2014年から2015年にかけてキャンプ場を巡りながら日本一周キャンプ旅をしていた佐久間亮介(さくぽん)です。今までに泊まったキャンプ場の数は300ヵ所以上で、そこで得た知識を基にキャンプ初心者向けの情報をブログで更新しています。
それどこではファミリーキャンプについて紹介しました。
▶ほぼ年中キャンプ漬けの僕がすすめるファミリーキャンプ。「家族全員が楽しい」簡単キャンプテク
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ある程度キャンプにハマってきた人が口をそろえて言う言葉があります。
「キャンプの醍醐味は焚き火」
焚き火とは、一見するとただ薪を燃やしているだけの行為に見えなくもないですが、実は奥が深い世界。単純に薪を燃やしているだけにあらず、着火方法を工夫したり、薪の種類を使い分けたり、知れば知るほどハマっていくのです!
また、かつて人間は薪で煮炊きをしていました。その感覚がなんだか蘇るのか、焚き火を使って調理をするのもまた一つの楽しみです。そして僕も焚き火に魅了されている一人です。
このように多くの人がハマる焚き火ですが、中にはなんとなく難しそう、面倒くさそう……と思っている人もいるかもしません。
そこで今回は焚火をやったことがない人、やってみたいけど必要な道具や手順が分からない人に向けて「焚き火の始め方」をお話します。
あわせて、応用編として「焚き火がさらに楽しくなる道具や遊び方」もお届けします!
- 焚き火の基本ルール
- キャンプ場で焚き火台を使って楽しむ
- 完全消火し、キャンプ場のルールに従って処分
- 焚き火に必要な道具
- 基本の道具は「焚き火台、グローブ、トング、チャッカマン」
- あると便利な道具。着火剤ほか
- 焚き火の「火おこし」の手順
- 薪には種類がある。特徴を知って火おこしを簡単に
- 応用編:焚き火がさらに楽しくるなる簡単アイデアや道具
- 「快適」に楽しむための工夫とアイテム
- 水に濡れても消えないマッチほか
- 「ワンランク上」の遊びができるグッズ
- ファイアーピストン・フェザースティック作りほか
- 「快適」に楽しむための工夫とアイテム
焚き火の基本ルール
はじめに、焚き火を始める前に押さえておきたいルールを2つお話します。
1.キャンプ場で焚き火台を使って楽しむ
焚き火の基本は、焚き火台を使って楽しむことです。
焚き火台を使わずに、地面の上で直接焚き火を行う「直火」もありますが、自然環境へのダメージや安全面などを理由に禁止しているキャンプ場がほとんどです。
また、河原や山での焚き火は条例などによって禁止されているところもありますので、「焚き火は、キャンプ場で焚き火台を使って楽しむ」ようにしましょう。
2.後処理は、完全消火してキャンプ場のルールに従って処分する
焚き火の後処理は、完全に消火してキャンプ場にある灰捨場に捨てましょう。無い場合はバケツなどに水をくみ、薪に水をかけて消火したあと、燃えるゴミに入れて処分しましょう。
焚き火に必要な道具
それでは焚き火を始めていきます。ここではそろえておきたい道具について説明します。
焚き火の基本の道具は「焚き火台、グローブ、トング、チャッカマン」
トングは薪をつかむ際に使用し、チャッカマンは火付けで、グローブは火傷防止のために着用します。軍手でも代用できますが、本格的に楽しむようであれば、革製のものを使用することを推奨します。
ちなみに焚き火台にはさまざまな種類があって
- 写真右
- ガッチリとしたステンレス製で、焚き火台の用途に限らずBBQにも使えるもの
- 写真中央
- ソロキャンパー向けに、1人で楽しめるサイズ感の焚き火台
- 写真左
- 特殊耐熱クロスを使用して、折り畳み式でコンパクトに持ち運びできながら、大きさも十分ある焚き火台
などがあります。自分に合った焚き火台を探すことも、焚き火の楽しみ方の一つとも言えます。
あると便利な道具。着火剤ほか
上記に加えて、着火剤と地面保護用のシートがあると有効です。着火剤は、初心者の人がつまずぎがちな火起こしの手助けに。地面保護シートは、焚き火の熱や、燃焼中に爆(は)ぜた薪によって芝生などが焦げないようにするためのものです。
今回使用するユニフレームのファイアグリルのような焚き火台では、あまりその心配はありませんが、特に背の低い(火床と地面の距離が近い)焚き火台を使用する場合は、利用するようにしましょう。
焚き火の「火おこし」の手順
道具もそろったところでいよいよ火おこしです。ポイントが3つあります。
- 火がつくには酸素が必要
- 火は上に燃えるため、着火剤の上に燃えるものを配置
- 小さいものから大きなものへと火を移す
これをもとに、今回は「差し掛け型」という薪の組み方を紹介します。
まず太い薪を1本置き(写真左)、その太い薪に、別の薪を立てかけるように置きます(写真右)。言葉を言い換えるならば、差し掛けるとも言えるため「差し掛け型」と呼ばれます。
差し掛けた薪が交差するあたりに着火剤を入れ込みます(写真左)。今回はキャンプ場内に落ちていたスギの枯れ葉を使いましたが、よく乾いた松ぼっくりや、白樺の皮でも代用できます。
そして、その上に、こちらもキャンプ場に落ちていた小枝を差し掛けていきます(写真右)。
ここで重要なのが、「空気の通り道」です。
写真手前から奥の方に向かって、空気がしっかりと入るように適度なスペースを設けます(写真左)。これは、1つ目のポイントの通り「火がつくには酸素が必要」であるためです。あまりギチギチに小枝や着火剤を入れ込んでも酸素不足で不完全燃焼してしまうので、気をつけましょう。
そして、スギの枯れ葉に火をつけます(写真右)。よく乾いたスギの枯れ葉であれば、一気に燃え上がっていきます。
2つ目のポイントは「火は空に向かって燃え上がる」でした。そのため、火種となる着火剤の上に燃えるものがないと火が大きくなっていきません。今回は小枝がその役割を果たしています(写真左)。
たまに薪を並べたその「上」に着火剤を置いて火をおこそうとしている人を見かけますが、火の原理に沿ってないため、無駄に時間がかかってしまったり、火がつかなかったりします。
炭火をおこす場合にも同様のことが言えますので、火が燃え上がることを意識して、薪や炭を配置していくようにしましょう。ちなみに、炭火をおこすよりも薪に火をつける方が、時間はかかりません。
3つ目のポイントは「火を移す」です。着火剤として使ったスギの葉の次に、小枝に火が移っていきます(写真右)。着火剤から一気に太い薪に火を移すには、たくさんの着火剤が必要で非効率的です。
- 火種→小枝→太い薪
火を育てるとも言いますが、これを覚えておくと、簡単に着火ができます。もし、種火となる着火剤や小枝が燃え尽きてしまいそうであれば、トングを使って足しましょう。
薪には種類がある。特徴を知って火おこしを簡単にする
今回は火付のいい薪を使用しましたが、実は薪には種類があります。キャンプを始めたての頃は、薪の種類についてそれほど気にする必要はありませんが、知っておくと焚き火が簡単に楽しめるキッカケでもあるので、少しだけ紹介しておきます。
薪は大きく分けて2種類あり、スギやヒノキなどの針葉樹とナラやクヌギなどの広葉樹です。
- 針葉樹
- 火つきがよく初心者向きの薪。しかし燃え尽きるのが早いというデメリットがある
- 広葉樹
- 火がつくまでに時間がかかるというデメリットがある反面、長持ちするのでじっくりと焚き火を楽しめる
針葉樹、広葉樹と言われても、キャンプにまだ慣れていない人にとっては、どっちがどっちだか分からないかと思います。
簡易的な方法ですが違いを見分けるためには、手に持ってみてずっしりとしている場合は広葉樹、軽い場合は針葉樹である可能性が高いです。
薪はキャンプ場やアウトドアショップ、一部のホームセンターで購入可能ですが、選ぶことができるのであれば、まずは針葉樹から挑戦することをオススメします。
ちなみに、キャンプ場に落ちている(枯れている)枝を拾って薪にすることはできますが、まだ枯れていない生木の枝を切って薪にすることはNG行為ですので、注意しましょう。
火おこしが完了したら、その火を使って焚き火料理をするもよし、火を囲って仲間と話すもよし、火を眺めながらぼーっと贅沢なひとときを過ごすもよし、焚き火を存分に楽しんでみてください。
▼焚き火以外のキャンプの過ごし方ヒント
ソロキャンプの過ごし方。自由な時間に何をするか、年中キャンプ漬けな僕の楽しみ方をお伝えします
応用編:焚き火がさらに楽しくなる簡単アイデアや道具
基本を押さえたところで、ここからはさらに焚き火が楽しくなる道具や小ネタを紹介していきます。
- 「快適」に楽しむための工夫とアイテム
- 1.焚き火道具用の収納バッグで汚れを軽減する
- 2.エプロン、もしくは難燃素材のウェアで服の穴あきを防ぐ
- 3.水に濡れても消えないマッチで着火を楽に
- 4.火吹き棒で火力を高める
- 5.三脚で手軽に焚き火調理をする
- 6.マシュマロやソーセージを焼くときに便利な伸縮棒
- 「ワンランク上」の遊びができるグッズ
- 7.炎の色が変わるRainbow Flame
- 8.空気を圧縮して着火するファイアーピストン
- 9.火付きを良くする「薪割り」と着火剤代わりを自作する「フェザースティック作り」
焚き火を「快適」に楽しむための工夫とアイテム
1.焚き火道具用の収納バッグで汚れを軽減する
焚き火台をはじめとした焚き火道具は何かと汚れがち。そのまま車にのせるには気が引けます。特に女性は気になるかもしれません。そんな時に便利なのが、ひとまとめにできる収納バッグです。
焚き火台の他、トングやグローブ、着火剤などをひとまとめに入れたあと、車にのせれば車内の汚れを軽減できます。厚めの帆布素材のものがヘビーユースできるのでオススメです!
2.エプロン、もしくは難燃素材のウェアで服の穴あきを防ぐ
焚き火失敗あるあるの一つが、焚き火の火の粉でウェアに穴があいてしまうこと。特に、ナイロンやポリエステルといった素材のウェアは、ちょっと火の粉がついただけでも穴があいてしまいます。
そのため、写真にあるようなエプロンやブランケット、燃えにくい素材(難燃素材)のウェアを身につけるなど、気をつけるようにしてください。身近な例でいうと、コットン(綿)素材は燃えにくいため、焚き火向きのウェアとも言えます。
3.水に濡れても消えないマッチ(タイタンストームプルーフマッチ)で着火を楽に
こちらは水に濡らしたり、強風が吹いたりしても火が消えづらいマッチ(タイタンストームプルーフマッチ)です。通常のマッチは、当然水に弱く、少しの風でも消えてしまいます。しかし、このマッチは特殊加工がされていて
ご覧の通り、水に浸しても消えません。災害時用として持っていても重宝するキャンプ道具の一つです。
4.火が消えそうなときに活躍! 火吹き棒(ファイアーブラスター)で火力を高める
着火させたけど、火力が弱くなってしまったときや、薪を足してすぐに火力を高めたいときに活躍するのが、火吹き棒(ファイアーブラスター)です。
息の吹き込み口を口に当てて強く息を吐き出すと、熱が全体に行きわたることで火力が高まります。
5.三脚(トライポッド)で手軽に焚き火調理をする
焚き火の代表的な楽しみ方の一つといえば、焚き火で作るキャンプ料理。そのときに便利なのがトライポッドという三脚です。
トライポッドに、ケトルやダッチオーブンを吊るします。すると、焚き火を楽しみながら、その火を使ってキャンプ料理が出来上がります。
まだ焚き火に慣れていない頃は、火力の調整が難しいのでまずはケトルを吊るしてお湯を沸かすところから始めるのがオススメです。焚き火で調理ができるようになると、キャンプスキルが大幅に上がりますよ!
6.大人も子供も楽しい! マシュマロやソーセージを焼くときに便利な伸縮棒
マシュマロやソーセージを焼くのは子どもや女性に人気のイベント。伸縮棒は、焚き火の炎を使って、食材を焼くために使える便利グッズの一つです。
先端に焼きたい食材を刺した後、適度な長さに棒を伸ばし、焚き火であぶります。スナック菓子をあぶって食べるのも意外と美味しいので試してみてください!
「ワンランク上」の遊びができるグッズ
焚き火に慣れてきたら、そこからさらに先へ進む火遊びを紹介します。
7.炎の色が変わるRainbow Flame
Rainbow Flameという、焚き火の炎の色が変わるおもしろグッズがあります。
使い方は至ってシンプルで、そのまま放り込むだけ。すると、すぐに炎が反応! オレンジだった炎が青色に変化していきます。これ、面白いですよね。いつもの焚き火にちょっと飽きてきたときや、友人や子どもへのちょっとしたサプライズにも活用できます。
8.空気を圧縮して着火するファイアーピストン
より原始的な着火方法を試みるのに、ファイアーピストンという道具がオススメです! これは、簡単に説明すると蒸気機関車と同じような仕組みで、空気を急激に圧縮させることによって火をつけます。
工程は以下の通り。
先端にチャークロス(炭化したコットン。写真左の黒い布)をちぎってファイアーピストンの先端に詰め込む(写真右)。そして先端にグリスを塗る。
空気が圧縮された摩擦で火がつくように力強く叩きつける(写真左)。うまく圧縮することができたら、先端に火種がつく(写真右)。
火種を細い枝などを使って(写真左)、麻ひもなどを解いた火口に移す(写真右)。
工程自体は簡単ですが、上手に圧縮して火種を作り、それを火口に移して火を大きくするのが、意外と難しいです。しかしながら、簡単じゃないからこそ、キャンプでの火遊びにはもってこいなのです。
無事に火があがったら、焚き火の基本の要領で段々と火を大きくしていきます。ファイアーピストンを自作できるキットも販売されているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
9.火付きを良くする「薪割り」と着火剤代わりを自作する「フェザースティック作り」
キャンプ場へ行くと、斧やナタなどを使って薪割りをしているキャンパーに出くわすことがあります。薪割りも、火遊びのうちの一つ。例えば、斧やナタを使って薪を細くします。
これは、焚き火の基本で紹介した「小枝」に代わるものを作るための作業で、一見すると面倒くさそうな気もするのですが、スパッと奇麗に割れると気持ちがよく、ハマってしまう遊びです。
今回使ったのは、ユニフレームの燕三条乃斧。
小ぶりで取り回しがよく、女性でも扱いやすい斧です。大きな斧を使ってスパッと割るのも楽しいですが、刃物ですのでケガには充分注意してください。
ナイフを使ってフェザースティックという、薪を削って着火剤代わりにするやり方もいいでしょう。薪を細く削っていくようなイメージです。
ナイフは折りたたみ式ではなく、ナイフと持ち手が一体となっているシースナイフがオススメです。
薪の角に刃を当て、あまり力を入れずに上から下に向かって削ります。無駄に力を入れてしまったり、角度がつき過ぎてしったりすると、途中でナイフが薪に引っかかってしまうことがありますので、注意しましょう。
慣れるまでは、なかなか奇麗に薄く削ることが難しいのですが、慣れてくるとあまり力を加えずに、たくさんのフェザーを作れます。
薪に直接火をつけてもなかなかつきませんが、こうしたフェザーを作ることで、火つきのいい細かい枝代わりになり、空気がたくさん入りこむことによって火がつきやすくなります。
※キャンプ目的以外で、ナイフや斧などを携帯することは、銃刀法や軽犯罪法に抵触する可能性がありますので、不用意に持ち歩かないようにしましょう
キャンプを通して、火が扱えるように
焚き火の基礎知識や火のおこし方、ワンランクアップできる便利グッズや焚き火遊びを紹介してきました。オール電化の家も増え、火を見たことがない子どもたちもいる世の中ですが、かつて人間は焚き火を囲んで食事をしたり、わいわいと語り合ったりしていたはずです。
便利になる世の中の真反対ともいえる焚き火遊びを、キャンプを通して取得してみませんか? きっとあなたなりの焚き火の楽しみ方がみつかるはずです。
著者:佐久間亮介(さくぽん)
キャンプ場巡りをしながら日本一周したキャンパー。今までに泊まったキャンプ場の数は300ヵ所以上。キャンパーのための情報ブログを共同運営。月間最高80万PV。
Twitter:@sakumanx
ブログ:キャンプ初心者向け総合情報ブログ Hyper Camp Creators | キャンプ初心者に必要なキャンプ道具、キャンプの知識、キャンプ場の情報をまとめたブログです。
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