明太子。朝食にあったら間違いなく早起きしてしまう最高な食べ物である。
ランチで明太子食べ放題のお店に行くと、「え、こんなに……」と周囲からひかれるほどの量を白米とともに食べてしまうし、夕飯に明太子を食べると決まったら、どんな寄り道もしないで直帰する。つまり、三食食べてもいいくらい明太子が好きだ。
あと以前、福岡旅行へ行った際、明太子料理専門店の「めんたい重」(重箱に敷き詰められたごはんの上に海苔がのせられて、その上に明太子がのっている最高においしい食べ物)を食べたくてお店に向かったところ、大行列ができていた。でも、どうしても食べたくて並んだよね。1時間以上並んだ。それぐらい好きです。
聞いた話によると、明太子は福岡だけでも300社以上のメーカーがあるという。明太子にそんなに種類があるとは知らなかった。
そんな明太子を今回は食べ比べしたい。
せっかくならおいしい明太子を食べたいので、明太子に詳しい田口めんたいこさんに、明太子をセレクトしてもらった。
- 「福岡めんたいこ地位向上協会(めん地協)」理事長
- 明太子情報を集めるため、たびたび福岡に長期滞在している
- SNSやYouTube、イベントなど、さまざまな場で明太子情報を発信中
- 今回は数ある商品の中から「ごはんが止まらない明太子」をセレクト!
- Twitter:@taguchimentaiko
明太子といえば明太子ごはん。というわけで、今回はそれぞれの明太子で「ごはんが何杯すすむのか」を検証する。食べたごはんの量を【ごはんメーター】で示しているので参考にしてほしい。
6種類の明太子でごはんをおかわりしまくった
これが明太子が好き過ぎて、たびたび福岡に長期滞在している(!)田口さんおすすめの明太子。
🍚明太子一覧🍚
食べるのが楽しみ過ぎて、昨日の昼から何も食べてない。……本当はカロリーメイトを1本食べた。ごめん、2本食べた。でも、おなかは空いています。
明太子は基本的にごはんに合いますが、私なりに「思わずごはんをかきこんでしまいたくなる」「こんな味がごはんに合うの?」というような商品を選んでみました。
明太子はほとんどが差をつけられないぐらいおいしいレベルに達しています。あとは好みの問題になるので、基本的に順位をつけたことはありません。
では早速、いってみよう。ちなみに食べる順番はなんとなく決めた。
【1】黒糖の甘み、カツオと昆布の合わせ出汁「きわめんたい」(三楽)
一般的な明太子よりも黒っぽいのは黒糖を使っているから。
でも、明太子なんてスーパーで食べるものと違わないでしょ。そう思って食べた明太子、おめでとうございます。今のところ「ごはんがすすむ度」1位です。
普段食べている明太子よりも食べやすく、これなら明太子が苦手な人でもおいしいと思ってくれるのでは? 辛さもそこまで辛くなく、ちょうどいい。そして、味わうと出てくるコクのあるうまさ。食べ比べた中でも一番バランスがいい味だった。
【2】さわやかでスッキリした辛さ「青唐辛子明太子」(楢崎商店)
赤い唐辛子ではなく青い唐辛子を使った明太子。赤唐辛子とは違って、刺激的でさっぱりした辛さを持つ。
「一片でもかなり辛うございます」という注意書きに「いや、そんなわけないだろ!」と思って青い唐辛子を食べた。なめていたかもしれない。辛くて、ビビったよね。
辛いけどうまい。普段食べている明太子よりも辛さがさわやかだ。明太子自身のうま味もすごい。
青唐辛子の辛さ、明太子のうま味、そしてごはんの甘味、全てがあわさって今までに食べたことのない味になっている。新しい明太子に出会った記念日として、今日という日を忘れないようにします。おめでとうございます。
【3】昆布ベースの秘伝だれがたっぷり染み込んでいる「切子辛子明太子」(木藤商店)
- 良質なたらこをわざわざカットして作る「切れ子」
- 一つ一つ、たれが染み込みやすい位置でカットしている
- 口に入れた瞬間、たっぷり染み込んだ昆布ベースのたれがジュワ~
昆布が入っている明太子なんてあるのか。そんなのおいしいに決まっているだろう。
そして、この調味液に浸かっている明太子たちを見てくれ!
昆布入りの木藤商店の辛子明太子は、昆布を使用しているからこそ出る奥深さを感じる。
明太子で感じたことのない奥行きのあるおいしさ、そしてたっぷりの液に浸かっているからこその味の濃さで、ごはんがすすんで仕方ない。どうしよう、お米がこの世から消えてしまったら。すごい勢いで2杯も食べてしまった。
ちなみに今回は「魚沼産コシヒカリ」を用意したが、「いつもおうちで食べているお米、いつもの炊き方で気軽に自由に食べてほしい」(田口さん)そうだ。
しかも、これだけではない。田口さんのおすすめの食べ方があるそうだ。
調味液をたっぷり吸いこんだ明太子をごはんにのせ、卵かけごはんにするのがおすすめです。調味液がパック内にも残っている場合はぜひ一緒にかけちゃってください!
いいのか、そんなことをして。罰とか当たらない? 明日、小指とかぶつけない?
でも、おすすめしてくれたのだからやらないとなー。仕方ないなー(鼻歌を歌いながら卵を割った)。
明太子ごはんと卵かけごはんが合わさったら、何が起こると思う? タッグマッチトーナメント優勝です。おめでとうございます。
明太子の味の濃さが卵によってマイルドになる。特製の調味液を卵と混ぜて口にかっこんでみてほしい。想像をしただけでよだれが止まらなくなる。たぶん今なら子どもに思いっきりおなかを殴られても許す。でも、「ダメだぞ」とは言うと思う。
もう、米一粒も入らない。まだまだ食べ比べたい明太子はあるが、いったん帰っておなかを空かせてからまた来ます。
【4】かぼす果汁をぜいたくに使用「かぼす辛子めんたい」(福さ屋)
味付けは基本の明太子だが、味わうとほのかに薫るかぼすの香り。少しすっぱさを感じる珍しい明太子である。
うまい。うまいが、ごはんというよりも豆腐の上にのせたり、白身魚を使った鍋にのせたりして食べたら、日本酒が止まらないと思う。みんなはどう思う?
【5】数種類の味噌を使っていて甘め「味噌明太子」(海千)
- 味噌の香りがほんのり! 甘めの味わい
- 地元宗像産大豆と小麦を使って作られた味噌がベースになっている
- 少し表面を炙ると香ばしさが加わってさらに楽しめる
海千の公式サイトには、「赤しそ」や「柚子胡椒」を使った明太子もあり、毎日食べても飽きなさそうな多くの明太子が展開されている。
今回は味噌だ。味噌ラーメンにバターとコーンをこれでもかと入れて食べるのが好きです。
味噌を使った明太子。購入するとき、「はなまるマーケットでも紹介されました」と書いてあって懐かしくなった。炙るとより風味が増しておいしいらしいのでみんなやろう(今回はそのままいただきます)。
味噌の味はそこまでしない。味噌漬けというと西京漬けを思い出すだろうが、なぜか粕漬けの味に近い。噛みしめるほどに味わい深い明太子だ。焼酎を飲みながら、しみじみと食べたい。
ごはんとの相性としては、「酒粕漬けがあれば、ごはんを無限に食べられます!」という人にはおすすめ。
【6】厳選されたスパイスでしびれる辛さ「辛皇 ホットエンペラー」(ふくや)
- 激辛明太子、そのままでも基本の辛さの約9倍
- 付属のホットエンペラーソースをかけると、基本の辛さの約13.5倍に
- 厳選された7種類のスパイスが生み出すうま味
「辛皇 ホットエンペラー」という名前が強い。ラスボス感がある。多分、 第二形態があるタイプのボスだと思う。
田口さんが言うには「付属のソースをかけないでそのまま食べてみてください」とのことなので、明太子とごはんだけで食べてみる。
赤い明太子と白飯を食べる。「少し辛いけどおいしい」と思った瞬間、口の中、燃えました。
全身の毛穴が開き、汗が噴き出すほどの激辛。一口食べるたびに悶絶するが、その中に唐辛子特有のうま味と明太子のうま味ががっちりと手を組んで、クセになるおいしさではある。
分かりやすく説明すると「蒙古タンメンって辛いけどおいしい」そんな感じです。辛さでごはんを食べている。
ただこの明太子、付属のタレをかけるとより辛くなるらしい。すでに悶絶しているが、気になったので食べてみた。
食べた瞬間は、そんなに辛くなかったのだ。飲み込んだ瞬間に喉が焼けるほど辛く、水を飲んでも辛さがひかない。あまりの辛さに、作った人に電話しようと思った。「どういうおつもりですか?」と一度、問いただしたい。
ただ、食べた瞬間に満足感というか達成感がある。激辛を食べたいときにはいいかもしれない。
明太子マニアとっておきの簡単料理法
6種類の明太子を食べ比べたところで、田口さんに明太子を使ったおすすめの食べ方を聞いた。
基本的に明太子そのものを楽しみたいのでアレンジをおすすめすることはほとんどないのですが……明太子は油や乳製品と合います。変わり種だとお湯の代わりに牛乳を使った「明太子牛乳茶漬け」がおいしいですよ。
明太子牛乳茶漬け? 味の想像がつかない。早速作ってみよう。
今回は楢崎商店の「青唐辛子明太子」を使った。ごはんが4杯いけた明太子だ。
作り方は簡単。ごはんの上にお茶漬けの素をかけて、そこに明太子をのせて、温めた牛乳をかける。これで完成。
食べてみると牛乳のコクと明太子のつぶつぶ感がたまらない。まるでたらこバターのパスタみたいな味でとてもマッチする。サイゼリヤでも出してほしい。
他には「切り干し明太」は好きでよく作っています。
【切り干し明太】
・明太子……大さじ2
・切り干し大根……20g
・マヨネーズ……大さじ2
・みりん……小さじ1
・めんつゆ……小さじ1
・海苔……適当
【作り方】
(1)切り干し大根を水で戻す(約1分)
(2)切り干し大根の水気をこれでもかってくらい絞る
(3)調味料を全部混ぜる
(4)切り干し大根と調味料を混ぜる
(5)食べる直前にちぎった海苔を混ぜる
これもごはんがすすみそうだ! 家に帰ったら試してみます。
明太子は「沼」。自分好みの明太子を探してほしい
今回は、「黒糖」「青唐辛子」「昆布」「かぼす」「味噌」そして「激辛」という特徴がある6種類の明太子を食べた。どれもおいしく、ごはんも合計16.5杯を食べてしまった。
おなかいっぱいである。夢で明太子を食べる夢を見るぐらい堪能したが、これでも300社以上が作っている明太子の一部を食べたに過ぎない。
きっと「朝にちょうどいい明太子」や「ちょっと贅沢したいときに食べたい明太子」など、シチュエーションによって食べ分けられるほどの明太子があるはずだ。
最後に田口さんのメッセージを伝えたい。
もともとは、ふくやの創業者の方が「明太子はただのお総菜なんだから」というスタンスで特許も取らず、惜しみなく作り方を教えてきた歴史があります。気軽に食べてみてほしいです。
気軽に食べていい。気分に合わせて変えてみてもいいかもしれない。
今回の食べ比べでは用意できなかった田口さんのおすすめ明太子を紹介しておきます。
【おまけ1】国産スケトウダラの卵で優しい味「オリジナル辛子明太子」(島本)
【おまけ2】マイルドながらもごはんがすすむ味の濃さ「好味」(福太郎)
今回のレポは本当にごはんをたくさん食べたので、意外と過酷な企画だった。でもこの試練を乗り越えたおかげで、明太子への愛が深まったのは間違いない。
紹介した明太子以外にも自分に合った明太子がきっとあるはず。自分好みの明太子を探して、ぜひ食べてみてほしい。
- 1. きわめんたい(🍚🍚🍚)
- 2. 青唐辛子明太子(🍚🍚🍚🍚)
- 3. 切子辛子明太子(🍚🍚🍚)
- 4. かぼす辛子めんたい(🍚🍚)
- 5. 味噌明太子(🍚🍚+0.5杯)
- 6. 辛皇 ホットエンペラー(🍚)
- 7. オリジナル辛子明太子
- 8. 好味
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著者:江ノ島茂道(えのしましげみち)
1988年神奈川県生まれ。普通の会社員。デイリーポータルZを中心に活躍し、食べ物ネタを中心に食べっぷりを披露する記事が多い。好きな食べ物はカレーとチャーハンと薄皮クリームパン。Twitter:@enoshigemi
ソレドコでTwitterやってます!
今回紹介した商品
「きわめんたい」を詳しく見る
「青唐辛子明太子」を詳しく見る
「切子辛子明太子」を詳しく見る
「かぼす辛子めんたい」を詳しく見る
「味噌明太子」を詳しく見る
「辛皇 ホットエンペラー」を詳しく見る
「オリジナル辛子明太子」を詳しく見る
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