けるのは難しいので、兄姉やお父さん・お母さんと一緒に練習してみてください。上手な人の跳び方を見ながらだと、リズムの取り方がイメージしやすく上達を早める効果があります。
小さなお子さんをお持ちの人は、ぜひお子さんと一緒に跳んでくださいね。
二重跳びや交差跳び、より高度な縄跳びに挑戦したい子ども向け
前跳び練習では回す感覚をつかむのが重要でした。では二重跳びや交差跳びなど、よりハイレベルな跳び方に合わせるにはどうしたら良いでしょうか?
これらの技ではロープを速く回すのが重要です。ほら、二重跳びを跳んでいる人は「ヒュンヒュン!」とロープで空気を切る音がしますよね。そのためには、ビニール製のとびなわがオススメです。
ビニール製のとびなわの中でも、二重跳びには「ロープ細い × ロープ軽い × グリップ長い」を選ぶようにしましょう。この組み合わせは速く回すにはピッタリの設計なのです。
特にグリップの長いロープは小さな腕の振りで効率的に力を加えられるため、二重跳びや三重跳びに適しています。またグリップが長いと、交差跳びのような腕をクロスにする技にも効果的です。
さらに競技となると、ワイヤーを使ったロープが広く使われています。ワイヤーは2~3mmと非常に細く、それでもある程度の重さがあるんです。
極限の速さが求められるなわとび競技では、わずか0.1mmの太さの違いが勝敗を分けるのです。こちらも日本国内では「日本ロープスキッピング連盟(JRSF)」による販売のみ。
ダイエット向け、トレーニング用
小学生は学校で縄跳びをやります。しかし、大人にとって縄跳びはちょっと遠い存在かもしれません。
縄跳びはジャンプを含む全身運動なので「ダイエット効果」がすごく高いんですよ。広い場所も特別な器具も必要ありません。ちょっとしたスペースさえあれば、とびなわ1本で手軽にできる運動です。
ダイエットで使うとびなわでオススメしたいのは、少しだけ重さのあるとびなわですね。
ロープ自体に重さがあると、ある程度惰性で回ってくれます。ボクシングやトレーニング用の何kgもあるロープにする必要はありませんが、若干太めのロープを使うと負荷をかけつつも楽に回し続けられます。
【楽しく跳ぶコツ】
ただ……黙々とひたすら跳ぶのはあまりオススメできません。だって目的もなく跳び続けるなんて楽しくありませんからね。365日縄跳びをする自分だってイヤですよ。
ぜひ縄跳びをする時は「音楽を聞きながら跳ぶ」ことをオススメします。お好きな曲を選んで、スタートから跳び始める。1分で100回は跳べるので、5分の曲なら500回は跳べる計算です。さらに2曲、3曲と続けていけばあっという間に脂肪を燃焼できるでしょう。
自分も練習では絶対に音楽を流してます。大きな音が出せない場所ならBluetoothのイヤホンを使って跳んでみてください。
好きな音楽のビートに合わせて跳ぶと、テンションもあがって楽しく縄跳びができますよ!
道具選びでモチベーションと集中力を高めよう
縄跳びの上達にはコツコツ練習が必要です。ダイエットも目に見える効果が出るまでは時間が必要ですよね。とはいっても、進歩してる実感がないと続けるのは難しいモノ。
上手に道具を選ぶことができれば、進歩の手助けができます。さらにいえばモチベーション維持効果があると思うのです。
冬になると全国の小学校で縄跳びが始まります。寒さで屋内に留まりたい気持ちもわかりますが、お子さんや仲間と一緒に縄跳びでコミュニケーションをしてみてはいかがでしょうか?
著者: 粕尾将一(かすお しょういち)
元シルク・ドゥ・ソレイユ「La Nouba」の縄跳びソロアーティスト。2016年に帰国後、名古屋を拠点に全国の学校や商業施設で縄跳びパフォーマンスと教室を行う。縄跳びパフォーマーxブロガーとして新たな境地を開拓中!
ブログ:http://www.shoichikasuo.com/
Twitter:https://twitter.com/macchan8130