
生身のみなさん、こんにちは。生身でない方はごきげんよう。バーチャルユーチューバーのマシーナリーとも子と申します。透明な空間から失礼します。
みなさんはバーチャルユーチューバーというものをご存じですか?
まぁ一言で言えばユーチューバーが生身でなくて絵になったやつです。そんなに大それたものじゃございやせん。
詳しくはマシーナリーとも子の動画をご覧ください。なんとなくの雰囲気がつかめればいいなと思います。
つかめましたか?
もしもよく分からなかったという人はマシーナリーとも子も掲載されてる『バーチャルユーチューバー名鑑』でも読んで雰囲気をつかみましょう。最近は『週刊SPA!』さんでバーチャルユーチューバーの代表ヅラして取材を受けたり、『ねとらぼ』さんでコラムを書いたりして毎夜の食事をしのいでします。
もう大丈夫ですね。息子さんから「バーチャルユーチューバーって知ってる?」と聞かれても「マシーナリーとも子みたいなヤツだろ?」と答えれば間違いありませんよ。
さてパッと見でバーチャルユーチューバーが普通のユーチューバーと違うのは、見た目が「マンガっぽい」というところです。
人間が嫌いな陰キャのみなさん的にはバーチャルユーチューバーならではの人間味のなさ、絵のあたたかみなどを感じたのではないでしょうか。デフォルメされたユルさというのが安心するわけですね。
近年、アニメやマンガやゲームが大好物なオタク層からバーチャルユーチューバーが支持を集めているのも、彼らの大半が「インターネットをしている時にわざわざ生身の人間の顔を見たくない……」と思っているため。そうした需要にバーチャルユーチューバーが合致したのでしょう。
「えっ、オイラもバーチャルユーチューバーになりたいよ!」
とご興味を持たれた方は、以前私が素人ながらも48時間でバーチャルユーチューバー化したときの記録をブログにしたためておりますので、こちらもご覧ください。
自分を売って小銭を稼ごう
さてバーチャルユーチューバーになると愉快なことがあります。
それは自分自身が版権管理元ということ。だって自分なんだもんな。
なのでキャラクターグッズとかも勝手に作りたい放題だし、なんならそれでお金稼ぎだってできるわけです。最高ですね。ガンガン自分を売っていきましょう。

現在マシーナリーとも子は、主に「pixivFACTORY」というオンデマンド印刷ができるピクシブさんのサービスでグッズを作っています。こちらはリスクゼロでグッズを作れるのが最高なサービスなのですが、いかんせんマグカップとかシャツとか、取扱いアイテムしか作れないという制約があります。
それらを作るだけでも相当おもしろいっちゃおもしろいのですが、徐々にアレも作りたいコレも作りたい……と贅沢な気持ちが顔を出してまいりました。
そこで! 今回は手作りでマシーナリーとも子のグッズをいろいろと作ってみることにしました。君たちに売りつけて小銭を稼ぎたいからね!
今回グッズ開発に使ってみる技法は3つ。
- UVレジンクラフトによるグッズ製作
- デコパージュによるグッズ製作
- シリコーンゴム複製によるガレージキット製作
それではやっていきます。
1.UVレジンクラフトでグッズを製作する
「UVレジンクラフト」とは紫外線で硬化する樹脂を用いたアクセサリー作りのこと。昔はエポキシ樹脂とかを使って何時間も硬化を待っていたのが、紫外線硬化のUVレジンだと2分で硬化。すごいですね。
ハンドクラフト市場ではかなりデカい派閥らしく、そのテのイベントとかに行くとものすごい数のUVレジンアクセが出品されててビビります。とりあえず始めるだけなら手軽そうなので、今回はUVライトを購入しつつ100円均一ショップでもいろいろな素材を買い込んでチャレンジしてみましたわよ。

とりあえず、まずは練習がてら工程の確認ということで、シンプルに「額に入ったマシーナリーとも子」を作ってみることにしました。用意するのは100均で買ったメタルの額とコンビニでプリントしてきたマシーナリーとも子です。
UVレジンクラフトの工程はザックリ分ければ3つ。
- アクセに封入したいものを置いて、
- レジン液を流して、
- 紫外線照射装置で硬める! 以上!
なのでとりあえず練習とはいえ失敗することはないだろうと適当に作業。やるぞやるぞ。

照射装置をセットして、スイッチオンッ! 何これかっこいい。ちょっと『ジョジョの奇妙な冒険』の二部を思い出す。
というわけで工程終了。チョロいもんだぜ。
と、取り出してみたところ……

アッッッッッッ!!!! ウソやろ!?!?!
めちゃめちゃ紙にレジンが染み込んでめちゃめちゃ色が暗くなってるやんけ!
ていうか……なんか……なんか……密閉された空間で水責めにあって溺れてるみたいになってるな……なんだコレ……。
というわけでコピー紙+UVレジンの相性はサイアクでした。なんてこった。あらかじめ紙をコーティングする必要があるわけですね。
でも、紙をそのままレジンで封じ込めようとするとエラいことになるということが分かりましたよ。失敗は発明の母とはこういうことなんですよ。人は過ちを繰り返すことで成長するんです。まあ私はサイボーグだが……。

いろいろ試してみたところ、紙へのコーティングは木工用ボンドがちょうどいいことが分かりました。10分くらいで乾くしね。
また、白地だとアクセサリーとして味気ないことも分かったので背景に宇宙を適当に追加しました。宇宙の写真はNASAがタダでたくさん配布してるのでいろんなことに使えます(とはいえ利用時に多少の条件はあるので詳しくはガイドラインを見てくれ)。アメリカが宇宙開発に税金をたくさん使ってくれてて本当に助かりますね。

で、これが印刷データです。宇宙猫のような雰囲気を目指しました。
それではやっていきます。

印刷した紙を置く前に、一層目として色とラメを混ぜたレジンを流すことにしました。型はやはり100均に売ってたシリコーン型です。100均チェーンのうち、特に「セリア」はこのテのハンドクラフト系のグッズがたくさんそろっていておもしろい。
構造としては下から「色付きラメ入りレジン→印刷したコピー用紙→透明レジン」というふうに層を重ねていくことにします。

再び紫外線照射。

ボンドを塗り→コーティングした印刷用紙を重ね→レジン液を流します。
せっかくなのでお星さまなんてあしらってみたりして。

というわけで出来上がりです。初めてにしてはなかなかかわいいものができたんじゃねーの? 使い道はまったく無いけど……。
上司から「それで、これは何の役に立つの?」って言われちゃうタイプの成果物ですね。うるせー! 世の中役に立つ、立たないじゃないんだよ。心の豊かさってのはムダなものから生まれるんだよ!
なにはともあれこれでUVレジンクラフトの技術は完全に身に付けたのでいろいろ作れる。作れるぞ!

でもって調子に乗ってもう1つ作ったのがコレです。
えっ……?
自分で作っておいてナンだけど……なにこれ……? ホントなに……?
作る前に想像してたイメージだともっとこう……小瓶の中の幻想的な妖精さんみたいな物体になるはずだったのになに……? なにこれ……? バイオ培養されてるホムンクルスじゃん……。どうして……?
……と、考えてるだけではダメ、手を動かして出来上がるまで何ができるかわからない! のがハンドクラフトの醍醐味というわけですね。
分かりましたか? 分かっただろ?
2.デコパージュでグッズを製作する
続いて試してみるのは「デコパージュ」です。
デコパージュとは紙を雑貨などに貼ってニスで仕上げるハンドクラフトのこと。トートバッグやスニーカーなどにあしらうのが人気のようです。
このテクをうまく使えばあらゆる日用品をマシーナリーとも子で染め上げられるはず! やるぞ!
道具についてはデコポッジという銘柄の液が便利に使えそうだったので注文してみました。

デコパージュの手順は下記のようなカンジらしい。
- 絵が描かれた紙の表にデコパージュ液を少なくとも3回、重ね塗りしてコーティング
- 完全に乾燥したら水につけて紙をふやけさせる
- その後裏側からこすって紙を取り除き、乾燥させて、
- 貼り付けたいものにデコパージュ液で貼り付け、コーティング
なんだ簡単そうだな。
とりあえず例によって簡単な図柄でテストしてみます。マシーナリーとも子をデコポッジでコーティングして乾燥。

けっこうテカテカした感じになりました。

んで水に1時間ほど浸けたら、裏側から指でグシグシして紙を取り除く。
この工程、けっこう延々と紙が剥ける上にけっこう楽しいのでやり過ぎちゃうんですが、そこそこにしておいた方がいい。絵が半透明になるくらいにしておいた方がいい。
やり過ぎると薄くなり過ぎて取り回しが悪くなります。なりました。

紆余曲折あってようやく紙を剥がしてフィルム状になったマシーナリーとも子です。ペラッペラとも子。フェリックスガムのオマケみたいでゆかいだな。
さてこのフィルムをなにかしらに貼り付けることでデコパージュが完成するわけですが、今回はテスト用のアイテムとして、「シャンプーボトル」をセレクトしてみました。
いや、なんかなんとなく……。まだシャンプーボトルでグッズ化したバーチャルユーチューバーっていないだろうし……。

位置決めしたらフィルムをめくって裏側にデコポッジを塗布して接着します。

その後表面にもデコポッジをたっぷり塗布してコーティングして乾燥させて完成。やったね! マシーナリーとも子とお風呂でも一緒だよ! デコポッジは耐水性があるので濡れても大丈夫。多分タワシで擦っても大丈夫……いや、タワシはさすがに無理かも……。
なんにせよデコパージュも工程はなんとなく把握しました。把握したよ!
ということで本番作業に移ります。実は一度作ってみたかったグッズがあったんですよ! それは……

お茶碗です。
お茶碗よくないですか? 子供用にアニメとかのキャラクターがプリントされたお茶碗あるじゃないですか。アレを前から作ってみたかったんですよね。お茶碗を小ロットで作れるサービスとから無さそうなのでデコパージュで作る!

横長の図案を作ってデコポッジを塗布する。キャラクターお茶碗をいくつか調べてみたところ、どの商品もキャラクター名ないし作品名が書かれていたのでマネして書いてみました。

水でふやけさせて~裏側から紙を剥いて~~~

デコポッジで貼って、コーティングする!
そしてここで反省。曲面に長方形の絵を貼ろうとしたので下に向かって弧を描いたカンジになっちゃいました。次に作るときは上に向かった歪ませた形状に切り出そう……。

というわけで出来上がりです。まあまあかわいくできた気がする。満足です。
3.シリコーンゴム複製でガレージキットを製作する
最後に紹介するのは「ガレージキット」です。ガレージキットとは個人制作の組み立てキットのことで、狭義ではシリコーンゴムで型取りし、ウレタンレジンを注型して作る組み立てキットのことです*1。
今回は以前作ったマシーナリーとも子のあるパーツを型取りして、複製してみようと思います。

私、マシーナリーとも子は腕に大きなマニ車と歯車を組み合わせたものつけており、これを回転させて徳を得ることで動くのですが……

そのマニ車をデジタルモデリングして「DMM.make」の3Dプリントサービスで出力したのがコレです!!!
「いきなり話が飛んだなオイ!!!」
と思われるかもしれませんが、そのあたりの話は過去私のYoutube動画で語ったのでそちらをご参照ください。
今回はこのパーツを型取りし、ウレタンレジンで複製します。このマニ車は、現在発売されているいろんな美少女フィギュアにピッタリなサイズになっているので、このパーツが2つあれば腕に取り付けてお手軽にマシーナリーとも子っぽい女の子を作れるというわけですよ。
もちろん気合がある人は他の足りないパーツを自作するなりしてマシーナリーとも子フィギュアを作ることもできる。最高ですね。
「3Dプリンタで出力できるんなら必要な個数分、出せばいいじゃん」と思われるかもしれませんが、3Dプリントサービスは高いんだよ……。さすがにそのまま売るのは無理があるコストなので複製して安く上げます。コスパ大事。

使用する素材はこちら。型を取るシリコーンゴムと、

注型するウレタンレジンです。
今回は「両面取り」という方法でシリコーンゴムを複製していきます。手順としては
- 複製するための型枠を用意する
- 型枠に油ねんどを詰め、原型を埋める
- シリコーンゴムを流して硬化を待つ
- 油ねんどを剥がす
- 離型剤を塗る
- もう片面にシリコーンゴムを流す
- ウレタンレジンが流れる経路を彫る
- クランプしてウレタンレジンを流す
というものです。シリコーンゴムの複製については趣味で何度かやったことがあるのでパッパとやっていきます。

まず型枠に油ねんどを詰め、原型を埋めます。
今回は専用の型枠を使っていますが、液が漏れなければなんでもいいです、ダンボールとかでもいい。私は結局専用のもの使うのがいちばん面倒ないと思う。白い棒はのちのちウレタンレジンの通り道になるものです。

付属の硬化剤を混ぜたシリコーンゴムを流し込みます。
うっかりフローリングにこぼすと摩擦係数がゼロになって死ぬほどツルツル滑るので気を付けてください。マジで。
硬化にはざっくり8時間くらいかかるので寝て待ちましょう。たくさん硬化剤を入れたら2時間くらいで硬まることもありますが、硬化不良を起こしたり気泡が抜けなかったり、災いが降りかかったりする確率が高くなるのでやめておいた方が無難です。

硬化したら型枠を外し、油ねんどを剥がします。このとき原型パーツが一緒に剥がれてしまわないようにそっと剥がします。剥がれるとスキマができちゃってマズい。死ぬ。

そしたらもう一度型を型枠にはめ、表面にしっかりと離型剤を塗ります。
この作業を忘れると型と型が完全に一体化して大泣きすることになるので絶対にやってください。

ほんでもう片面のシリコーンゴムを流します。また8時間待つ。

待った!
こうして上下から取った2つの型ができました。ここに樹脂を流し込んでパーツを形作るわけです。タイヤキみたいなもんだ。

赤く塗った箇所をナイフで彫ってウレタンレジンが流れ込む経路と、気泡が抜けるための逃げ道を作ります。

パーツの下から樹脂が流れ込むように作ると気泡が抜けやすいので、経路はパーツの横から下に流れ込むような構造にします。

彫れたら型同士を合わせて幅広の輪ゴムでクランプしまして

混ぜ合わせたウレタンレジンを湯口から流し込みます。
いいカンジの型になっていれば反対側に設けた気泡が逃げるための穴から樹脂が顔を出すはず。20~30分で硬化するので虚空を眺めながら待ちます。

でけた!! 久々にやったけどわりとうまくいったな。

あとはプラモのパーツみたいにニッパーで切り出してとりあえずキットとしてはおしまいです。適当にヤスったり塗ったりは買った人が自分でやってくれ。

家にあった美少女フィギュアにつけるとこんなカンジです。いま世に出てる美少女キャラの可動フィギュアにはだいたいフィットするはずです。良かったですね。
手を動かすといろいろといい

と、いうわけで今回はいろんな方法で自らのグッズを作ってみました。いや、やっぱり自分で作ると違いますね……。
とくにUVレジンクラフトは想像していたよりも大変でした。もともとすごい技術だなあと思っていましたが、自分でやってみると工程が想像つくようになるのでもっとすごいと思える。すごい。
そうこうしてよく分からないマシーナリーとも子グッズが誕生したわけですが、これらは私が手を動かしたからこの世に生まれてしまったのです。生まれてきてくれてありがとう。手を動かしてくれてありがとう、私!
最初は「バーチャルユーチューバーになると自分のグッズを作り放題だし売れて楽しいぞ!」という話をするつもりだったのですが、なんだか結局手作りのぬくもりみたいな話になってしまいましたね。まあいいか。
この記事を読んだみなさんも、ぜひよく分からないアクセサリーやら茶碗やらを作ってみましょう。多分楽しいよ。
そして朗報です。今回製作したグッズの中で、マニ車のガレージキットはBOOTHで買うことができます。とりあえずちょっとだけ作って、その後反響次第でレギュラー商品化できるかもしれない。楽しいですね。他にもいろいろマシーナリーとも子グッズを取りそろえているのでぜひご利用ください。
それでは長々とお送りしましたがこんなところで失礼いたします。これからもマシーナリーとも子をヨロシク!
著者:マシーナリーとも子
徳で動くサイボーグ女子中学生。『アイドルマスターシンデレラガールズ』の池袋晶葉ちゃんを応援するためにバーチャルユーチューバーとして活動中。人類の敵です。よろしくね。
マシーナリーとも子ポータルサイト:サイボーグバーチャルYouTuber | マシーナリーとも子ポータル
今回紹介した商品
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*1:そのほか金属製のものや近年では3Dプリンタ出力品を販売している場合もあります