この世には星の数ほどのキッチン用品や調理器具があります。中には、まだ出会えていないけれど、目からウロコの便利アイテムや、料理が楽しくなるときめきツールもたくさんあるはず。
そこでソレドコでおなじみ「料理&キッチン用品沼」にはまっているこちらの方々に、ジャンルを問わず偏愛している「推しキッチン用品」とその魅力を自由にプレゼンしてもらいました! 条件は「台所で使うものであれば何でも」!
\ご協力いただいたみなさま/
辻村哲也(ツジメシ)
プロダクトデザイナー、ときどき料理人。さまざまなメディアで「ツジムラのメシ=ツジメシ」のレシピを発信している。
イナダシュンスケ
南インド料理専門店「エリックサウス」をはじめとする、さまざまな飲食店の中の人。ジャンルを問わず何にでも食いつく、自称“変態料理人”および“ナチュラルボーン食いしん坊”。
ツレヅレハナコ
食と酒と旅を愛する編集者。愛しすぎてキッチンが2つある一軒家を建てる。家の中には国内外のキッチン用品がずらり。
ぶち猫
「趣味」として料理やお菓子作りを行うブロガーだが、そのクオリティーの高さは「趣味」のレベルを超えているという声も。
梅津有希子
編集者・ライター。「だし愛好家」として、書籍やWeb記事などで簡単なだしのとり方や手軽なだし料理を紹介。とにかくだしが好き。
河瀬璃菜
「りな助」の愛称で親しまれる料理家。手間をかけずに本格料理に仕上げるレシピが得意。レンチンを“神”と崇める。
玉置標本
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。なにかを捕まえて食べる人、製麺機の人として知られている。
※順不同
なお本記事は、料理沼の方に手持ちのキッチン用品の魅力を徹底的にヒアリングし、特にこだわりが見えたものをピックアップして紹介する「 #推しキッチン用品」連載の最終回となります。これまでフライパン、ブレンダー、包丁などを紹介してきましたが、今回は特定のカテゴリーにとらわれず、各人が徹底的にあなたの物欲を煽ります!
【2】素材の旨味を生かす小さなオーブン。ストウブのココット(イナダシュンスケ)
【3】ヘコみや変色など“使用感”に愛着が湧くアルミ製ボウル(ツレヅレハナコ)
【4】魚焼きグリルの使用ハードルが下がる及源の鉄製“焼き皿”(ぶち猫)
【5】混ぜる、つぶす、炒める、すくうがこれ1本で! 万能すぎるオメガヴィスペン(梅津有希子)
【6】何度も洗って使い倒せるエコなスコッティの不織布キッチンペーパー(河瀬璃菜)
【7】「取り出せる」ことでだしとりが捗る! 三景のだし袋(玉置標本)
【番外編】まだまだあるゾ! 推しキッチン用品
全4回にわたり料理好きの「推しキッチン用品」を紹介する連載。思わず欲しくなる品々、そろっています。
- 🍳推しフライパンをアツく語った第1回🍳
- 🧅ブレンダー、アリかもと思える第2回 🧅
- 🔪そろそろ包丁を買い換えるか……と考え始める第3回🔪
- 🍚こんなアイテム知らなかった!と即ポチりたくなる最終回(この記事です)🍚
【1】シンプルなのに多機能。無印良品のダイヤル式キッチンタイマー(辻村哲也)
無印良品の「ダイヤル式キッチンタイマー TD-393」を愛用しています。特徴は、円筒形のボディ側面(ダイヤル)を回転させて時間をセットする分かりやすい操作法、コンパクトサイズながら見やすい液晶表示。たいへんシンプルな、いかにも“無印”らしい造形も気に入っています。
前回セットした時間を記憶しておいてくれるメモリー機能があるほか、タイマーが鳴り出してから止めるまでの経過時間が表示されるのも気が利いています。
また、ストップウォッチのようにカウントアップもできるので、自作麺を茹でるときなど「だいたい○分くらいだと思うけどはっきり分からない」というような場合も便利です。特にパスタを作るときは、茹で上げ後の時間が把握できるのでカウントアップの方を使っています。
ただし丸い形なので、持ち運んで使うときや定位置に戻すとき、上下を間違えないように気を付けましょう。
- 参考価格:1,490円
コメント:辻村哲也
プロダクトデザイナー、ときどき料理人。 いろいろな製品のデザインをしたり、あちこちで料理をしたり。 食べたものそのほか食に関することはツイッターに、レシピはブログ「ツジメシ」に、作った料理の写真はインスタに。
本業サイト:https://www.t-products.jp
食関係のブログ:https://tsujimeshi.exblog.jp/
Twitter:@tsujimeshi Instagram:@tsujimeshi
【2】素材の旨味を生かす小さなオーブン。ストウブのココット(イナダシュンスケ)
僕がストウブのココットを最初に使い始めたのは店(フレンチビストロ)でした。もっともそれは、調理器具というより最終的な盛り付け用の食器としての使い方がメイン。
しかしこのココットが真価を発揮するのはむしろ純粋に調理器具としてです。食材そのものの水分で調理するいわゆる無水鍋、あるいはこれ自体が「小さなオーブン」という感覚。特に素材の旨味をそのまま生かす調理法に抜群に向いていると思います。
さまざまな形、サイズがありますが、僕が愛用しているのは少し小ぶりな「ピコ・ココット オーバル ココット 17cm」。おすすめは、野菜100に対して重量比でお好みの油脂を10、塩を1、という目安でココットに入れそのまま10〜15分弱火にかける、という食材の特徴をシンプルに生かすレシピ。これは人参、バター、塩で作った甘くないグラッセ。風味付けにクミンシードとローズマリーも加えました。
ローストポークも、香味野菜を敷いた上に表面を焼いた塊肉を乗せ、これまた弱火で放置するだけ。「小さなオーブン」と評しましたが、オーブンよりむしろしっとりジューシーに焼き上がります。肉だけ取り出した後、赤ワインを注いで煮詰めて濾せばグレイビーソースもあっという間。
また我が家では、ホットプレート焼肉の脇でほったらかしで作るアヒージョも定番です。ココットの底に残ったおいしいオイルでさらに野菜を焼くと2度楽しめます。
丈夫でコンパクト、そしてそのまま食卓でも映えるデザイン。「楽してごちそう」には欠かせないアイテムです!
- 参考価格:10,980円
コメント:イナダシュンスケ
鹿児島県出身。京都大学卒業後、食品メーカー勤務などを経て円相フードサービスを設立。多ジャンルの飲食店を経営する傍ら、食にまつわるさまざまな情報を発信している。著書に『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』(扶桑社刊)『南インド料理店総料理長が教える だいたい15分!本格インドカレー』(柴田書店刊)
ブログ:食べるそして考える Twitter:@inadashunsuke
【3】ヘコみや変色など“使用感”に愛着が湧くアルミ製ボウル(ツレヅレハナコ)
アルミ製の調理器具が好きで、10年以上、鍋やボウル、バットなどを集めています。
日本ではステンレスやガラスがメインとなりあまり作られなくなってしまいましたが、台湾やベトナム、インド、スリランカなどアジア各地へ行くとまだまだ現役! 旅行の度に市場やスーパーマーケットへ行っては探し出し、買って帰ります。買い過ぎてスーツケースが閉まらない場合は服を現地に捨ててくるくらい、アルミ製調理器具の収集はライフワークになっています。
特に愛用しているのが「ボウル」。10個以上のボウルを大中小とサイズ違いで揃え入れ子にして収納していますが、買った国はバラバラだったりします。
軽くて気軽に使いやすいのがアルミ製のいいところ。いくつも並べて刻んだ野菜を入れたり、卵を溶きほぐしたり……。毎日の食事作りには欠かせない調理器具です。
アルミはやわらかく、使っているとベコベコとへこんでくるのも愛おしい。年月を経るとともに形も色も変化していって、自分だけのアルミボウルになっていく過程が楽しめます。
- 参考価格:国内メーカーの場合、1,000円未満〜
コメント:ツレヅレハナコ
食と酒と旅を愛する編集者。著書に『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)、『ツレヅレハナコのホムパにおいでよ!』(小学館)、『食いしん坊な台所』(河出文庫)、『女ひとり、家を建てる』(河出書房新社)など。
Instagram:@turehana1
【4】魚焼きグリルの使用ハードルが下がる及源の鉄製“焼き皿”(ぶち猫)
最近買って面白かったキッチン用品は、及源の「焼き焼きグリル」。「スリムタイプ」を使っているのですが、一般的な魚焼き用グリルに二つ並べられるサイズの鉄製焼き皿が2個セットになっています。
使い方は簡単。表面に薄く油を塗ってから食材を乗せ、魚焼きグリルに入れていつも通りに焼くだけ。上からの加熱に加えて鉄板も熱くなるので、食材をひっくり返す必要がありません。焼きむらなくきっちり仕上がり、魚焼きグリルを使うのがより楽しくなりました。
木製トレイと着脱式の専用ハンドルがセットになっているので、焼きたてをトレイにのせて、そのまま食卓に出せるのもうれしいポイント。焼き魚以外にも、ハンバーグや焼き野菜など、アツアツのまま並べることができます。
魚焼きグリルはほとんど汚れないため、後片付けが楽になり使用ハードルがぐっと下がりました。我が家では、洗剤で洗ったあと濡れたまま魚焼きグリルに入れ、加熱して乾燥させたら薄く油を塗り、そのまま魚焼きグリルの中に戻して収納しています。
- 参考価格:6,600円
コメント:ぶち猫
趣味として料理やお菓子作り、写真撮影を行いつつ、猫二匹などと暮らしています。ときどき旅に出ます。
ブログ:ぶち猫おかわり
【5】混ぜる、つぶす、炒める、すくうがこれ1本で! 万能すぎるオメガヴィスペン(梅津有希子)
ちょっと不思議な形をした、スウェーデン生まれの調理器具「オメガヴィスペン(Omegavispen)」。3年ほど前にお店で見かけて「何だろうこれは?」と手に取ってみたのですが、「混ぜる」「つぶす」「炒める」「すくう」など、さまざまな調理に使えるなかなかおもしろいアイテムで。
素材はナイロンが70%、グラスファイバーが30%で、上は200度、下はマイナス30度まで耐えられます。使ってみるとシリコンよりも硬く、プラスチックよりも若干しなやかな印象。直径は5cm、長さは25cmで、重さは約25gととても軽いのもポイントです。
おでんの玉子やミートボール、里芋の煮物などをすくったり、じゃがいもをつぶしたり、スープやカレーなどを混ぜてこげつきを防いだりといった使い方のほか、ゆで卵を作るときに割れないようお湯の中にそーっと入れられるのも快適です。
混ぜながら炒められるので、チャーハンもパラパラの仕上がりに。スクランブルエッグは、卵の撹拌(かくはん)からフライパンでかき混ぜる工程までこれ1本でできて、お箸を数本使って混ぜるよりも、はるかにラクかつふわとろに。お米研ぎに使えば、冬も冷たい思いをせずに済みます。
穴が空いているので、さっと洗えるところもお気に入り。1本あると、あれこれキッチンツールを使わずに済むので、便利ですよ〜。
- 参考価格:1,430円
コメント:梅津有希子
編集者・ライター、だし愛好家。書籍『もっとおいしい、だし生活。』(祥伝社)では、「だしむすび」「あごだし湯豆腐」「だし巻き卵風フレンチトースト」など、旨味たっぷりの簡単だしレシピを紹介する。 公式サイト:梅津有希子公式サイト Twitter: @y_umetsu
【6】何度も洗って使い倒せるエコなスコッティの不織布キッチンペーパー(河瀬璃菜)
私がおすすめしたいキッチン用品は、スコッティ ファインの「洗って使えるペーパータオル」です。これまで、ペーパータオル(キッチンペーパー)は一度、二度使い少し汚れただけで捨ててしまっており、エコではないしもったいないなーと思っていたときに出会いました。
その名の通り、1回使い捨てではなく、洗って繰り返し使える優れもの。パルプとポリプロピレンを原材料とした不織布のペーパータオルなので、布のように水で濡らして絞っても問題なく使えます。かつ、紙のように吸水力も抜群。
湿らせたペーパータオルでハーブなどを包み保存袋に入れておくと、香りが飛びづらく鮮度が長持ちするのですが、濡らしただけで別に汚れているわけではないんですよね。「洗って使えるペーパータオル」に変えてからは、使い終えたら一度洗い、キッチン台を拭いたりしています。
気になる「使える回数」ですが、個人的にはだいたい5〜6回は繰り返し使える印象です。その分、価格は普通のペーパータオルより割高ではありますが、何度も使えることを考えるとお得かなと! 乾かして油を吸ったり、床を掃除したり、とにかく使い倒してから捨てます(笑)。
- 参考価格:328円(1ロール)
コメント:河瀬璃菜(りな助)
料理研究家・フードコーディネーター。1988年5月8日生まれ。福岡県出身。レシピ開発、商品開発、食の企画やコンサル、レシピ動画制作、企画執筆、編集、イベントメディア出演、料理教室など食に纏わるさまざまな活動をしている。SONY XperiaのCMやKIRIN本麒麟の広告への出演などその活動は多岐にわたる。近年では地方を元気にするための6次化商品の開発に力を入れている。
ブログ:河瀬璃菜(りな助) 公式ブログ Twitter:@linasuke0508
【7】「取り出せる」ことでだしとりが捗る! 三景のだし袋(玉置標本)
趣味でラーメンを作っているのですが、その過程で知ったのが三景の「だしとりサンエース」という心強い存在です。ポリプロピレン製不織布の袋で、鰹節や昆布などを入れて「だし」をとるのに使います。
我が家で活躍するのは、複数の食材を使って旨味に厚みのあるスープを作るとき。鰹節や昆布は煮込み続けるとえぐみが出てしまうのですが、この袋があれば食材ごとに煮込み時間をコントロールできるのです。例えば豚骨と鶏ガラをじっくりと煮込んだ寸胴鍋に、乾物類を入れた「だしとりサンエース」を加えて15分後に取り出すとか。この「取り出せる」というのがすごく重宝します。もちろん、普段のだしとりにも便利です。
大きさは小(18×30cm)、中(25×35cm)、大(35×40cm)、特大(50×60cm)の4タイプ。業務用なので小でも十分な大きさがあります。
また、丈夫なので食材を濾(こ)すための袋としても大変便利。例えばクズの根から葛粉を作りたいときは、ブレンダーで砕いてこの袋に入れて水の中で揉むことで、簡単に澱粉を溶け出させることができます。丸ごと砕いたカニからエキスを絞り出す時にも大活躍。
ちょっと特殊な使い方を紹介しましたが、料理上手な方ならもっと素敵な活用法がすぐに思いつくのではないでしょうか。
- 参考価格:2,500円(小100枚)
コメント:玉置標本
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。
【番外編】まだまだあるゾ! 推しキッチン用品
これまでの連載では取り上げきれなかった、おすすめのキッチン用品をズラリと紹介!
●アーネスト 鍋にかけられるお玉
名前の通り鍋のフチにかけられるほか、ほとんどのフタがそのままほぼ隙間なく乗せられる。右利き左利きどちらも使える設計が◎(河瀬璃菜)●LEYE ゆびさきトング
柔らかく、指のように自然な感覚で使えるトング。ベーコンやしゃぶしゃぶ用のお肉をはがしたり、焼き魚をひっくり返したり、とにかく使いやすく最近のイチオシ(梅津有希子)●LEYE みそマドラー
お味噌汁1回分にちょうどいい量の味噌をすくい、鍋に溶かし入れるところまでこれ1本でできる。味が決まりやすいのですっかり乗り換えてしまった(ぶち猫)リーズナブルで試しやすいツールから主役級のアイテムまで、料理好きのこだわりアイテムをた〜っぷり紹介してもらいました。どのアイテムも魅力的でポチポチとカートに追加する指が止まらない……!
みなさんの推しキッチン用品もぜひ教えてください。Twitterのハッシュタグ「 #推しキッチン用品」で報告待ってます!
それでは、全4回の連載にお付き合いいただいたみなさま、どうもありがとうございました。この記事しか読んだことがない!という方は、ぜひ下記から過去記事にどうぞ。
全4回にわたり料理好きの「推しキッチン用品」を紹介する連載。思わず欲しくなる品々、そろっています。
- 🍳推しフライパンをアツく語った第1回🍳
- 🧅ブレンダー、アリかもと思える第2回 🧅
- 🔪そろそろ包丁を買い換えるか……と考え始める第3回🔪
- 🍚こんなアイテム知らなかった!と即ポチりたくなる最終回(この記事です)🍚
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今回紹介した商品
「無印良品 ダイヤル式キッチンタイマー TD-393」を詳しく見る
「ストウブ ピコ・ココット オーバル ココット 17cm」を詳しく見る
「アルミ ボウル」を詳しく見る
「及源 焼き焼きグリルスリム2個セット」を詳しく見る
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「スコッティ ファイン 洗って使えるペーパータオル」を詳しく見る
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