こんにちは、プロの素人料理人の小林銅蟲です。マンガ家もやっていますが、先月はマンガを描いていません。
さて自分はもともと「いわゆる日本で普通に食べられているカレー」にはあまり関心がなく、カレーは何やってもカレーじゃんという感じだったのですが、料理マンガ連載時にスパイスカレーのレシピを教わったり、スパイスとレシピのキットを購入して自作などしたりしたことで、スパイス料理の底の見えなさが見えるなどしてむしろ好きになってきました。
そんな折に「Do?」「Yes」などのやり取りがあり、当案件をやることになりました。
しかし自分は与えられたレシピからスパイス料理を作ることはできても、ゼロからスパイス料理のイメージとそれに合わせたスパイスの調合をするというノウハウがありません。
自然ですね。そして自然な流れでスパイスに詳しい人からリテラシーを叩き込んでいただき、自分が作りたいもので実践する体で皆さんにも知見が入っていくというお得な話です。やったぜ。
・カレーのスパイス調合は「シックスボックス」で
・ガラムマサラか、自分で調合するか
・応用その1【肉料理】
・応用その2【魚介料理】
・パクチーは“緑の味の素”
● やっていきましょう
・基本のスパイスカレー
・春のダル(豆カレー)
・肉(鶏・牛・ラム)
・ブイヤベースビリヤニ
・ビッグバン・タンカレー
イナダシュンスケさんにスパイスの基本を聞いてみた
イナダシュンスケ……南インドカレー専門店「エリックサウス」など、さまざまなジャンルの飲食店を経営する傍ら、食にまつわる情報を発信。著書『南インド料理店総料理長が教える だいたい15分!本格インドカレー』(柴田書店刊)は、スパイス料理好きのバイブルとも言える1冊。今回「スパイスといえばイナダさん」と思いオファーしたところ即レスで快諾、手厚いスパイス講義を開いてくれた。
ブログ:食べるそして考える Twitter:@inadashunsuke
Q:スパイスカレーの調合の基本は?
A:「シックスボックス」理論を用いて
カレーにおけるスパイス調合の基本を教えてください。
小林銅蟲
もっとも基本的な調合の仕方を、私は「シックスボックス・メソッド」と呼んでいます。全部で6つの“箱”があり、そのうち4つは、コリアンダー、カイエンペッパー、クミン、ターメリックで埋めるのが基本。この4つのスパイスがあればギリギリ、カレーになる。
残り2つの“空き箱”に何を入れるかが、調合のポイントです。
イナダシュンスケ
【シックスボックスの基本型】
※4人前の場合は1箱=小さじ1となり、合計で大さじ2となる。さらに半分(点線)で分け、小さじ1/2ずつ配合する場合も
基本の4種は比較的「穏やかな」スパイスなので、多少入れすぎても問題なし。ただしカイエンペッパーは辛みが、ターメリックは苦味が出るため、2倍、3倍と入れると味のバランスが崩れるので注意。辛いのが苦手な人はカイエンペッパーを小さじ1/2にし、同量のパプリカパウダーを加えて調整してください。
ボックスが余ってしまう場合は、味に影響がでないパプリカパウダーか、バランサー的な役割を果たすコリアンダーを入れましょう。
イナダシュンスケ
・コリアンダー……香菜(パクチー)とも。セリ科の一年草で、種子をスパイスとして利用する。やや甘くてスパイシーな風味だが、スパイスの中ではクセがなく使いやすい
・カイエンペッパー……完熟したトウガラシの実を乾燥させたスパイス。メーカーによってレッドペッパーやチリペッパーなどの呼び名が異なるほか、製法や粒度が異なることも
・クミン……「カレーの香り」の主となるエスニックなスパイス。油で炒るとより香りが強くなる。カレーの外、肉料理とも相性が良
・ターメリック……ウコンとも。やや土臭いような独特の香りがあり、カレーの鮮やかな黄色はターメリックによるもの
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Q:基本のスパイス以外はどうすれば?
A:ガラムマサラに頼るか、自分で細かく調合するか
基本の4種以外に、どんなスパイスを調合するとよいでしょう。
小林銅蟲
2つのプランを提案します。
まず「その1」は、2つの箱(小さじ2)全てをガラムマサラにあてるもの。調合が難しい強めのスパイスがバランス良く配合されているほか、どこでも気軽に手に入れやすいのが特徴です。
ただし日本で販売されているガラムマサラは、トウガラシ(チリ、カイエンペッパー)が配合されていることが多いため、使い過ぎると辛くなる可能性も。できれば原材料の情報などをチェックし、トウガラシが含まれていないものを購入するとよいでしょう。
イナダシュンスケ
・ガラムマサラ……カルダモン、シナモン、クローブ、ブラックペッパー、ベイリーフなどを中心に、バランスよく配合したスパイス
ガラムマサラに頼るのはつまらない、という人におすすめなのが「その2」。残りの2箱をさらに4つに分けるプランです。
イナダシュンスケ
【基本型その2】
使用するのは、カルダモン、ブラックペッパー、シナモン、クローブの4種。ただしこれらはかなり“強い”スパイスのため、ジャスト小さじ1/2ずつ(4人前の場合)にすると、若干風味が重くなる。
合計が「小さじ2」になればそれぞれの配合は変えても大丈夫。例えば「今風のスパイスカレー」を作りたいなら、カルダモンとブラックペッパーの“爽やか系”なスパイスを多めにし、“重厚“なクローブとシナモンを少なめにするとよいでしょう。
イナダシュンスケ
・カルダモン……ショウガ科の多年草になる、楕円形の果実をスパイスとして使用。柑橘系のような、さわやかで品のある香りが特徴。チャイやケーキ、パンなどにも使われる
・ブラックペッパー……コショウの果実を熟す前に収穫し、乾燥させたもの。スカッとした刺激が味わえる、日本でもおなじみのスパイス
・シナモン……甘さを高める効果がある、クスノキ科の樹皮。お菓子作りにも使われるほか、ホットワインやサングリアの香り付けとしても重宝されている
・クローブ……フトモモ科の花のつぼみを乾燥させたもの。個性的な渋みと、甘い香りを持ち合わせる。香りがかなり強いため、使用の際は要注意
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Q:肉をスパイスで味変したい
A:「漬ける」「焼く」「まぶす」でコツが異なる
体型管理のためよく赤身など脂肪分の少ない肉を食べているのですが、飽きてきたのでスパイスで味変したいです。
小林銅蟲
その場合も「基本型その1(基本の4種+ガラムマサラ)」か「基本型その2(基本の4種+カルダモン/ブラックペッパー/シナモン/クローブ)」をベースに、調合と調理法を変えるといろいろ楽しめますよ。
肉×スパイス調理の場合は、おおよそ【漬け焼き】【焼いてから付ける】【まぶして焼く】の3つに分かれるかと思います。
おすすめは【漬け焼き】。以下の配合で「タンドリーチキンのようなもの」が完成します。最低20〜30分ほど漬け込めば食べられますが、できれば丸1日〜2日ほど漬けてから焼いてみてほしいです。
イナダシュンスケ
・ヨーグルト……大さじ2
・塩……小さじ1/2
・おろしニンニク……小さじ1
・おろしショウガ……小さじ1
・刻んだパクチー……お好みで
※肉200グラムに対して
【焼いてから付ける】場合は、塩分とスパイスだけだと食材になじみづらい。すりゴマ、味の素などで全体の味を薄めつつふくらませると、肉とスパイスがスムーズにつながります。
ナッツやハーブ系を加えるのもおすすめで、オレガノ、タイムなどヨーロッパ系のハーブを加えると味付けに広がりが出る。市販の後付けスパイスに含まれていることが多いガーリックパウダーを入れると“なじみの味”になります。
イナダシュンスケ
・塩……小さじ1
・すりゴマ……大さじ1
・味の素……少々
・ハーブやスパイス(花椒、オレガノ、ガーリックパウダーなど)……お好みで
※肉200グラムに対して
あらかじめ【まぶして焼く】ときは味が自然と染み込むので、基本のスパイスと塩だけでOK。風味を増幅させたいなら、ニンニクやショウガのすりおろし、レモン汁や酢、オレガノなどのハーブ系を好みで合わせてみてください。
イナダシュンスケ
・塩……小さじ1/2
※肉200グラムに対して
Q:魚介を使う際のスパイス調合のコツは
A:「カレー粉」が相性よし
今回、ブイヤベースを使ったスパイス料理を作ろうと考えています。
小林銅蟲
魚介系のカレーもシックスボックスをベースにします。“2つの空き箱”には、S&Bの「赤缶」などいわゆる「カレー粉」をあててみてください。カレー粉もガラムマサラ同様に、多種のスパイスがブレンドされているほか、魚介類のカレーに欠かせないフェヌグリークが多く含まれています。
カレー粉は単体ではキャラが強過ぎるため、4つの基本スパイスで穏やかにする、という感じでしょうか。
イナダシュンスケ
・フェヌグリーク……マメ科の一年草で、種子をスパイスとして用いる。甘い香り、強い苦味が特徴だが、じっくり火を通すと苦味が弱まる
カレー粉に頼るのは悔しい、という場合は2つの箱をさらに4つ(半分ずつ)に分け、フェヌグリーク、ブラックペッパー、パプリカ、フェンネルを調合してみてください。
イナダシュンスケ
・フェンネル……セリ科の多年草。ほんのりと甘い香りとは正反対に、ピリッとした風味を持つ
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「フェヌグリーク」を詳しく見る
「フェンネル」を詳しく見る
Q:物足りないときは?
A:“緑の味の素”ことパクチーを投入せよ
ほか、調合の際に知っておくといいことはありますか。
小林銅蟲
調合したスパイスの総量が「塩の量と1.5倍まで」になるといいです。インドカレーは塩分濃度1%が基準。4人分・800グラムのカレーを作る場合は、塩の量は8グラムなので、調合したスパイスは12グラムまで、としましょう。
あと、スパイスは種類を増やせば増やすほど大人しくなり、万人受けする食べやすい味になります。逆に減らせば減らすほど、エッジが効く。
イナダシュンスケ
なんか物足りないな、というときのリカバリー策も知っておきたいです。
小林銅蟲
刻んだ生パクチーを入れます。
どんなカレーも入れれば必ずおいしくなるので、僕の店ではパクチーを「緑の味の素」と呼んでいます。ただ味の素と一緒で、全部同じ味になるのでその点だけ注意を。
生だと個性的なパクチーも、加熱すると青臭さが飛び、旨みと味わいがぐっと引き出される。色は悪くなりますが冷凍もできるので買ってきてそのまま冷凍し、使う分だけ刻んでカレーに加えれば、おうちカレーが非常にはかどります。
イナダシュンスケ
🍛 初心者向けの基本は
「シックスボックス」
🍛 基本4種+ガラムマサラ or
その他のスパイスでアレンジを
🍛 シックスボックスでは
スパイスの総量=塩の1.5倍まで
🍛 シックスボックスは
カレー以外のスパイス料理にも
応用可
🍛 リカバリーは
“緑の味の素”ことパクチーで
やっていきましょう
すごかったですね。自分をとりまく謎の数々がなぎ倒されていく様には度肝を抜かれました。
イナダさんから叩き込んでもらったスパイスリテラシーをもとに、今回はこんなかんじでやっていきます。
すでにお分かりかもしれませんが、ここからが長いです。では早速作っていきましょう。
【1】基本のスパイスカレー
ごく普通のチキンカレーを作ります。ほんとうです。
普通なスパイスカレーということで、調合はイナダさんに教えてもらった「基本型その2」を参考にしました。これは以前1kgずつ購入した無限に使える基本4種です。
その他、たのしい面々
この、粉を入れた感じがスパイス料理独特の「やってる感」を醸し出すわけです
今回は仕上がり重量940グラムを目指してこんなかんじで調合しました。
- コリアンダー 小さじ2
- クミン 小さじ2
- チリ 小さじ2
- ターメリック 小さじ2
- ブラックペッパー 小さじ1
- シナモン 小さじ1
- クローブ 小さじ1
- カルダモン 小さじ1
混ぜるとこう
さて、このカレーはざっくり
・タマネギ、ニンニク、ショウガを油で炒める
・トマトを加えて炒める
・スパイスを加える
・肉などを加えて水を足して煮込む
・味を整えるなど仕上げ
という構成で作ります。おおむねイナダさんの本に載っているレシピを参考にしています。
この計算式も本を参考にGoogleスプレッドシートにぶっこんだだけです。本を買ってください。
これミスってるんですが分かりますか? 皆さんはタマネギを炒めてからトマトを入れてください。トマトを先入れするとタマネギを茶色くするのが面倒になるので……
なんとかしたのでスパイスを投入
マサラができました
カレーの仕上がり重量を計算するためにフライパンの重量を調べておくとよいのですが、忘れていたので、今やっています。本来なら手持ちの調理器具の重さは全て量ってメモっておくと便利です。
フライパンが空になったついでに鶏肉を皮目から炒めて脂を抜きます。なおこれは「鶏肩肉」で、知らない部位を買うと調理がブレるのでよくないですね。なぜ買ったのかは謎に包まれています。
マサラとヨーグルトとシシトウとパクチーがここに入ります。そして水
ここで計量しておいて、仕上がり重量を目指して煮込んでいきます。
重量をガチガチに合わせればいいということではなく、あくまで目安として現物の仕上がりも見ていきましょう。食材や調理環境は個々で差異があるからです。
バスマティライスを炊きます。なお300g(2合)でもかなり体積が爆発するので日本の短粒種のノリで炊くと破滅します。
炊き方はいろいろありますが、今回はシンプルに茹でるだけにします。普通のカレーなので
はい
こんなんなった
折角なので生のカレーリーフを使ってみたく、通販をご利用しました。
生けておくとぼちぼち保つし、キッチンの精神衛生が向上します。つまんで食うと山椒やルッコラを混ぜたような香りがほんのりしてうまい
で、完成
うまい うまいけど超辛い うちのレッドチリが辛めかもしれなくて、あるいはシシトウが潜在能力を発揮したか、ブラックペッパーが牙をむいたのか、はっきり分かりませんがとにかく辛いので以降の調合は少しいじることにしました。
具体的には
- レッドチリの何割かをパプリカに置換
- シシトウをピーマンに置換(そもそもシシトウがトウガラシの置換)
という方針
辛過ぎたんでちょっと優しくてひねったのを間に挟みます。
【2】春のダル
ダル(豆のカレー)なんですけど、空豆も豆なのでダルにできるじゃん? と思うし、春の食材はどうやっても旨いのでふきのとうも少し使ってみましょう。
空豆
はい
茹でて皮をむいた空豆を荒く砕き、刻んだふきのとう(少量)、タマネギ、トマト、ターメリック、塩、水を加えて軽く煮崩れる感じにもっていく。
べに花油で加熱したホールチリとクミンシードを油ごとぶっかける(テンパリング)。スパイス調合の話を完全にシカトした展開で恐縮です。
これはギー(南アジアで作られているバターオイルの一種)です。澄ましバター的に何にでも使えて便利だけどまあまあ高いけどデカく買え
ギー混ぜて味を整えて完成
これいいです。うまい。夜中にズビズビすすりたくなります。そういえばこの案件やってる間は普段の食事ルーティンができませんでしたが、なぜか体重は減りました。謎です。
肉(鶏・牛・ラム)
自分なりに体型を絞るみたいなことをしていて、今は低脂質の食事と週3の筋トレです。
低糖質は思考回路がだめになるので自分はしません。この辺は宗教戦争なので皆さん好きにしてください。
さて、それにしても肉をたくさん食うのですが、脂肪の少ない肉はとにかく飽きずに食い続けるのが困難です。
そこでスパイスの登場というわけです。
今回は鶏もも肉、鶏むね肉、牛もも肉をヨーグルトのやつに漬け込むことをしてみます。
ざっくり
- 肉の処理
- スパイスを調合
- ヨーグルトとスパイスを混ぜて肉を2日間漬け込む
- 焼く
です
余談ですが鶏肉は皮を剥いてから、キッチンペーパーでゴシゴシすると脂身が削れます。これはもも肉でも可能です。やや面倒ですが、減量中に鶏むね肉が限界になった場合の選択肢としてはアリです。
これは余計なんですが、Twitterでブライン液(水と砂糖と塩の溶液に浸けると肉がプリプリみたいなやつ)がはやっていたので、今回ついでに処理したものとしないもので比較しようと思います。
調合を考えている様子です。突然ラム肉の表記がありますが、仔羊もも肉が後から手に入ったので途中参加させたところ写真を完全に忘れていたという話です。
それぞれの肉についてスパイス配合の説明をすると、ターメリック・レッドチリ・クミン・コリアンダー各小さじ1ずつを共通の配合とし、バリエーションとして、
- 鶏肉(900グラム)
- バジルでハーブ感を出す
- ガラムマサラ 小さじ2
- バジル 小さじ1
- バジルでハーブ感を出す
- 牛肉(900グラム)
- ブラックペッパーを強くして肉の香りに合わせる
- カルダモン 小さじ1/2弱
- シナモン 小さじ1/2弱
- ブラックペッパー 小さじ1/2弱
- クミン 小さじ1/2弱
- ブラックペッパーを強くして肉の香りに合わせる
- 仔羊肉(400グラム)
- レッドチリとクミンを強くして中東ノリに
- ブラックペッパー 小さじ1
- クローブ 小さじ1
- 共通配合のうちクミンを気持ち多め(小さじ1強)にする
- ※肉の量が足りてないけどスパイス配合量は鶏肉や牛肉と同じ
- レッドチリとクミンを強くして中東ノリに
みたいになってくれたらうれしいなという感じです。
そんでペーストがそれぞれこうなります。
はい
2日後、焼いていきます。これは鶏肉たち オーブンで200℃・30分
はい
鶏肉かなりいいですね、バジルも機能していてよかった 鶏むね肉はブライン液で処理したものの方が質感にみずみずしさがあり、好みです。鶏もも肉は当然うまい でも全体的に塩辛いのでなにかを間違えた可能性があります。
生活に組み込む際は仕込みがなかなかなので、まとめて仕込んだり、焼いたものを冷凍しておくなど、作り始めたら今すぐに食べられるという幻想を一旦消しておきボーナスアイテムとして運用するのがよさげです。あるいは後付け運用なら茹でた肉に使えば楽勝なので、スパイスだけ作っておくのもアリ
これは牛肉ですね。ビーフジャーキーのお化けみたいな味がしておつまみとして優秀です。やはり塩の効き具合がいき過ぎている
推測ですがレシピをn倍した際に小さじと大さじの変換を間違えた可能性があります(例えば、小さじ1の2倍は大さじ1に満たないのに、大さじ1扱いしてしまうなど)。
うっかり野郎の皆さんは0.1グラム電子はかりを買いましょう。自分はこの試食のあとに買いました。
そういうわけでラム肉もしょっぱかったんですが、味としてはこれは超絶うまく、ノリで生ミントをばら撒きまくったのが功を奏しました。
ラム肉はボディメイク的にもよさげなのでおすすめです。
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「鶏むね肉」を詳しく見る
「牛もも肉」を詳しく見る
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ブイヤベースビリヤニ
長いよね。ちょっと心配になってきました。でもこれが一番長いです。名前でなんとなく分かると思います。
というわけで、ざっくり
- ブイヤベース作る
- スパイス調合
- バスマティライス炊く
- (余計なものも作る)
ブイヤベースの話を全部するとやばいので、要点を押さえていきます。
刻んだタマネギとセロリをオリーブオイルで炒め、水にさらして血抜きした魚のアラとエビを曖昧に投入
これをカラカラになるまで炒ろうとしたら爆烈に水が出てきたので不可能なルートだと判断、このまま突っ走る方向へ
迫力のある物体
これをムーラン(フランス料理で使う裏ごし器)で濾したらやっぱり破滅したので(やれば分かる)、素直にマッシャーで絞ればいいと思った
その後いろいろありブイヤベース完成 明らかに量が多過ぎる
スパイスはイナダさんに教えてもらったブイヤベース用調合の「カレー缶に頼らない方」を採用。
緑色の種がフェンネルシードで、褐色の四角い粒がフェヌグリークです。レッドチリが怖いので全部パプリカにしました。ブラックペッパーを粉砕して辛さを出します。
こんな感じ
- コリアンダー 小さじ1
- クミン 小さじ1
- パプリカ 小さじ1.5
- チリの代わり分も含むので多め
- ターメリック 小さじ1
- フェヌグリーク 小さじ1/2
- ブラックペッパー 小さじ1/2
- フェンネルシード 小さじ1/2
フェヌグリークが市販のカレー粉のカレー臭担当なので、そういう雰囲気になりました
魚介なのでタラゴンを小さじ2加えてみます。自分が好きなハーブで、洋梨?みたいなエステル系の香り(フルーツ臭)がします。
はい
南国感がほしいのでココナッツシュレッド(目分量)を粉砕します。そういえばココナッツの加減って聞かなかったな、ナッツ扱いということにしよう
「ナッツ扱い」というご理解は極めて正しいです。ただナッツ類とは違い、どうやっても完全なペーストにはなりきらず、ザラザラの食感が残ります。
汁気のない炒め物なんかであればそれでも構わないのですが、カレーだと口当たりが悪くなることがあるので、マックス入れるとしても1人前でせいぜい大さじ1以下にしとくのが無難かと。
よりココナッツ風味を強くしたい場合は、ココナッツミルクやココナッツミルクパウダーの方が扱いやすいはず。ココナツミルクなら一人前50ccほど加えても大丈夫(理論的にはそれ以上でも問題はないのですが、入れ過ぎるとクドくなるので慎重に)。
タラゴンの色で緑がかっています
そんで肝心のビリヤニは、分からないなりにレシピを寄せ集めてなんとかしてみます。まずタマネギの薄切りからフライドオニオンを生成
はい
サフランをぬるい湯に浸しておきます
ニンニク、ショウガ、スパイス、ハーブ、ココナツ、ヨーグルト、塩、油
エビ 切って混ぜてマリネしておきます
ここでブイヤベースを投入するため、マリネ用のヨーグルトは少なく設定しています
バスマティライス2合を浸水 慣れないうちは乾燥したまま茹でる方がイージーらしいですが、今回は浸水する方でいきます、理由は戦う運命なので
米を茹でる環境を用意します。水、塩、ベイリーフ、八角、シナモンスティック、クローブ、カルダモン
自分はあまりかぐわしいビリヤニは得意ではない説があり、これは分量の割に弱めです ていうか油を忘れてますね、おしまいです
バスマティライスを茹でます
茹で途中に米を何度か取り出してフライパンに撒いていきます この後ブイヤベースで炊く際に、熱源に近い米の方がたくさん煮えるので、要するに茹で時間の浅い米から敷いていくと幸せになれるらしいです
米炊き鍋の中身を全部のせました バターとサフランとフライドオニオンも入れます
これをがんばって炊いたり蒸らしたりします
蒸らしてる間に金目鯛をポワレします どんだけ工程あんだよ
他にも余計なことをしていて、これはアサリをワイン蒸しして汁と身をとっておき、汁はブイヤベースに混ぜました
さらに余計なことをしていて、ビリヤニにはヨーグルト的なやつをかけて食うんですが、それの代わりにセビーチェ(魚介類のマリネ)を添えたら盛り上がりそうなので、しました。
これ単体で完全にうまいのでぜひ食べてください。
そんなこんなで炊けました
あーちょっとグズグズですねこれは いつも火の通りがいまいちでやられてしまうし、過去3回くらいこれやらかしてるので調理器具の新調について想いを馳せています
ここにアサリとブイヤベースの絞りかすから出土した別のエビを加えます さらに米が砕ける
セビーチェとパクチーと金目鯛乗っけて本当に完成 うそじゃないぜ
味はカレー風味のパエリアみたいなビリヤニって感じです。そのまんまですね うまい
焼き魚が凶悪に合うということが分かってよかったです、セビーチェは合うけど単体でいいような気がしなくもないというか作業コストが重過ぎるのが難点 これはレシピ簡略化してまた挑戦したいですね、ブイヤベースまだ死ぬほどあるし……
翌日、残りにとけるチーズを雑にのせて食いました おすすめです
ビッグバン・タンカレー
これは頼まれてないのに勝手に作りました、他のメニューがポシャったら不安だったからです。あと尺がやばいです。
皮むき牛タン1本を赤ワインに3日くらい漬けておきます。肉塊を赤ワインに3日漬けるのはグラハム・カー(「世界の料理ショー」の司会)がやってました。
ガラムマサラを使ったスパイスカレー基本型その1でいきます。
ノリとしてはホテルのビーフカレーに寄せたいので、あまり難しくしないようにしました。辛さを抑えるためレッドチリ1に対してパプリカ2にしています。
漬かった肉を赤ワインごと煮て、アルコールをここで飛ばします。煮詰まったら冷凍庫にあったフルスペックのコンソメを叩き込みます。ここで原価が青天井
煮えたまま一晩放置して脂を除きます
はい
ほか材料 特別なものはないです
今度はタマネギだけで炒めます
ほら茶色く
トマト、ニンジン、セロリ、ニンニク、ショウガ
スパイス
マサラできた
タンは今回ややかために仕上げたいので、この時点ではそこまで煮えてません
これをフライパンに投入し、水とヨーグルトとパクチーを加えて煮込みます。いい景色
なるほど
仕上がり量よりも重かったので、タンを取り出して煮詰めて、またタン戻す
完成
タンの歯応えが固過ぎず柔らか過ぎずジャストに入りました。味はカレー風味のビーフシチューみたいな感じです。辛さはちょうどよかった。カレーリーフが楽しいのでこの後さらにばら撒いてコアラみたいに食ってました。
以上、げろげろに長くなりましたが実作レポでした。
今回試した範囲ではスパイス調合といっても基本を押さえられていればトライアンドエラーで案外なんとかなるし、どちらかといえば塩加減の方が難しいとさえ感じました(最終的にビリヤニは塩が怖くて薄味に作ってから塩振って食ってた)。
皆さんもそういう感じでなんとかなると思います。必要なものはインターネットでだいたい買えるので。
なによりスパイス料理はたまに作って食うとマジで異常に旨い。そこを強調して今回はよかったですねとさせていただきます。よかったですね。
スパイス沼へようこそ
ソレドコでTwitterやってます!
今回紹介した商品
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