こんにちは。スープ作家の有賀薫です! 毎日スープを作っています。
皆さんは日々、野菜不足を感じることってありませんか? 特に、外食やテイクアウトに頼りがちな人ほど、野菜がとれていないな……と思うことも多いのではないでしょうか。
それを簡単に解決してくれるのが、野菜スープです。
私が得意とするスープは、季節の野菜を使った「食べるスープ」。それほど長時間煮込まず、簡単に作れるレシピが多いのが特長で、およそ8年半、3,000日以上にわたってさまざまなスープを作ってきました。
野菜のスープに肉や魚を足せば一皿でも十分に栄養のバランスの取れたスープになりますし、さらにごはんや麺を加えれば、リモートワークのお昼ご飯にもぴったり。夜遅く食べても罪悪感が生まれません。
こんなふうに、スープを取り入れると、食生活がぐっと充実します。
今回は、秋の季節野菜を詰め合わせた「野菜セット」を楽天市場で購入し、中に入っている野菜を使って5つのスープを作りたいと思います。
この野菜セットは、その季節にとれる新鮮な野菜を詰め合わせて送ってくれるというもの。旬の野菜が簡単に手に入る上に量もちょうど良く、お値段も安いんです。今回は通販を利用しましたが、スーパーで購入できることもあるようです。
産地直送された新鮮な野菜は、生だけでなく、サッと焼いたりゆでたりというようなシンプルな食べ方でも驚くほどおいしいもの。さらにほかの食材と合わせてスープにすれば、さまざまなバリエーションで食べられて、野菜のうまみもしっかり味わえます。毎日の献立を考えて自分で材料をそろえる手間を考えたら、おまかせで届けてもらえる野菜を食べるほうが、気持ちもずっと楽ですね。
秋の野菜がたくさん詰まった「野菜セット」を注文
まずは、野菜セットを注文します。いろいろある中から私がピックアップしたのは、楽天市場にある「芋屋九兵衛」の野菜セット詰め合わせ。千葉県と茨城県の契約農家さんから、旬の野菜を10種ほど詰め合わせて届けてくれるそうです!
他にもいろいろな野菜セットの取り扱いがありましたが、芋屋九兵衛さんの場合、出荷可能なリストの中であれば欲しい野菜が選べる、あるいは嫌いな野菜を除いてくれるなど、注文に好みが反映できるというのがいいですね。ネットでサクサクと注文完了。すると、注文の翌日……野菜の箱が届きました。早い!
箱を開けると、野菜がぎっしり! しっとりした土の香りがして、まさにとれたて野菜という感じです。
今回、箱に入っていた野菜はこちら。
- 1.サツマイモ
- 2.ごぼう
- 3.小松菜
- 4.チンゲンサイ
- 5.バターナッツ
- 6.トマト
- 7.冬瓜
- 8.マッシュルーム
- 9.しめじ
- 10.なす
- 11.里芋
- 12.れんこん
ポピュラーかつ使いやすい野菜が中心で、想像していたより、ずっとたくさん入っていました。また、れんこんなどは変色しないよう真空パックされていて、保存性も考えてくれているのがうれしいところ。
今回は届いた野菜のうち10種類を使おうと思います。使わなかった冬瓜とサツマイモについては、後日いつも作っているスープに使用しました。
届いた野菜をおいしく使い切るために押さえておきたい、2つのポイント
レシピへ移る前に、野菜をおいしく使い切るためのポイントを紹介します。野菜セットが届いたら、中に入っている野菜を使い切るために以下の2点を抑えておきましょう。
1.保存を適切にする
野菜がたくさん届いたら、すぐにやっておきたいのは野菜の保存。特に冷蔵便で運ばれてきた葉物やきのこ類、ナスなどは傷みやすいので、なるべく早く冷蔵庫の野菜室へ入れましょう。
芋類やカットされていない丸のままのかぼちゃ、冬瓜などこれからの季節は出しておいても大丈夫です。今回なら、サツマイモ、里芋、冬瓜、バターナッツは常温で保存してOK(カットして残った分は冷蔵庫へ)です。
2.鮮度に合った使い方をする
野菜は鮮度で味が変わっていきます。野菜が新鮮なうちは、生食や、ゆでたり蒸したりするだけでも十分おいしいもの。スープでも、素材を大きく切って主役にするようなスープが作れます。
葉物やきのこなど、傷みやすいものはなるべく早めに食べます。葉物で2~3日、根菜で4~5日たって、少し元気がなくなってきたな……と思ったら、油を多めに使ったり、あるいはだしや香辛料などでうまみを補ったりすると、十分おいしく食べられます。
野菜が少量ずつ残った場合は、刻んでスープにするのがおすすめ。何もかも入れてしまわず、主役にする野菜を1つ決めておいて、その野菜を中心に相性の良い野菜を選ぶとうまくいきます。和風、洋風、中華風など、料理のテーマで選んでもいいですね!
秋が旬の野菜を使ったスープレシピ5つ
それでは、届いた野菜セットの秋野菜を使っておいしいスープを作っていきましょう! 味出しのために、ボックスには入っていないたまねぎ、長ねぎ、ニンニク、ショウガなどは足しています。
【1】秋といえばきのこ! 「しめじとマッシュルームの卵スープ」
秋の味覚といえば、やっぱりきのこ! 涼しい時期においしくなります。きのこは、違う種類を合わせて使うことで、それぞれのきのこのうまみが掛け合わされておいしさの相乗効果が起こります。卵と合わせて簡単にできる中華スープを作りましょう。
野菜セットのしめじとマッシュルームを使って! 他にも、まいたけ、エリンギ、えのき、ひらたけなど、さまざまなきのこを組み合わせてOKです。
材料(2人分)
- しめじ、マッシュルーム……合わせて200g
- ニンニク……1個
- 塩……小さじ1
- ごま油……小さじ1
- 卵……1個
- 片栗粉……大さじ1/2
- コショウ……少々
作り方(15分)
- マッシュルームはサッと洗って水気をふき、4~5つの薄切りに。泥で汚れている場合はさらに軽く洗うといいでしょう
- しめじは石づき(軸の先の固い部分)を取って手で裂きます
(2)きのこを蒸し煮する
- 全てのきのことつぶしたニンニクを全て鍋に入れ、塩とごま油をかける
- ぴったりふたをし、中火にかけ、5分ほど蒸し煮する
- 途中で一度ふたをあけて、全体をかき混ぜる
(3)水を加えて味をつけ、卵を流し込む
- (2)に水400mlを加えて煮たて、味を見て塩とコショウで調える
- 片栗粉を同量の水(大さじ1/2)で溶き、(2)に混ぜながら加えてとろみをつける
- さらに、溶いた卵を少しずつ垂らし、ふんわり浮かび上がってきたら火を止める
- 好みでごま油を垂らして完成
【2】秋も青菜をもりもり食べたい! 「チンゲンサイの中華風スープ」
鍋にはちょっと早いこの季節、青菜をたっぷり食べられるスープはうれしいものです。今回はみずみずしいチンゲンサイを使って、ショウガの香りが効いた、中華風のスープを作りましょう。春雨が入っているのでボリューム感もあります。
また、チンゲンサイの代わりに白菜や水菜を使ってもおいしく作れます。
材料(2人分)
- チンゲンサイ……2株
- ハム……2枚(40g)
- ショウガ……1片(20g)
- 春雨……30g
- ごま油……小さじ2
- 塩……小さじ2/3
- コショウ……少々
作り方(15分)
- チンゲンサイはざく切りにする。茎部分は縦6等分に切る
- ショウガとハムは千切りにする
(2)材料を炒める
- 鍋にごま油とショウガを入れて中火にかける
- ショウガの香りが立ってきたら、チンゲンサイを加えて2分ほど炒める
- ハムをのせ、水400mlを加える
(3)春雨を加えて味を調える
- 沸騰したら、春雨を加えて3分煮る
- 春雨がやわらかくなったら、塩とコショウで味を調えて完成
【3】根菜が充実する季節! 「ごぼうとれんこん、鶏もも肉のクリームスープ」
秋になると、ごぼう、れんこん、里芋などの根菜がおいしくなります。下処理が大変そうに思えますが、ゴロゴロと一口サイズに切れば、思いのほか楽ちん。煮物やきんぴらなど和食のイメージですが、鶏もも肉のクリームスープに入れてもとってもおいしいのです。
小麦粉を炒めてルーを作るのは、すごく大変! と思っている人が多いのですが、作り方は小麦粉をバターで2分ぐらい炒めて水で少しずつ伸ばすだけ。小麦粉は野菜のように洗ったり切ったりする必要もないですし、丁寧に解説してみたので、試してみてください。
もちろん、使い慣れている市販のルーがあれば、それを使ってもいいですよ。クリーム味で根菜を食べるおいしさをぜひ体験してもらえたらうれしいです。
今回は野菜セットからごぼうとれんこんを使いましたが、里芋を入れてもOKです。
材料(2人分)
- ごぼう……1/2本
- れんこん……150g
- 長ネギ……1/2本
- 鶏もも肉……200g(※唐揚げ用が便利)
- サラダ油……大さじ2
- 小麦粉……大さじ2
- 牛乳……200ml
- 塩……小さじ2/3
- 黒こしょう……適量
作り方(35分)
- ごぼうは皮をたわしなどで洗った後、乱切りにする
- れんこんは皮をむいて乱切りにする
- 鶏もも肉は一口大、長ねぎはコロコロとした1cm幅に切る
(2)小麦粉を炒める
- 鍋でサラダ油を熱し、小麦粉を振り入れる
- 小麦粉をかき混ぜながら中火で2分ほど炒める
- 一度火からおろし、少しずつ少しずつ水を加えて小麦粉を伸ばしていく(最終的に合計400mlの水を加えます)
かき混ぜると、団子状にひとまとまりになりますので、そうしたらまた、大さじ1の水を加えて混ぜます。
市販のルーを使う場合は、水400mlに少な目のルーを入れて沸かして、その中で具材を煮ます。最後に必ず味を見て、ルーや塩で味を調えましょう
(3)野菜と鶏もも肉を煮る
- 再度鍋を火にかけ、煮立ったら、ごぼう、れんこん、鶏もも肉、長ねぎを加えて15分煮る
- 塩を加え、牛乳をまず50ml加える。味見してみて味が濃いようなら牛乳を少しずつ加えていく(目安として100mlまで)
- 黒コショウをふって完成
【4】ちょっと珍しい品種も通販ならでは! 「バターナッツのポタージュ」
普段買わない野菜に出会えるのも、通販の楽しみ。かぼちゃの一種、バターナッツを使ったポタージュを作ってみます。バターナッツ、バター、牛乳というシンプルな食材で簡単においしく作れます。
バターナッツはひょうたんのような形ですが、実はかぼちゃなんです。味は普通のかぼちゃより少しみずみずしい感じ。スープにとても向いています。
材料(2人分)
- バターナッツ……1/2個(下半分)
- バター……20g
- 塩……小さじ1/3
- 牛乳……100ml
作り方(25分)
- バターナッツを上下で半分に切り分け、さらに下半分を半割にする
- 種とワタをスプーンでくりぬく
- 皮をむき、薄切りにする
(2)バターナッツを煮る
- 鍋を中火にかけ、バターナッツとバターを入れて1~2分炒める
- 水200mlを加え、ふたをしっかりして10分ほど中火で煮る
(3)ポタージュにする
- バターナッツが柔らかく煮えたら、ブレンダーをかけてなめらかにする
- 牛乳を少しずつ混ぜて、好みのとろみにして完成
【5】おいしい野菜だから残さずに! 「使い切り野菜のミネストローネ」
野菜セットで気になるのが、「使わない野菜が残ってしまうのではないか……?」ということですよね。スープなら、残りの野菜をいろいろ入れられます。皮がちょっと傷ついているような野菜や、少し古くなってしまった野菜も、スープなら問題なし!
このミネストローネ、調味料は塩とオリーブオイルだけ。コンソメキューブなどは使わずに、野菜のうまみでおいしくなります。コツは野菜をよく炒めること!
主役は小松菜。なすやトマトは脇役なのでいくつでも。きのこが少し入るとうまみを出してくれます。今回はたまねぎとニンニク、それにベーコンをプラスしました!
材料(3〜4人分)
- 小松菜……1束
- なす……2個
- トマト……2個
- しめじ……80g
- たまねぎ……1/2個
- ニンニク……1片
- ベーコン……30g
- オリーブオイル……大さじ3
- 塩……小さじ1
作り方(45分)
- たまねぎとニンニクはみじん切りにする
- 小松菜は根を落として2cmの長さに刻む
- しめじは手で裂く
- トマトはヘタを取りざく切りに、なすはピーラーで皮をむいて2cm角ぐらいに切る
- ベーコンは2cm幅に切る
(2)野菜を順に炒める
- 鍋にオリーブオイルとニンニクを入れて中火にかける
- ニンニクの香りがたってきたら、たまねぎを加えて炒め、続いてベーコンを炒める
- その後、なすとしめじ、トマト、小松菜の順に加えながら炒める
(3)水と塩を加えて煮る
- 水500mlを(2)に加え、煮立ったら弱火にして20〜30分ほど煮込んで完成
- 最後に味を見て物足りなければ、塩で調節する
ミネストローネは本来、汁少なめの食べるスープ。トーストなどを添えればそれだけで完全な一食になります。粉チーズなどを振って食べてもおいしいですよ。
野菜セットでバランスの良い野菜生活を
自分で野菜をバランス良く買うのはなかなか難しいもの。つい、好きな野菜に偏ってしまいます。
野菜セットなら、旬の野菜をたっぷり手に入れられるほか、葉物、根菜、実野菜などをバランス良く食べられることにつながります。
野菜は案外重たいので、こうして箱で買うことで、買い物の負担も減らせます。そして何より、使ってみたかったけれど、なかなか手が出せなかった野菜との出会いを作ってくれるのも、野菜セットの魅力です。
野菜セットでおいしくて健康的なスープライフを送りましょう!
https://soredoko.jp/entry/2019/02/28/103000soredoko.jp
https://soredoko.jp/entry/2018/07/06/110000soredoko.jp
著者:有賀薫
スープ作家。家族の朝食に毎朝スープを作り続けて約3000日以上に。雑誌、ウェブ、テレビなどでスープのレシピを紹介。『朝10分でできる スープ弁当』(マガジンハウス)で、2020年料理レシピ本大賞入賞。近著に『スープ・レッスン2 麺・パン・ごはん』(プレジデント社)。
Twitter:@kaorun6
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