皆さん! 金曜日といえば何の日だか分かりますか?
実はみんな大好き「カレーの日」なのです。
なぜ金曜日がカレーの日かというと、そのルーツは海上自衛隊。
海上自衛隊では、何もない海の上で曜日感覚を忘れないため、毎週金曜日にカレーを食べるのだそうです。
しかもこの海上自衛隊カレー(海自カレー)は、艦によって味もレシピも異なり、それぞれがとてもおいしいとのこと……。
実際、海上自衛隊の「艦めし」というサイトに載っているカレーレシピはなんと54種類! 多種多様なカレーがずらりと並んでいます。
一般向けにレシピは公開されているけど、自分で作るのはちょっと面倒だな……と思う人に朗報です。最近では「レトルトカレー」も販売されています! レトルトカレーで手軽に全国の海自カレーが食べられる……いい時代になりましたね。
というわけで、今回はこの「海自カレーのレトルト」を紹介します。
単にカレーとして食べ比べても面白そうではあるのですが、せっかくの「海自カレー」なので、海上自衛隊や艦隊のことも詳しく知りながらカレーを食べた方がもっとおいしく食べられそう……ということで、
- カレー専門家
- ミリタリーマニア
のお二人に登場いただき、双方の「沼」の視点から8つの海自カレーを徹底討論! それぞれのカレーについて深〜く深く掘り下げていきます。
お話を聞いた人
ミリタリーマニア:臼井総理さん
ライター・編集者。子供の頃からのミリタリーファン。自衛隊雑誌『MAMOR』(扶桑社)へも寄稿。食文化にも造詣が深く、情報・評論系の同人誌即売会「おもしろ同人誌バザール」を主催するほか、自身も「版元ひとり」というグループで、ミリタリーや食べ比べ系の同人誌を多数執筆。カレーにおいても『このご当地カレーがすごい』『このキーマカレーがすごい』などを制作。タモリ倶楽部等、メディアにも出演。
公式ページ:版元ひとり
Twitter:@usuisouri
カレー専門家:スパイシー丸山さん
インド料理からおうちカレーまで精通する次世代のカレー研究家。日本野菜ソムリエ協会カレーマイスター養成講座講師。レシピ、食べ歩き、商品情報など、カレーにまつわるさまざまなトピックを日々発信している。レシピにも定評がありS&B食品のプロアマ問わないレシピコンテスト「レッチャグランプリ」ではグランプリを受賞。著書に「初めての東京スパイスカレーガイド(さくら舎)」がある。「マツコの知らない世界」他メディア出演も多数。
ブログ:カレーなる365日
Twitter:@spicy_maruyama
自衛隊カレーブームは横須賀市の町おこしから始まった
―― 臼井総理さん、スパイシー丸山さん。本日はよろしくお願いします!
ミリタリー担当ですが、カレーの食べ比べ本なども作っている臼井総理です。よろしくお願いします。
「カレー」と名が付くもの全てを愛するカレー研究家のスパイシー丸山です。本日はよろしくお願いします。
―― まずは簡単に、海上自衛隊のカレーについての概要を臼井さんに解説してもらえますでしょうか。
現在のように「海自カレー」を一般の人でも食べられるようになったのは、1999年ごろから海上自衛隊がカレーを広報PR活動に使い出したのがきっかけです。もともとは横須賀市と横須賀の地方総監部が企画した「横須賀海軍カレー」が始まりでした。
―― 確かに自衛隊カレーで一番名前を目にするのって横須賀海軍カレーですね。
その後、自衛隊の艦ごとに独自のカレーレシピがあることが話題になり、地元とのコラボが盛んになっていきました。佐世保では2013年から2018年まで、全国の海上自衛隊のカレーがその味わいを競う「護衛艦カレーナンバー1グランプリ(GC1)」が開催され、全国からミリタリーファンとカレーファンが押し寄せたのは記憶に新しいです。
(写真提供:「させぼ四ヶ町商店街協同組合」)
ミリタリーファンやカレーファンだけでなく、世間でも海自カレーの人気は年々高まっていて、こういったイベントはどれもたくさんの人でにぎわっています。
確かに、ものすごく人気のイベントでした! 僕自身は訪れていないのですが、当時Twitterで話題になったのを覚えています。
―― 海自カレーはそんなにも人気なんですね!
海自カレーを食べ比べて徹底討論!
―― 今回は臼井総理さんに8つの商品をチョイスしていただきました。これらについて、それぞれの視点からお伺いしていきたいと思います。
あ、その前に1つ注意したいのが、必ずしもレトルトカレーは現在の艦の味を再現しているわけではないんですよ。
―― えっ? そうなんですか?
実は、自衛隊カレーのレシピはそのまま同じものが代々引き継がれるわけではないんです。海上自衛隊の調理スタッフのことを「給養員」というんですが、艦の味はそのときの給養員長が決めています。給養員にも転勤・転属があるため、ずっと同じ艦にいるとは限らないんです。
だから、自衛隊カレーのレトルトの味は、商品が開発されたときの給養員長の味なんですよ。
そもそも、レトルトカレーの時点で、実際に艦で出しているカレーとは違うものですよね。
レトルトカレーを作っているのは製造を請け負っているメーカーの工場ですから、どうしても製造工場の味わいがベースになります。その上で、海上自衛隊カレーのレシピや特徴とすり合わせてレトルトカレーができあがっているわけです。
―― めちゃくちゃ勉強になります……! そういった事情の中で、できるだけ自衛隊カレーを再現しようとがんばって作られたのがレトルトカレーということですね。では、各カレーを見ていきましょう!
【横須賀編】砕氷艦「しらせ」野菜カレー
―― まずは「砕氷艦「しらせ」野菜カレー」ということですが……臼井総理さん、砕氷艦しらせとは、どんな艦なのでしょう?
その名の通り「氷を砕きながら航行する船」、つまり南極観測船です。一般的には一番有名な艦だと思います。
―― あー! あのオレンジの! 南極観測船って自衛隊の管轄だったんですね!
野菜たっぷりのカレーということは、南極まで長い旅をするから栄養をつけようということでしょうか?
そこは、どうでしょうね(笑)。ただ、生鮮野菜は長期間の保存はできませんから、そういう意味でしらせカレーには根菜が多く使われているのかも。根菜は長持ちしますから。
―― 確かに、それはありそうですね。ではスパイシー丸山さん、カレーの解説をお願いします。
具だくさんなポーク野菜カレーですね。マイルドで親しみのある味わいです。甘さの後にピリ辛な味わいが追いかけてきて、さりげない酸味も感じられます。
玉ねぎ、れんこん、にんじん、茄子、じゃがいも、かぼちゃという6種類の野菜が入っているのですが、この具材の存在感がすばらしいです! 特に薄切りのれんこんが大きな形のまま入っているのがうれしいポイント。200gとボリュームもしっかりあります。
れんこんの食感がしっかり残っているのがいいですよね。レトルトでこういうふうに形を残すのは難しいと思います。
そうですね。この砕氷艦「しらせ」野菜カレーを製造しているのは平和食品工業という東京の会社になります。
1930年代から続く老舗で、ジャパニーズカレーらしい味作りが上手なメーカーなんです。私はこのカレーを食べて、寸胴から自衛隊員の皆さんに振る舞っているような光景が浮かんできました。
原材料を見ると珈琲が入っていますよね。自衛隊カレーでは、予算内でコクや複雑味を出すために、インスタント珈琲が使われることが多いんです。
製造メーカーの自衛隊に対するリスペクトがうかがえますね!
―― 具材の存在感があるということでしたが、このしらせ野菜カレーにつけあわせを添えるなら何がおすすめですか?
野菜たっぷりカレーなので、ハムカツのようにガツンとくる肉の揚げ物などを添えると満足感が増して良いと思います!
―― それはとても合いそうですね!
【横須賀編】潜水艦「せとしお」カレー
潜水艦「せとしお」カレー
- 艦の特徴:横須賀所属。海に潜んで情報収集したり、有事の際に敵の脅威に対抗する
- カレーの特徴:すりおろした生姜とみじん切りした生姜を加えたチキンカレー
- 金額:594円
―― 「せとしお」は潜水艦ということですが、潜水艦とは自衛隊の中ではどんな役割を担っているんでしょうか。
潜水艦は現在、22隻あります。海に潜んで敵に気取られることなく情報収集し、有事の際には敵の脅威に対抗するのが役割です。日本は四方を海に囲まれているので、潜水艦は非常に重要な存在になります。
潜水艦って海に潜ったままですよね?そこでカレーを食べたら匂いが充満しそうな気がしますが、大丈夫なんでしょうか。
一応、艦内に空気清浄機はありますし、機械油やディーゼル燃料のにおいもするでしょうから気にならないかもしれませんが……たぶん、我慢してると思います。
―― 我慢しているんですか! では、我慢してでも食べたくなるカレーとは、どんな味わいでしょうか。
ちょっと意外な切り口からきたな、という印象のカレーですね。すりおろした生姜とみじん切りした生姜を加えたチキンカレーで、ダイレクトに生姜の風味が感じられます。ザ・ジャパニーズジンジャーカレーといった趣で、かなりの変化球です。
生姜のシャキッとした食感はアクセントとして面白いですし、具材の大きさも高ポイントです。これは、牛肉ではなく鶏肉だからでしょうね。
鶏肉は単価が安いので、レトルトでも大きなサイズで入れられます。200gと量も十分。生姜が強いので、好みは分かれるかもしれませんが、ちょっと変わったカレーを食べたい人におすすめです。
僕は生姜好きなのでたまらない味わいです!
―― どうして、こういう味わいになったんでしょう?
あくまでも想像ですが……。潜水艦の乗組員ってトップクラスにストレスがかかる仕事なんです。それもあって、こういった変わり種で刺激的なカレーが提供されているのかもしれませんね。
―― それはありそうですね。スパイシー丸山さん、おすすめのつけあわせはありますか?
そうですね。カレーにサラダと牛乳を添えるのが横須賀スタイルなので、せとしおカレーもそのセットで食べてみるとよさそうです。せとしおカレーは横須賀のラウナというお店でも提供されているそうなのですが、そこでもサラダと牛乳が合わせて出てくるのだとか。
ちなみに、2014年の護衛艦カレーグランプリin横須賀で優勝したのが、「横須賀潜水艦部隊カレー」でした。そのカレーはレトルト化されていないのですが、同じく横須賀を母港にするカレーということで、潜水艦せとしおカレーを選んでいます。
【呉編】護衛艦「かが」カレー
護衛艦「かが」カレー
- 艦の特徴:呉所属。空母のような甲板がある大型の護衛艦
- カレーの特徴:鶏ガラと香味野菜でブイヨンをとったビーフカレー。ひじき入り
- 金額:712円
―― 続いては、呉基地のカレーです。臼井総理さん、呉とはどういうところなのでしょうか。
呉市は「戦艦大和のふるさと」としても有名ですね。そして、自衛隊カレーを活用した地元の盛り上げ方がうまいんですよ。お店だけでなく、市役所の食堂でも自衛隊カレーが食べられるし、いろいろなイベントも開催しています。僕もコロナ前はプライベートで年3回くらい呉市を訪れていました。
僕はまだ行ったことがないんですが、Webサイトを見ても盛り上げようという熱量を感じますね! 行ってみたいです。
ぜひ! カレーにしても二泊三日くらいではとても食べ切れないくらいのお店がありますよ。
―― そんな中で今回取り上げたのは、護衛艦「かが」カレーです。護衛艦とはどういう艦なのでしょうか。
海上自衛隊の艦には、補給艦や輸送艦などいろいろな種類がありますが、そのうち護衛艦は、有事の際に敵の脅威に対抗する水上戦闘艦を指します。中でもかがは、空母のような甲板があって、多数のヘリの運用もできる、ちょっと特別な艦になります。
―― 空母のような役割を持つ艦というわけなんですね。ではスパイシー丸山さん、かがカレーはどんな味わいですか?
鶏ガラと香味野菜でブイヨンをとったビーフカレーです。ひじきが入っていて、“ひじき入り濃厚黒カレー”といった雰囲気です。でも、この黒さはひじきというよりは、おそらく黒ごま由来ではないかと。ルウは粘度が高くてドロっとしていて、まろやかで濃厚な味わいが癖になります。
ポイントはやはりひじきで、思っていたよりたくさん入っていました。ひじきは味に癖がないので、カレーの邪魔をせず相性ばっちりですね。
香りはバナナピューレでフルーティーに仕上がっています。おそらく、かがカレーにもバナナが入っていて、それを再現したのではないでしょうか。
―― ひじきが入っているところは日本のカレーって感じですね!
インドでも海産物系のカレーはあまりないので、日本ならではと言えます。食感にアクセントもありますし、これは面白いカレーでした。
製造メーカーは大阪のベル食品工業で、今では当たり前となっている板チョコ型のカレールウを発明したメーカーだといわれています。ご当地系やタレント系、コンビニカレーなんかも手がけている実力派ですね。
―― おすすめのつけあわせはありますか?
日本らしいカレーということで、煮物だとか漬物、それこそ定番の福神漬けやきゅうりの漬物なんかをあわせてもおいしいと思いますよ!
―― ちなみに、黒さにこだわっているのは何か理由があるのでしょうか? ひじきが入るカレーってとてもめずらしいと思うのですが、「かが」と何か関係があるとか……?
おそらく給養員さんが、同じ材料ばかりにならないようにとか、見た目でも隊員を喜ばせたいとか、健康を考えて使ったのだと思います。「かが」と直接関係があるわけじゃないんですが、予算内でできるだけおいしいものを人数分作らなければならない中で、いろいろ工夫されているのではないかと。
【呉編】呉教育隊カレー
―― 続いては呉教育隊カレーです。教育隊とは、どんな隊なのでしょう?
教育隊は名前の通り教育・訓練を行う専門の部隊で、特に新人教育がメインです。海上自衛隊の新入隊員の多くは、まず全国の主要な基地にある教育隊のいずれかに入って、海上自衛隊人生のスタートを切ります。
ということは、これは艦で提供されているカレーではなく、新人の方が教育を受ける建物で提供されているカレーということですか?
そのとおりです。教育隊もやっぱり金曜日はカレーなんですよ。
ちなみに呉教育隊は、明治22年に呉鎮守府海兵団としてスタートした歴史のある部隊です。
教育隊は人材を育てるための隊ということで、ふと気になったのですが、艦で調理されている給養員の方って、自衛隊員なのでしょうか?
実は給養員も自衛官なんです。入隊後に専門の学校で学んで、調理担当として配属されます。
そうなんですね! 最初から調理担当を志望して入るんですか?
最初から目指している方もいるでしょうし、教育隊にいるときに教官たちから勧められるケースもあるようです。
基本的には、教育隊を出た後「経理補給要員」として約2年、艦や各部隊で勤務した後、舞鶴にある海上自衛隊第4術科学校で専門教育を受けて、給養員になります。
なるほど! いや、艦に乗って海に出たらなかなか帰ってこられない過酷な環境なので、一般的な調理師の方よりも給料は高いなんてこともあるのかなと思ったのでした。
自衛官なので、給与は自衛隊の基準になるんです。
―― 給養員も最初は教育隊で学ぶんですね。そんな呉教育隊カレーの味わいはいかがでしたか?
ひき肉と素揚げ茄子のカレーですね。製造しているのは先ほどと同じくベル食品工業。カレーパウダーの香りが全体の味わいをまとめた、まろやかなジャパニーズカレーという印象で、シャープな味わいがご飯を進ませてくれます。
メインの茄子の形がしっかり残っているのがうれしいですね。3個入っていてボリュームも満点。ひき肉を使っているので、キーマカレーっぽい印象もあります。
ご飯を丸く盛り付けて、中央を少しへこませて卵黄を入れると見栄えがいいですね。
―― 卵黄! さらにマイルドになっておいしそうです。
目玉焼きを添えるのもいいと思います。キーマカレーの定番の組み合わせなので、ぜひ試してみてほしいです。
―― ちなみに教育隊は艦ではなく地上のカレーになりますが、そのあたりの事情は材料などに反映されているんでしょうか。
ひき肉を使っているところなんかは予算の都合もあるのかなと思いましたね。
それと、自衛隊カレー全体にいえることなんですが、香りは万人受けするキャッチーなものが多いです。
―― クセが少ないということでしょうか。
そうですね。レシピを調べてみるとカルダモンやクローブなどのちょっと変わったスパイスを利かせるのではなく、カレールウをベースにガラムマサラやカレーパウダーで香りを調えるタイプのカレーが多かったです。
教育隊は特に、艦よりも多くの人が食べることになるので、より無難に誰もがおいしいと感じられるような味わいに仕上げているのかもしれませんね。
【佐世保編】護衛艦「さわぎり」カレー
護衛艦「さわぎり」カレー
- 艦の特徴:佐世保所属の、1990年から就役している、護衛艦の中でもベテランの艦
- カレーの特徴:イカスミと牛すじを使ったどっしりコクのある欧風カレー
- 金額:712円
―― 続いては佐世保のカレーです。GC1グランプリも開催された佐世保ですから、期待ですね!
佐世保基地は5つある海上自衛隊の港の中でも、特に大きな基地の1つです。現在、日本の西方に脅威があることから、重要性が増している基地でもありますね。
そんな佐世保基地からは、1990年に就役した歴史ある護衛艦「さわぎり」カレーを選びました。今回の企画で、僕が最初に選んだカレーです。というのも、さわぎりカレーはGC1グランプリの初代チャンピオンなんです。
―― それはもう、絶対に紹介しないといけないカレーですね! ではスパイシー丸山さん、お味はいかがでしたでしょうか?
イカスミと牛すじのカレーですね。佐賀県の宮島醤油というメーカーが製造しています。宮島醤油はレトルトカレーではメジャーなメーカーです。
イカスミを入れた濃厚なルウに生クリームとバターを加えてコクを出しています。
ルウはもったりではなく、どちらかといえばゆるい感じ。イカスミのコクがあるけど癖はなく、どっしりコクのあるビーフカレーですね。
原材料を見るとりんごピューレやバナナピューレも入っているので、本家のカレーもフルーツでアクセントを加えたカレーなのかなと思います。ゆるくなめらかなカレーにご飯がどんどんからみついていくので、食べる手が止まりません。
―― おいしそう……。ところでイカスミが入るカレーは初めて見ました。これは「さわぎり」と何か関係があるのでしょうか?
いやあ、特に関係はないと思います。給養員長がたまたまイカスミスパゲッティを食べたとかかも(笑)
カレーとしては欧風スタイルなんです。なので、つけあわせには、神保町のボンディというお店などで一緒に出てくるふかしじゃがいもなんかがいいのではないかと。野菜も補えるし、お腹もいっぱいになりますよ。
イカスミと聞いて、磯臭いのかなと警戒していたのですが、スパイシー丸山さんがおっしゃるように癖はなかったですね。
イカスミを使っているあたりは変わり種ですが、好みはあまり分かれないと思います。やはり一般投票でグランプリを取るようなカレーは、大人から子どもまでおいしいと思えるものに仕上がっていますね。
―― 牛すじが使われているのは何か理由がありそうですか?
牛すじはそもそもカレーの具材として定番ですよね。牛肉としては安価なので、予算と栄養、食べごたえなどの観点から自衛隊カレーに使われることが多いと感じます。
やっぱり我々日本人はビーフに弱いんですよね(笑)。ただ、牛肉はどうしても単価が高くなります。レトルトカレーに牛肉を入れようとすると、コストの関係で他の具材が寂しくなりがちなので、そんなにビーフに惑わされないで……と言いたいですね。
【佐世保編】護衛艦「くらま」カレー
護衛艦「くらま」カレー
- 艦の特徴:2017年3月に退役した佐世保所属の護衛艦。艦の前部に大砲を2門積んでいる外観が特徴的
- カレーの特徴:上品でなめらかな欧風カレー
- 金額:712円
―― 続いては護衛艦「くらま」カレーです。くらまとはどのような艦なのでしょうか。
くらまは2017年に退役しており、現役ではない艦です。ですが、退役する直前、2016年のGC1グランプリでチャンピオンに選ばれており、まさに有終の美を飾ったカレーといえます。
私も退役する直前に写真を撮りに行ったりして、個人的に思い入れのある艦なんです。
―― こちらも紹介しないわけにはいきませんね……! では、その元チャンピオンのカレーはどうでしょうか。
くらまカレーも製造しているのは宮島醤油ですね。ゆるめのカレーで、上品でなめらかな欧風タイプです。ほどよい甘みにデミグラスソースのような雰囲気もあって、宮島醤油らしい丁寧な味作りだなと思いました。
具材には薄切り牛肉3つ、じゃがいも3つが入っていて、ボリュームもあります。面白さで勝負するご当地カレーというよりは、スタンダードにおいしいカレーという感じです。
―― これもまたおいしそうですね! つけあわせはどうでしょう。
洋食っぽさがあるので、ポテトサラダやたまごサラダのようにマヨネーズを使ったサラダと合わせてみると良いと思います。
―― スタンダードにおいしいカレーということですが、ミリタリーファン的には「くらま」の印象と合うでしょうか?
そうですね。「くらま」がちょっと古いタイプの無骨なイメージの艦でしたので、生真面目でスタンダードな欧風カレーはイメージ通りじゃないでしょうか。
【大湊編】護衛艦「ちくま」カレー
護衛艦「ちくま」カレー
- 艦の特徴:大湊所属の護衛艦。一般的な護衛艦の中では、小型のタイプ。
- カレーの特徴:バランスのとれた濃厚ピリ辛ポークカレー
- 金額:712円
―― では、続いて大湊にいきましょう!
大湊基地は青森県の半島の端に位置する基地ですね。北の果てというイメージですが、実は住めば都ということで、任期を終えても戻りたくないという人が続出するらしいです。
―― そんなに魅力的な大湊で、どんなカレーが食べられるのか気になりますね!
今回は護衛艦「ちくま」カレーを選んでみました。ここまでビーフカレーが続いたので、ポークカレーで。艦としては小型で、少し旧型ですね。ファミリーみたいな雰囲気で過ごせる艦らしいですよ。
艦によって大きさも違うんですね。そういえば、以前に横須賀で艦を見たとき、あまりにも大きくて度肝を抜かれたことがあります。
それはおそらくアメリカ海軍の空母か、強襲揚陸艦でしょうね。特にアメリカ海軍の空母は1つの街が入るくらいのサイズがあるんですよ。
それはテンション上がりますね! コロナが落ち着いたらまた見に行ってみたいです。
―― ファミリーみたいな護衛艦ちくまのカレーは、どんな味わいでしょうか。
濃厚ピリ辛ポークカレーで、バランスの取れた味わいですね。多くの人が喜ぶ仕上がりだと思います。豚肉ならではのパンチの利いた旨味がたまりませんね。肉がごろっと入っているのも高ポイントで、あとは小さなじゃがいもと大きめのにんじんが入っています。
ここまでのカレーの中でも、純粋においしいポークカレーとして高く評価できました。製造はやはり宮島醤油です。あまり冒険をせず、丁寧に作り上げた一品ですね
―― 誰でも安心しておいしく食べられるカレーという感じですね。ファミリーのような雰囲気にぴったりかもしれません。つけあわせのおすすめはありますか?
私のおすすめはスーパーのお惣菜でとんかつを買ってきて、カツカレーにして豪快に楽しむ食べ方です。
―― スタンダードなポークカレーにカツ! 合いそうです!
ちなみに、この護衛艦「ちくま」カレーを購入できる楽天の「制服のフジ」というショップなんですが、カレー以外にも海上自衛官の制服やグッズなどを購入できるので、自衛隊ファンの方は要チェックです!
【舞鶴編】第23航空隊カレー
―― 最後は舞鶴基地ですね。
意外と勘違いしている人が多いのですが、舞鶴は福井県じゃなくて京都府にあります。近年の海上自衛隊ブームで地域を盛り上げようとしている町ですね。
基地の規模としては大湊よりは大きめですが、他の基地よりは小規模です。道路の向こうにいきなり艦が見える景色は圧巻なので、ぜひ見に行ってほしいです。
―― そんな舞鶴基地から選ばれたのは第23航空隊カレーです。
ふと疑問に感じたんですが、航空隊って空を飛ぶ部隊ですよね。でも、「海上」自衛隊なんですか?
それはですね。自衛隊には陸上・海上・航空と3つあるわけですが、実はどの隊も航空部隊を持っているんです。
ただ、戦闘機があるのは航空自衛隊だけ。海上自衛隊は対潜哨戒機かヘリになります。
そういうことなんですね!
―― ということは、今回の第23航空隊カレーも、食べる場所は艦ではなく基地なんですね。さて、味わいはいかがでしょうか。
これも製造は宮島醤油ですね。フルーティーな風味が特徴の具だくさん牛すじカレーで、濃厚なビーフカレーがベースになっています。
カットされた牛すじが多めに入っていて、角切りじゃがいもと大きめのにんじんもたっぷり。カレーはもったりとして、どこか和の旨味も感じます。味にパンチがありますね。
ちょっと甘い印象はありますね。甘口が好きな人には良さそうです。具だくさんなのは好印象です。
フルーティーなカレーなので、カットフルーツなどと一緒に食べると相乗効果でよりおいしくなるかもしれませんね。
―― そういえば、ここまでカレーを食べてきて、何となく西日本の自衛隊カレーに牛肉系が多い気がしています。地域性なんでしょうか?
関西はやはりビーフエリアですよね。東京に近づくと、ポークやチキンが主体になってくると思います。そういう意味では自衛隊カレーにも東西の文化が反映されている可能性はあるかもしれませんね。
まとめ
―― 以上、8種類の海自カレーについて、臼井総理さん、スパイシー丸山さんにいろいろとお話を伺ってきました。いや〜! 想像以上に奥深い世界が広がっていて、充実した時間でした! 最後にお二人から、本日の感想をお願いします。
私自身、レトルトカレーのレビューをやっていますし、自衛隊カレーがレトルトでいろいろ発売されていることは知ってはいたのですが、あらためて食べてみて、工夫しているんだなと思いました。私はなんでもおいしく食べられる舌をしているので(笑)、どれもおいしくいただきました。
こういった自衛隊カレーなんかをきっかけに、護衛艦や海上自衛隊に興味を持っていただけたらうれしいですね。
自衛隊カレーは一度入ると抜けられないほど深そうな感じがしていて、今までなかなか踏み出せなかったフィールドでした。食べてみると、総じておいしかったですね。
最近はスパイスカレーや南インドカレー、スリランカカレーなどいろいろなカレーが登場してブームになっていますが、自衛隊カレーのようなジャパニーズカレーはやっぱりおいしいなと感じましたし、海上自衛隊や護衛艦というパッケージングも面白いですね。護衛艦への興味から入っていただいてもいいですし、それがジャパニーズカレー活性化につながればと思います。
🍛
自衛隊カレーをミリタリーの専門家とカレーの専門家の視点から深堀りしていく本企画。事前に予想していたよりもはるかに深いお話が次々に飛び出して、ものすごく濃厚なカレー談義になりました。
今回ご紹介したもの以外にも自衛隊カレーにはいろいろな種類があります。ぜひ皆さんもレトルトの自衛隊カレーをお取り寄せして、おうちで楽しんでみてください!
聞き手・文:山田井ユウキ
レトルトカレーを食べたくなったら、こちらもチェック!
ソレドコでTwitterやってます!
今回紹介した商品
「砕氷艦しらせ 野菜カレー」を詳しく見る
「潜水艦せとしお カレー」を詳しく見るを詳しく見る
「護衛艦かが カレー」を詳しく見るを詳しく見る
「呉教育隊カレー」を詳しく見る
「護衛艦さわぎり カレー」を詳しく見る
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