「ラーメン」で有名な地域と聞くと、皆さんはどこを思い浮かべますか?
札幌ラーメンや博多ラーメン、喜多方ラーメンなどのご当地ラーメンで有名な地域でしょうか? もしくはラーメンに詳しい方なら、長年ラーメン支出額でトップの座に君臨していた山形市を思い浮かべるかもしれません。
しかし、近年ラーメンマニアから熱視線を送られているのが、実は「新潟」なんです!
2021年の「ラーメン支出額(1年の間にラーメンにかけた外食費用)*1」では、8年連続1位だった山形市を抜いて、新潟市が1位に輝きました。新潟は今、乗りに乗っているラーメン王国なのです!
しかしそんな新潟のラーメンですが、他府県の人にとっては意外と「知らなかった」「食べたことがない」ということも多いはず。でも実は、新潟には他の地域にはない個性豊かなラーメンがたくさんあり、子供からお年寄りまで、幅広い世代に愛されているんです。
そこで今回は、新潟の人たちがどれだけラーメンを愛しているのか、新潟のラーメンにはどんな魅力があるのかといった新潟ラーメン事情について、下記のお二人に登場いただき、二部構成でインタビューをお届けします!
- 前半:新潟市の職員・目黒さん
- ラーメンの支出額や店舗数といった統計データから、新潟の人がどれだけラーメンを愛しているのかを解説していただきます!
- 後半:地元メディアでラーメン情報を発信し続けている“新潟ラーメン伝道師”片山さん
- 新潟ラーメンの特徴について、代表的な「新潟5大ラーメン」を中心に、それぞれの魅力などを解説していただきます!
新潟の代表的なラーメン5種類に加え、新たに盛り上がっている今後注目のラーメン3種類も紹介。ほぼ全てのラーメンが、お取り寄せでも楽しめますよ!
データで実証! 新潟の人の「ラーメン愛」はこんなに深い
まずは新潟市で食文化の発信に携わっている職員の方に、新潟市が「ラーメン支出額日本一」になった理由や、新潟の人たちが普段どれだけラーメンに親しんでいるのかを伺いました!
新潟市の農林水産部にて食育や花育の推進活動、農産物の販売促進などを担う「食と花の推進課」で主査を務める。
自身も子供の頃からラーメンに親しみ、今でも毎週食べるほどのラーメン好き。
その1:「外食&カップラーメンの支出額」が多い!
── ラーメン支出額日本一、おめでとうございます! 1位に輝いたラーメン支出額のデータを詳しく教えていただけますか。
ありがとうございます! 総務省の2021年の調査によると、新潟市のラーメン支出額は1世帯あたり年間平均で13,734円です。
── ラーメンが1杯600円として、1世帯あたり年間で22杯食べられている計算になりますね! あくまでも平均ということを考えると、確かに多い印象です。
私も外食や自宅も含めて、だいたい週に1〜2回はラーメンを食べていますね。そしてカップラーメンの支出額も1位で、1世帯あたり年間平均で7,481円です。
── カップラーメンは1杯150円として年間49杯。ほぼ毎週1杯食べている計算で、これも多いですね……!
その2:人口に対するラーメン店舗数が政令指定都市で最も多い!
そもそも、新潟市はラーメン店の数が多いんです。2018年(平成30年)に新潟市が調査したデータによると、人口10万人あたりのラーメン店の数が政令指定都市では最も多く、37.2店でした。
── 街を歩けばすぐラーメン店が見つかるような環境なんですね! それは確かに食べる機会も増えそうです。
実際、ラーメン店に行列ができているのもよく目にしますし、日頃からたくさんの人がラーメンを食べているんだなという印象はありますね。
── そもそも、なぜ新潟でそんなにラーメンが食べられるようになったのでしょう。
これは諸説あるのですが、新潟といえば一般的には米どころとして知られていて、知り合いに米農家さんがいてお米をいただく機会もあったりして、普段から自宅でおいしいお米を食べる機会が多いんです。となると、「外食ではご飯ではなく麺類が食べたい」と思う人が多いのかもしれません。
── な、なるほど……! でも、麺類ならうどんやそばでもよかったのでは?
新潟は場所柄、昔から東アジアとの交流が盛んでした。なので、ラーメン店だけでなく中国料理のお店も多いんです。そういう背景もあり、麺類といえばラーメンが定着したのではないかと思います。それに加えて、新潟の冬はとても寒いです。熱いラーメンは体を温めるのにもぴったりだったのではないでしょうか。
── 納得の理由です!
ラーメンに関する新潟の特殊性はまだあります。新潟のラーメン店には「座敷」があるところが多いんです。他地域のラーメン店では、おそらくそれほど多くないのかなと。
── 確かに、ラーメン店といえばカウンター席が中心で、あってもテーブル席くらいのイメージですね。
座敷があるので、家族連れで食べに行きやすいんです。その結果、子供の頃からラーメンに親しむ機会が増えて、大人になっても自然にラーメンが日常食になるのかもしれません。ラーメン支出額で1位になれたのも、こういった事情が関わっているのかなと考えています。
新店も続々オープンし、ますます盛り上がりを見せる新潟ラーメン
── 今後、新潟ラーメンはどのように盛り上がっていくと思いますか?
新潟ラーメンで代表的なのは「新潟5大ラーメン」と呼ばれる5つのジャンルですが、そういった既存のラーメンだけでなく、新しいジャンルのラーメンも増えており、新店もどんどんオープンしています。県外から帰ってこられた方がラーメン店を開店されるケースも多く、これまで新潟になかったようなジャンルのラーメンも増えています。個人的には、新潟で最近盛り上がってきている「麻婆麺」にハマっています!
── 新潟のラーメン文化は今まさに盛り上がりの真っ只中にあるのですね……! それだけバラエティーに富んだラーメンがあると、毎日のように食べても飽きることがなさそうです。
おっしゃる通りです。だからこそ、新潟はラーメン支出額1位に輝けたのだと思います。
お取り寄せでも楽しめる! 新潟「5大ラーメン」の魅力について教えてもらった
一口に「新潟ラーメン」といっても、実はその種類はさまざま。続いては新潟のラーメン文化に詳しい「新潟ラーメン伝道師」の片山貴宏さんに、新潟ラーメンの特徴について伺いました!
新潟県のタウン情報誌「月刊新潟Komachi」やWebメディア「&Komachi」を運営する株式会社ニューズ・ラインでラーメン専門アプリ「ラ〜ポン」のコンテンツマネージャーを務める。2021年夏からは、新潟の人気ラーメンやつけ麺の通販サイト「宅配にいがた麺の市」を運用。
自らの肩書きを「新潟ラーメン伝道師」と名乗り、さまざまな媒体で新潟のラーメン文化を発信している。
&Komachi公式サイト:&Komachi
新潟Komachi公式Twitter:@toku_komachi
新潟ラーメン一番の特徴は「種類の豊富さ」
── これまでにさまざまな媒体を通して新潟ラーメンを追求してこられた片山さんに、ぜひ新潟ラーメンについて詳しく教えていただきたいです! 早速ですが、新潟ラーメンの魅力って、ずばり何でしょうか?
一番の特徴は「種類の豊富さ」だと思います。例えば、札幌なら味噌ラーメン、博多ならとんこつラーメンといった具合に、他の地域のラーメンの場合、地名を聞くと特定のジャンルのラーメンがすぐ思い浮かびますよね。
ところが新潟ラーメンはとても種類が多いので「新潟ラーメン=◯◯ラーメン」とは言いにくい。通称「新潟5大ラーメン」と呼ばれる5つのジャンルがあり、それら全てが新潟を代表するラーメンなんです。
── 「新潟ラーメン」と言われたときに思い浮かべるラーメンが5つあるというのは、確かに珍しいですね! なぜ5つもあるのでしょう?
新潟県は東西にすごく長い土地で、山もあれば海もあります。そのため、都市によって文化的、産業的な特徴がはっきり分かれているんですね。だからこそ、各地で独自のラーメン文化が盛り上がったのだと思います。
「新潟5大ラーメン」はこんなに個性的! それぞれが生まれた背景を聞いてみた
── 新潟5大ラーメンについて詳しく教えていただけますか?
新潟5大ラーメンとは、「長岡生姜醤油ラーメン」「燕背脂ラーメン」「新潟濃厚味噌ラーメン」「新潟あっさり醤油ラーメン」「三条カレーラーメン」です。
「長岡生姜醤油ラーメン」
豪雪地帯の長岡市で体を温めるために生まれた、生姜たっぷりの醤油ラーメン。濃い飴色のスープにチャーシューとほうれん草、のり、ネギがのったクラシックなラーメンに、生姜をきかせている。
「燕背脂ラーメン」
濃口しょうゆが効いた煮干しベースの真っ黒なスープに、うどんのようなモチモチの極太麺、みじん切りの生タマネギを合わせ、それらを覆い隠すように背脂をたっぷりとのせたラーメン
「新潟濃厚味噌ラーメン」
食べながら割りスープを加えて、好みの味に調整しながら食べるスタイルの味噌ラーメン。
「新潟あっさり醤油ラーメン」
そうめんのような極細麺と丼の底が見えるほど透き通ったスープが特徴の、あっさりとした醤油ラーメン。
「三条カレーラーメン」
新潟の人たちに愛される「ラーメン」と「カレー」を掛け合わせて誕生したラーメン。ラーメンの上にカレールーをかけたり、ダシとルーを混ぜてカレースープに仕上げたりと、スタイルは店ごとにさまざま。
【長岡生姜醤油ラーメン】
まず、「長岡生姜醤油ラーメン」は、新潟第二の都市である長岡市で発達したラーメンです。濃い飴色のスープに食べ応えのあるチャーシューとほうれん草、のり、ネギ。いわゆる「中華そば」的なクラシックなビジュアルながら、スープをすするとじんわりと広がる生姜の風味。これが「長岡生姜醤油ラーメン」の特徴です。
── どういった理由で、生姜を入れるようになったんでしょうか?
長岡市は豪雪地帯で、人々は昔から寒い時期にラーメンを食べて体を温めていました。ラーメン店としても、しっかりと体を温めてもらおうということで、生姜をスープの仕込みにたっぷり使っていたといわれています。
── 寒い地域ならではのラーメンなんですね!
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【燕背脂ラーメン】
次に、「燕背脂ラーメン」は、燕市と三条市という金物産業で有名な場所で生まれました。濃口しょうゆが効いた煮干しベースの真っ黒なスープに、うどんのようなモチモチの極太麺、みじん切りの生タマネギ。そして、それらを覆い隠すような背脂がたっぷり。新潟5大ラーメンの中でも麺、具、スープすべてにおいてオリジナリティーにあふれているのが「燕背脂ラーメン」です。
── 地元の産業と関わりがあるんですね!
戦後の高度成長期に金物産業が発展し、人々は町工場で寝る間も惜しんで働いていました。ご飯を食べる時間ももったいないということで、出前をよく取っていたそうです。
例によって燕三条も冬は寒さが厳しく、ラーメンを出前で持っていく間に冷めてしまったり、麺が伸びてしまったりしていました。そこで燕背脂ラーメンの元祖である「杭州飯店」では、ラーメンが冷めないように背脂で蓋をし、麺が伸びにくいように太麺を使うようになったそうです。その結果、背脂ラーメンが定着したというわけです。
── なるほど! 先ほどの長岡生姜醤油ラーメンといい、寒い地方だからこそ、いろんな工夫が生まれたんですね。
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【新潟濃厚味噌ラーメン】
「新潟濃厚味噌ラーメン」は、もやしやキャベツなど野菜がたっぷり入っていることが多いので、食べ応え満点です。ちょっと珍しい食べ方が特徴で、食べながら割りスープを加えて、好みの味に調整しながら食べるんです。つけ麺ではよくありますが、味噌ラーメンではなかなかない食べ方ですよね。
── なぜそんな食べ方になったんですか?
新潟濃厚味噌ラーメンは、新潟市の「こまどり」という、温泉地の料理屋だったお店が元祖です。もともと温泉客が飲んだ後の締めに食べられるようにと味噌ラーメンを提供していたのですが、これがすごく濃厚で、一部の温泉客から「しょっぱ過ぎる」とクレームがきたそうなんです。そこで、当時のこまどりの店主が「だったら自分で好きな濃さに割ってくれ」とダシを付けるようになり、これが大ヒットしたといわれています。
── お客さんからのクレームがきっかけでヒットが生まれたとは……!
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【新潟あっさり醤油ラーメン】
「新潟あっさり醤油ラーメン」は、新潟市中心部の、地元で「新潟島」と呼ばれている場所で生まれました。そうめんのような極細麺と丼の底が見えるほど透き通ったスープが特徴です。かみ応えのある豚モモ肉のチャーシューやコリコリ食感のメンマ、ネギといったおなじみのトッピングも相まった、ノスタルジックな一杯です。
──新潟島でどのようにして生まれたんですか?
当時、新潟島にはたくさんの屋台が並んでいたそうです。屋台では、あまり強い火力を使えないんですね。そこで、少ない火力かつ短時間で麺をゆでられるようにということで、あっさりした極細麺のラーメンが主流になったといわれています。
──「屋台で作る」ことを考えてこの形になったんですね。なるほど〜。
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【三条カレーラーメン】
最後に「三条カレーラーメン」。実は三条カレーラーメン自体は80年ほど前に誕生したといわれる歴史あるラーメンなんですが、三条市外の方にはあまり知られていませんでした。新潟5大ラーメンになったのは12年ほど前で、最も新しく加わった5大ラーメンなんです。
── どういった流れで、三条市以外でも知られるようになったんですか?
実は新潟ってラーメンだけじゃなくて、カレーが好きな人もとても多いんです*2。そこで、三条市の有志が「カレーとラーメンをご当地の名物として打ち出していこう」と考えつき、広まっていった形です。
現在、三条市内の30店以上でカレーラーメンが提供されており、その内容はラーメンの上にカレールーをかけたり、ダシとルーを混ぜてカレースープに仕上げたりと、お店によりさまざまなスタイルがあります。
── 新潟のラーメン&カレー文化のアピールに一役買ったわけですね!
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── さすが新潟5大ラーメンというだけあって、それぞれにユニークなエピソードがありますね! 新潟の皆さんにとって、ラーメンは地元に根付いた、まさにソウルフードなんだということがよく分かりました。
そうですね。一方で、そこが新潟以外の方になかなか認知度が上がらない理由でもあるんでしょうね。観光で来られる方向けというよりは、地元で愛されているグルメなので。
5大ラーメン以外にも、新潟ラーメンはまだまだある!
── ちなみに5大ラーメン以外にも、新潟ならではのラーメンってあったりするんでしょうか?
たくさんありますよ! 例えば妙高市の「オーモリラーメン」が元祖の「上越豚骨醤油ラーメン」。100%のとんこつラーメンで、博多ラーメンのように白くてサラッとしているのではなく、茶褐色のスープで家系ラーメンに近い印象です。
それから、「たちばな」という豚汁専門店が考案した「とん汁ラーメン」。豚汁をラーメンのスープのベースにしていて、他の地域ではなかなか見かけないラーメンです。
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また、最近すごくはやってきているのが「麻婆麺」ですね。一般的に麻婆麺というと、あっさりしたラーメンの上に麻婆豆腐がのっているイメージだと思いますが、新潟には豚骨メインの白濁スープや汁なしタイプなど濃厚系が最近続々と増えています。麻婆豆腐に背脂を振ったり、チーズを入れたり、味噌を入れたりと、お店によってバラエティー豊かな麻婆麺が増えています。
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── お話を伺っていると、ものすごく新潟ラーメンが食べたくなってきました……! 新潟に行ったときは絶対にラーメンを食べようと思いますが、何か新潟ラーメンを楽しむ上でのポイントなどはありますか?
そうですね。新潟のラーメン店の特徴として、お客様の要望にわりと柔軟に応えてくれることがあります。例えば、新潟濃厚味噌ラーメンは今も各店舗に割りスープが置いてあるのが一般的ですし、燕背脂ラーメンも背脂の量が選べます。そういったカスタマイズも新潟ラーメンの醍醐味(だいごみ)だと思うので、ぜひ皆さん自身の好きな新潟ラーメンを見つけてほしいと思います。
── ありがとうございます。 ひとまずお取り寄せで、自分の好きな新潟ラーメンを探してみようと思います!
ラーメンって奥深くて、決まった枠組みというのがないんですね。昔はラーメンといえばスープに麺が入っているものでしたが、今はつけ麺や汁なし麺なんかもラーメンとして市民権を得ています。もともと中国から伝来した料理をどんどんアレンジしていった結果生まれたのがラーメンですから、許容できる幅が広いんだと思います。だからこそ、全国にこれだけ豊富なご当地ラーメンがあるわけです。
そういう意味で、今後も新しいラーメンはどんどん生まれてくるでしょうし、ラーメンはもっと面白くなるでしょう。ぜひこれからも新潟のラーメンに注目してください!
ぜひ実際に味わって、新潟ラーメンの魅力に触れてみよう
ラーメン支出額が日本一になったことで、より一層注目を集めつつある新潟ラーメン。新潟市役所の目黒さん、新潟ラーメン伝道師・片山さんのお話を伺って、新潟ラーメンの奥深い世界にすっかり魅了されてしまいました。
バラエティー豊かな新潟ラーメン、現地を訪れることがあれば、ぜひ食べ歩きしたいものです。新潟に行く機会がないという方でも、楽天市場で新潟ラーメンを購入できるのでご安心を! ラーメンは好きだけど新潟ラーメンは食べたことがなかったという方は、ぜひ一度味わってみてください!
聞き手・文:山田井ユウキ
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