家族を「キャンプ沼」へ引きずり込んだ先輩たちが、どんな形で家族とキャンプを楽しむようになったかを見ていく連載【キャンプと家族】。
第2弾はみそおさん。自分自身も含め、キャンプ初心者一家からのスタートだったそうです。
各家庭でいろいろな方針があるとは思いますが、家族とキャンプを楽しみたい人にとって参考になりそうなヒントがたくさんありますよ。
連載【キャンプと家族】 前回はこちら
「快適度」を上げてインドア派な家族もキャンプ沼へ……妻と2人の息子が沼にハマるまでの経緯と「あって良かった」アイテム
- 「安心感」を共有するために心がけたこと
- 1. 「デイキャンプ」から始めた
- 2. キャンプ場選びは「規模」に注意
- 3. 文明の利器に頼りまくった
- 4. インスタント食品も活用した
- 5. 焦らないためにあえて予定を立てない
- 初心者ファミリーにオススメのキャンプ道具5選
- 1. スノーピーク 「ランドロック」
- 2. スノーピーク 「ローチェア30」
- 3. イワタニ「タフまる」
- 4. チャムス「キャンパーマグカップ」
- 5. スパイス「スマイルLEDランタン」
- 家族の変化。ちょっとずつキャンプを楽しみにしてくれるように
- ゆったりと安心感を持ちながら、自分らしいキャンプを目指す
キャンプブログ「Misoji×Camp」を運営している、みそおです。皆さん、キャンプを楽しんでますか?
我が家は2018年に私と妻、9歳と5歳の息子の家族4人でファミリーキャンプを始めた、まだまだ初心者のキャンプ一家です。
もともと私はソロアウトドア派でしたが、家族との時間が増えるうちに、一人で楽しんでいても、いつからか物足りなさを感じるようになりました。
正直に言います。寂しくなったんです(笑)。
「一人で遊ぶのもいいけど、 家族全員とも遊びたい」という私のわがままな気持ちが生じ、それは次第に「家族が楽しめるイベントを作りたい」に変わっていきました。
そして昨今のキャンプブームに後押しされ、「キャンプを家族共通の趣味にすればいいのでは?」と思い行動を開始したわけです。
「安心感」を共有するために心がけたこと
まずは家族の不安材料を取り除き、「安心感」を持ってキャンプを楽しむことにしました。
というのも、キャンプというのはあくまでもレジャーであり、遊びであり、「楽しい」「楽しかった」と思えるものでないと意味がないと思うからです。
家族に「楽しい」と思ってもらうには、「安心感」が必要不可欠なんです。
例えばテントを全く触ったことのない状態で、いきなりキャンプ場へ行っても、どうしていいか分からず不安になりますよね? そして焦ったり、イライラしたり、最終的には「キャンプに来るんじゃなかった……」と思ってしまうかもしれません。
そうならないためにも肩に力を入れず、無理のない範囲で、自然体でキャンプを楽しむこと、そして「安心感」を家族で共有することが何より大切だと思っています。
ここから、私がキャンプにあまり乗り気じゃない妻や息子らを沼に引き込むためにやってきたこと、現在進行形で心掛けていることをご紹介したいと思います。
1. 「デイキャンプ」から始めた
「キャンプ中の家」となるテントは、滞りなく確実に設営できなければなりません。
キャンプは慣れていない環境なので、子供の行動やアウトドアでの調理など、どうなるのか予想できない部分もあります。
そういった不安を解消するために、いきなりキャンプをするのではなく、日帰りでアウトドアを体験できる「デイキャンプ」から始めてみました。
キャンプ場やバーベキュー場などで行うデイキャンプは、着替えやシュラフ、大型クーラーボックスなども必要なく、気軽にキャンプ気分を味わえます。
併せてテントやタープの設営を事前に練習する「試し張り」をすることで、組み立て方やレイアウトのイメージが沸きやすくなったり、付属品のチェックの仕方を学んだりと、多くのメリットがあります。
実は情けない話ですが、私自身、設営練習を兼ねたデイキャンプで初テントの時に、フレームの組み立て方に誤りがあり、破損させてしまったことがあります(汗)。
もしこれがキャンプ当日だったとしたら、中止せざるを得ない状況で、もう帰宅するしかありませんでした。
「一度でも体験した」というのは説得感が違い、家族の安心感につながります。
2. キャンプ場選びは「規模」に注意
多種多様なキャンプ場があり、その趣もさまざまです。家族がまだキャンプに慣れていない・あまり乗り気ではない段階では、下記のポイントをチェックしました。
- 自宅との距離
- トイレ、炊事場の清潔感
- お風呂の有無・キャンプ場との距離
- 買い出しのしやすさ
個人的にキャンプ場の「規模」には特に注意しています。
大規模なキャンプ場は広々として良いのですが、そのぶん利用者も多く、テントも同じような形が並んでしまいます。遠目では「自分のテントはどこ?」と、子供が迷ってしまうシーンも少なくありません。
規模(敷地)が大きくなると必然的に共有施設がテントから遠くなってしまいます。トイレを我慢しがちな子供が、「パパ〜! 漏れそう〜!」と言い出した時には「もっと早く言ってよ……」とかなり焦ってしまいます(実体験)。
そういう点からもあまり大き過ぎないキャンプ場の方が、ファミリー層(特に子供が小さい時)にはオススメです。
今までに行ったことのある以下の岐阜県のキャンプ場は、程よい距離感と設備の清潔さで、安心してキャンプができると思います。
グリーンウッド関ケ原(岐阜県関ケ原町):高規格と呼べるほど設備が充実しているわけではないですが、良い意味でこぢんまりとしており、トイレやサイトなどの距離感が程よく感じました。比較的市街地からも近いキャンプ場で、買い出しやお風呂なども行きやすくファミリー向けです。
3. 文明の利器に頼りまくった
普段の生活から離れて、不便さを楽しむ一面もキャンプにはあります。
昨今では、「ブッシュクラフト」(便利グッズをあえて使用せずに、頑丈なナイフで薪を割ったり、メタルマッチで点火し焚き火のみで過ごしたりする)と呼ばれるサバイバルに近いような過ごし方もありますね。
ですが、私はやはり安心感を優先して、文明の利器とも呼べる便利で安全に使えるキャンプ道具を多く利用しています。
例えば、ガソリンやガスなどの燃料を使い、光をともすランタンがあります。非常に魅力的ですが、本体もかなり熱くなり、子供がいるとやけどなどの危険があります(特に我が家の息子は落ち着きがなくて……)。
今は充電式や乾電池式の明るく、安全で、使いやすいLEDランタンも多くあります。我が家で基本的に使っているのは安心なこのランタンばかりです。
便利な道具ばかりだと非日常感が薄れてしまいそうですが、最初は安心・安全を優先し、自身のスキルや子供の成長を感じながら、ゆっくりと不便さが楽しめるようになればいいんです。
4. インスタント食品も活用した
アウトドアという場は、自宅とは違いご飯を作るだけでも結構大変です。食材一つ切るにも「どこに置けば……?」と環境の違いに戸惑います。
キャンプでのご飯としてBBQをイメージされる方も多いと思いますが、BBQはコンロの準備や片付け、火起こし、やけどの心配などなど、子供と一緒だと意外と危険だったりします。
我が家は飯ごうでご飯を炊くだけでも十分に「アドベンチャー」というレベルの初心者なので、温めるだけのパスタソースやインスタント、缶詰などを積極的に活用しています。
インスタント系は手軽さのほかにも、料理の量を調整しやすく、生鮮食材と違いキャンプ前後にも使えるメリットがあります。
インスタントとはちょっと違いますが、必要なスパイスや調味料がブレンドされた「エスビーシーズニング」もよく利用しています。食材に振りかけてフライパンで焼くだけといったシンプルな調理方法なので、便利でお手軽です。
タンドリーチキンやガパオライスなど、種類も豊富なので、陳列されたシーズニングを眺めながら「次はコレ!」と、メニューを決める際にも助かっています。
5. 焦らないためにあえて予定を立てない
子供と一緒に行動していると、急なトイレや買い物などで時間が読めない部分もあり、予定通りにことが進まずに焦ってしまうことがあります。
焦りは失敗につながります。なので我が家のキャンプでは、食事メニュー以外は基本的に現地での予定を立てていません。
予定がなければ焦らずにすみ、のんびりできるからという極論的な考えです(笑)。心の安心感につながるわけですね。
それでも、実際にキャンプに行けば自然やキャンプ場のアクティビティなどもあって、時間を持て余すこともないです。むしろ時間が足りないぐらい。
加えて、我が家ではキャンプ中にあえて、子供たちにもいろいろと手伝ってもらっています。一緒に行うと時間はかかってしまいますが、設営や撤収も含めて「家族で全員でキャンプをする」ということを大切にしたいからです。
息子2人は飽き性ですが、「さて、どうやって組み立てるでしょうか?」「惜しいな〜。あとちょっと!」と、クイズ形式にすると意外と楽しんで手伝ってくれます。
初心者ファミリーにオススメのキャンプ道具5選
多くのアウトドアメーカーから魅力的なキャンプ道具が販売されており、キャンプ中に感じた不満を解消するためにいろいろと購入し、「キャンプ道具の沼」にハマっています。
私が安心感を持ってキャンプをするために、買って良かった物を5つご紹介したいと思います。
1. スノーピーク 「ランドロック」
いろいろな形のテントがありますが、リビングと寝室部が一体となったツールームテントは、ファミリー層にオススメのテントです。
子供は寝てるけど、親はまったりとキャンプを楽しみたい時など、寝室とリビングが隣同士なので、安心してくつろげるのが買って良かったと思えた点です。
ツールームテントは設営が難しいイメージがあります(実際に難易度は上がります)が、ひと昔前とは違いメーカー公式の設営動画や講習会が充実しており、そのハードルは低くなっていると思います。
紹介した「ランドロック」は、日本企業であるスノーピークのテントで、全国に正規店が多く、メーカーの人と直接相談ができるのも安心です。
「スノーピーク ランドロック」を詳しく見る
「ツールームテント」を詳しく見る
2. スノーピーク 「ローチェア30」
テントと同じくスノーピークのチェア。意外と見落としがちですが、キャンプで一番使用する道具はこのチェアです。
まだ体の小さい次男の足が地面に届かないチェアだと、大人しく座ってくれない時などに不安定になったりします。
キャンプは火元など危険がそばにあるので、子供でも安定した座り心地で、地面に足がしっかりと届きやすい座面の高さの「ローチェア30」は、安心して過ごすために欠かせない存在になっています。
3. イワタニ「タフまる」
自宅とは違い風や気温に影響されるので、バーナーなどの火器類の選び方は気をつけたいポイント。
ただ、アウトドア用のバーナーなどは小型の物が多く、ファミリー層が使う大きめの調理器具とはあまりマッチしません。
よくあるカセットコンロでもアウトドアに特化した「タフまる」は、大きめのフライパンでも安定して使え、風が吹いても火力が落ちづらい設計になっています。
余談ですが、カセットコンロだと「自宅でも使えるから」と妻に交渉しやすいのもメリットの一つです(笑)。
4. チャムス「キャンパーマグカップ」
自宅用の食器や紙皿などでもキャンプはできますが、イベント感を出して盛り上げるのも大事です。
チャムスの「キャンパーマグカップ」は、カラフルでポップなデザイン。
耐熱樹脂製でホットドリンクでも飲み口が熱くならず、軽くて落としても壊れにくいのが特徴です。子供も心配なく使うことができます。
5. スパイス「スマイルLEDランタン」
こちらも子供用のキャンプ道具。個人的にファミリーキャンプでは、大光量のランタンをどんと一つ置くよりも、小さいランタンをテント内に配置する方が利便性が高いと思っています。
というのも、家族でキャンプする場合、夜間のトイレ移動など、その場その場でランタンが欲しくなるシーンがあるからです。
かわいらしいデザイン、ボタン操作一つの扱いやすさ、そしてリーズナブルな価格は、壊してしまう可能性が高い子供用に最適です。
ちなみに、妻の「道具を買い過ぎじゃない?」という視線には、キャンプ中にさりげなく「ツーバーナーがあるといいよね〜?」と、遠回しに賛同を得ながら、感触が良さそうなものから購入しています。
「どこに収納するの?」という視線には、収納グッズ・ボックスをそろえて、見栄えと使いやすさを向上させて理解してもらっています。
ショップや雑誌を見て話題を振りながら、自分一人で決めるのではなく、妻と相談してグッズを購入しています。
家族の変化。ちょっとずつキャンプを楽しみにしてくれるように
キャンプ当初は、
- インドア派の妻
- テレビゲーム大好きな息子2人
- 私自身もキャンプが初めての経験
「本当に家族でキャンプできるの?」――。不安材料だらけの中で、いろいろとキャンプの準備を始めました。
キャンプを始めても本当に長続きするのかという懸念もあり、デイキャンプや川遊びにも使えるタープを購入し、「まずは設営練習だ!」と、意気込んでみたものの家族の反応は「行ってくれば〜」の一言。
買ったばかりのタープが2カ月も収納棚に眠っていたぐらい、全然興味なし。正直、焦りました(汗)。
ですので最初は安心感に加えて、「妻はお姫様。子供は王子様」というのを心掛け、設営から撤収、キャンプ場の予約、調理や洗い物などを全て一人でこなしていました。
自分が好きでやっていたのですが、こんな感じでまったり・のんびりしてもらっている間に、せっせとご飯を用意したり、片付けたりしました。
なぜそうしたかというと、そこまでキャンプに興味のない(むしろ面倒くさいと思っている)家族に無理強いしても反感を買うだけというのは目に見えていたからです。
しかも、キャンプ場利用料や移動費、食材などは家計から支払っており、その財布のひもの絶対的な決定権を持っているのは妻です。
なので、まずは妻が「あ、キャンプって楽だ」と思ってもらえるぐらいもてなし、キャンプやアウトドアという趣味に触れて、徐々に好きになってくれればいいかなという感じで始めました。
そんな涙ぐましい努力をし、大変ではありましたが、キャンプを重ねるごとにあまり興味を示さなかった家族がキャンプを楽しむ姿を垣間見ることができるようになりました。
キャンプを「おしゃれな空間」にしたい妻
妻は立ってるだけでは暇なのか、テーブルやチェア、食器類などの設営やレイアウトをしてくれるようになりました。
自分から設営することで「ここにランタンが欲しいね!」と、サイト内をおしゃれな空間にしていきたい欲が徐々に芽生えてきたみたいです。
「何かこそこそと準備してるな〜」と思っていたら、自作シロップを仕込み、市販の炭酸水を使ったカフェスタイルのソーダを夏キャンプで作って、自分なりの楽しみ方を模索し始めています。
料理の楽しさを知り、キッチンに立つようになった夫
私自身にも変化がありました。これまで自宅では料理については全く興味がなく、キッチンに立ったことすらありませんでした(滝汗)。
そんな私ですらキャンプで調理をすることで、だんだんと料理の楽しさが分かり、キャンプをしない日でもアウトドアっぽい料理を「予行練習」という名目で振る舞っています(肉が食べたいだけなのはここだけの話です)。
動植物に興味を持ち、モノを大切にするようになった子供たち
キャンプ場では虫や植物、花、魚などさまざまな動植物を観察できます。
以前はあまりこういったことに興味がない息子たちでしたが、アウトドアで自然と触れ合っているうちに観察する面白さに気付いたようで、キャンプに行ってはいろいろと探しています。
次男は特に魚が好きで、ペットボトルのキャップ部分を切った簡易な自作水中メガネで水中探索したりしています。
ゲームの「あつ森」を自宅でプレイしている時でも「リュウグウノツカイをキャンプで見つける〜!」と、息子は息子なりに楽しんでいます(見つけられるかな〜汗)。
図鑑にはない「生きた」情報が目の前にあることで、それらがいい方向に展開され、さまざまな興味へとつながっていくんだと感じました。
キャンプという空間で一緒に過ごすことで、忙しい日常では見落としがちなことにも気付けます。
自宅だとテレビやゲームが身近にあり、子供はどうしてもそちらに行ってしまいますし、静かにしてほしい時には親である私たちもゲームに頼ってしまうことがあります。
ですがキャンプには、テレビやタブレットを持ち込まなければ、アウトメディア(メディアと距離を作ることができる)という一面もあります。
自宅だとずっと黙って動画を見ている息子2人ですが、キャンプだとたき火中や食後、テントでくつろぎながら落ち着いて会話を楽しめる時間が多くあります。
ご飯の盛り付けを長男に初めてお願いした時に「今、給食当番でやってるよ〜」と聞かされ、ふとした瞬間に子供の成長を感じる場面もあったりします。
また、私は製造業という職種柄なのか、子供たちに「道具を大切に扱ってほしい」という気持ちがあります。
過去にはおもちゃを買っても壊したり、片付けずに「僕のおもちゃはどこ~?」と行方不明になったりして、残念な思いをしたこともあります。
ですから、子供たち自身が選んだキャンプ道具を用意し、これらを通して「モノを大切にする」 気持ちが芽生えてくれたらと思っていました。
今では、お気に入りのランタンを抱いて寝たり、子供用のテーブルに飾ったりしています。自宅でも好きな本をちゃんと片付けるなど、少しずつではありますが行動に変化が現れてきました。
普段はささいな子供の成長などは、気付かないこともよくあります。ですが、キャンプという場では全然違ってきます。
のんびりと過ごし、自分自身にも余裕ができることで、小さな変化にも目を向けやすくなり、「お、知らない間にできるようになってるんだな」と思うわけです。
そういう「小さな気付き」 を感じる時が、家族キャンプを始めて良かったと思う瞬間です。
ゆったりと安心感を持ちながら、自分らしいキャンプを目指す
自分自身も含めキャンプ初心者一家なので、たき火に火が付かなかったり、せっかく焼いたパンが焦げたり、忘れ物をしてしまったり……と失敗を繰り返してしまいます(汗)。
でも「あの時は失敗したねー」と家族で笑いながら振り返れるのは、何より安心してキャンプができたからだと思っています。
おしゃれなサイトや豪華なキャンプ料理の情報を多く目にすることがありますが、まずは安心して楽しむことが大事。
だんだんと挑戦しながら、それぞれの家族らしいスタイルを見つけていっても遅くない。そう思って、今日もキャンプを楽しんでいます!
著者:みそお
東海地方を拠点に、2018年からキャンプをスタートしました。妻、子供2人の4人家族でキャンプを四苦八苦しながら楽しんでいます。キャンプブログ「Misoji×Camp」を運営。sotoshiru公式メディアとして参加。ブログ:Misoji×Camp
Twitter:@misojicamp
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