「あともう1品、何を作ろう……」
日々、一家の献立を考え料理を作っている人を悩ませるのが、そう「副菜」です。
- 時間にも脳のキャパにも余裕がなくて、献立を考えるのがしんどい
- ふと気付くとまた同じものを作っている……飽きた……
- お惣菜は頼れる味方だけど、毎日は買い出しが面倒くさいし、財布の負担も大きい
そんな悩みを抱いている方へ向けて、応用しやすくワンパターンに陥らない&もちろん簡単でサッと作れる「副菜の法則」を紹介します。
教えてくれたのは家庭料理のプロ(=沼人)4人。法則を用いたレシピ例もありますよ。
*ご協力いただいたみなさま*
奥薗壽子
家庭料理研究家。2人の子どもを育てた経験から、家庭料理の“しんどさ”を取り除くべく手間や味付け、素材を引き算した簡単レシピを提案。「大人のかしこい手抜きごはん」(学研プラス)など著書多数。
山口祐加
自炊料理家、食のライター。「自炊は週に3日くらいがちょうどいい」をモットーに、自炊のハードルを下げるための情報をWebメディア、著書などで発信する。
スガ
会社員兼料理家。育児と仕事でハードな日々を乗り越えるべくはじめた作り置き生活をきっかけに、レシピサイト「週末の作り置きレシピ」の運営をスタート。
今井真実
料理家。シンプルな食材、味付け、でもどこか新しい家庭料理を提案。3度の飯よりお肉が好きな肉ラバーだが、今回は同じく大好きな野菜を使った法則とレシピを紹介。
※順不同、敬称略
ぜひ以下の目次から、気になる法則を試してみてください。
【2】「野菜はとりあえず切って塩もみ保存」の法則(山口祐加)
【3】「“食べるマリネドレッシング”を作り置き」の法則(スガ)
【4】「野菜をトースターに放り込んでチン!」の法則(今井真実)
【1】“ほったらかし”でいったん副菜のことを忘れましょう。「魚焼きグリルで野菜をホイル焼き」の法則(奥薗壽子)
私が提案するのは「魚焼きグリルで野菜をホイル焼き」の法則です。
この法則のいいところは、なんといっても“ほったらかし”にできること。魚焼きグリルに放り込んだあとは、いったん副菜のことを忘れて大丈夫。主菜の準備をしている間に、いつの間にか副菜ができているというわけです。
作り方はアルミホイルに乱切りした野菜、塩分(塩、みそ、しょう油など)、オイル(オリーブオイル、ゴマ油、バターなど)を入れぴったりと口を閉じ、後は両面焼きタイプの魚焼きグリルに放り込んで5〜10分ほど火にかけるだけ。
火の強さはどの食材も基本的に中火で、葉野菜など火の通りが早いものは5分ほどにするなど、火にかける時間で調整します。キッチンタイマーをかけておき、鳴ったら火を消しましょう。その後もグリルを開けずそのまま入れっぱなしにしておけば、余熱でどんどん火が通るため、固い根菜類も短い調理時間で気軽に料理できます。
もし片面焼きタイプのグリルでも、開けずに放置しておけば、ある程度余熱で火が通ります。大事なのは「開けずに放置」すること。
アルミホイルに包んでいるので、焦げ付く心配はありません。また、蒸し焼きは素材のうま味や香り、栄養価を逃さないため、野菜を美味しく食べる料理法としてもすぐれています。食べる直前に取り出せば、熱々のまま食べられるのもうれしいところ。
コリコリとした食感が好きなのであれば、あえて10分ほどで取り出す、というのもおすすめです。
レシピ例:ニンジンのホイル焼き
今回は、どの家庭の冷蔵庫にもあり、煮込みに料理には使いやすいけれど、単品だと意外に使いづらいニンジンを使います。
ニンジンそのものの甘みが引き出されるため、砂糖を入れなくても甘い、いわゆる「グラッセ」になります。1人分ずつ包めば、そのままハンバーグなどの添え物にも。
バターはオリーブオイルやゴマ油にかえてもOK。粗挽きコショウやゴマ、鰹節とポン酢しょう油など、お好みでかければ、味の変化も楽しめます。
ニンジン以外にも、大根、レンコン、ゴボウなどの根菜類、タマネギ、長ネギなどでもおいしくできますよ。
・ニンジン……2本
・塩…… 小さじ1/2
・バター……2かけ(約20g)
- アルミホイルを大きめに切る。人参は乱切りにし、アルミホイルの上にのせて塩をまぶし、バターをのせて1本ずつ、あるいは1/2本ずつ包む
- 魚焼きグリルに入れて10分、中火で焼き、そのまま食べる直前まで置く
・火を付けてタイマーをかけたら、あとはほったらかしでOK
・焼き時間は5〜10分。火を消したあとも魚焼きグリルに放置して余熱を利用
・アルミホイルで包むので焦げ付きの心配がなく、素材そのものの風味が楽しめるほか栄養価も逃さない
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コメント:奥薗壽子
繰り返し食べてもあきない家庭料理に魅せられ、「料理は楽しくシンプルに」をモットーに、いらない手間を省いた簡単で美味しい料理を提唱。日々の家庭料理が健康を支えることの大切さを発信し、家族の食卓、ひとりごはん、お弁当、受験生の食事など現代の家庭料理の多様なニーズに応えている。
サイト:家庭料理研究家 奥薗壽子オフィシャルサイト | なべかまぺえじ YouTube:奥薗壽子の日めくりレシピ Twitter:@toshiko0813 Instagram:@okuzono.toshiko
【2】切る手間が省けると心が軽くなる。量が多い野菜は「とりあえず切って塩もみ保存」の法則(山口祐加)
カブ、キャベツ、大根などの量が多い野菜は、食べやすいサイズに切って塩でもみ、保存しておくのがおすすめ。すでに切ってあるので、その日の主菜にあわせて、サラダ、炒めもの、汁物、和え物などの副菜がささっと作れます。もちろんそのまま食べてもおいしいです。
塩もみをするメリットは「水分が抜けること」「新鮮なまま日持ちすること」の2つ。
野菜の水分が抜けると、味がなじみやすくなるほか、火の通りが早くなります。“かさ”が減り、たっぷり食べられるのもうれしいポイント。
また野菜は切り口から傷みはじめるため、ただ野菜を「切る」だけではすぐにしなびてしまいますが、塩でもめば3日ほど新鮮なまま保存できます。
塩分量はどの野菜でも「野菜の重量の2%」が基本。ただ塩を効かせ過ぎてしまっても、絞るときに野菜の水分と一緒に塩気も出るので、そこまで影響がありません。もししょっぱくなった場合も、水で洗い塩気を抜けば問題なく使えますよ。
容器はそのまま食卓に出しても、器として美しいガラス製のものがおすすめ。私はiwakiの「パックぼうる」800mlを使用しています。
レシピ例:塩もみした大根と、ザーサイ、カイワレの中華サラダ
塩抜きした大根のコリっとした食感と、ザーサイの旨みがよく合う一品。今回は薬味にカイワレを使いましたが、ネギや大葉などお好みでOK。余っても、一晩置くことでより味がなじんでおいしくなります。
・大根……400g(約2/5本)
・ザーサイ…… 50g
・塩……小さじ1
・ゴマ油……小さじ2
・醤油……小さじ1
・酢……小さじ1
・カイワレ……お好み
- 大根は幅5mmのいちょう切りに、ザーサイは粗みじん切りにする。ボウルに大根を入れ、塩を加えて軽くもみ込む。好みの柔らかさになるまで15〜20分ほど置く
- 大根の水気をよく切り、キッチンペーパーなどで表面の水分も拭き取る。再びボウルに大根を加え、ザーサイ、その他の調味料全てを加えて混ぜ合わせる。最後にカイワレを加えて和える
・一口サイズにカットした野菜を「重量の2%」の塩でもみ、保存
・そのままはもちろんのこと、サラダや炒めもの、汁物、和え物などにアレンジ可
・「切った野菜」があるだけで、手間や負担が減り、心が軽くなる
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コメント:山口祐加
自炊料理家、食のライター。料理初心者に向けた対面レッスン「自炊レッスン」や、セミナー、出張社食、執筆業、動画配信など多方面で活動中。著書に『週3レシピ 家ごはんはこれくらいがちょうどいい。』(実業之日本社)、『ちょっとのコツでけっこう幸せになる自炊生活』(エクスナレッジ)がある。
Twitter:@yucca88 note:山口祐加@自炊料理家
【3】“習慣化”で副菜の面倒さを回避。かけてもそのままでもおいしい「食べるマリネドレッシングの作り置き」の法則(スガ)
作るモチベーションが低くなりがちな副菜は、作り置きなどで「習慣化」して、面倒さやマンネリを回避してしまいましょう。
中でも私のおすすめは、年中手に入りやすい「トマト」と「タマネギ」を、オリーブオイル、酢、砂糖、塩、コショウで味付けした「食べるマリネドレッシング」を作り置きすること。
そのまま食べてもおいしいほか、生野菜や冷奴などにかけるだけで、副菜のバリエーションがグッと広がります。
「今日は副菜を作る元気がない……」という日は、グリルした肉や魚のソースとしてプラスしたり、冷製パスタやそうめんのトッピングにしたりすれば、一品でも野菜がたっぷりと摂れますよ。
飽きたら以下のような野菜や果物を足してアレンジしてもよし。
きゅうり、ピーマン、パプリカ、セロリ、キャベツ、大豆、ミックスビーンズ、りんご、グレープフルーツ
また香辛料や香味野菜を加えるのもおすすめ。
すりおろしたニンニク、バジル、オレガノ、パセリ
酢はりんご酢やワインビネガー、バルサミコ酢だとさらにフルーティーな仕上がりに。また、酢の半量をレモン果汁に、オリーブオイルをサラダ油に、といった置き換えも風味の変化が楽しめます。
こういった作り置きのおかずの保存に便利なのが「ジップロック コンテナー」。冷凍から電子レンジまでOK、半透明で中身が見える、フタが閉めやすい、スタッキングできるなど、機能性が高くとっても優秀です。
容器、ふたをそれぞれ重ねて収納できるのもありがたい。私の場合、書籍などの撮影時は2日で80品程度を作ることもあるため、100個ほど持っていますが、写真のようにとてもコンパクトに収納できています。
レシピ例:トマトとタマネギの食べるマリネサラダ
好みの野菜や香辛料でいくらでもアレンジが効く法則なので、「基本」となるレシピを紹介します。なお、作り置きは水気があると雑菌の繁殖の元となるので、野菜類は洗ったあと、しっかりと水気をふきとっておくのがポイント。
できたてを食べてもいいですが、冷蔵庫で2時間ほどしっかり冷やすと、よりおいしくいただけます。
・トマト……4個(1個150〜160g)
・タマネギ(新タマネギでも)…… 1個(200〜300g)
<A>
・オリーブオイル……大さじ4(60ml)
・酢……大さじ4(60ml)
・砂糖……小さじ4
・塩……小さじ1と1/2
・コショウ(粗挽き、粉末どちらでも)……小さじ1/4
- タマネギはまず半分に切ったあとみじん切りにし、たっぷりの水にさらしてすぐにザルにあげる。トマトは洗ったあと水気をよくふき取り、4等分のくし切りに。ヘタを切り落としたら、それぞれをさらに4つずつに切り分ける
- ボウルで<A>を混ぜ合わせる。ザルを斜めにするなどでさらに水気を切ったタマネギを加えてよく混ぜる。さらにトマトも加え、底からざっくりと混ぜ合わせる。完成したらそのままか、生野菜、豆腐など好みのものにかけて食べる
・副菜はモチベが下がりやすいので、作り置きで「習慣化」してしまう
・「トマト」と「タマネギ」をベースに、いろんな野菜や香辛料でアレンジを加える「食べるマリネドレッシング」の作り置きが便利
・主菜にかけるだけのメニューでも野菜がたっぷり摂れる
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コメント:スガ
会社員兼料理家。子育てと激務とで息つく間もなかった頃に始めた、週末作って平日食べる作り置き生活。そのレシピをWebサイトに掲載。ただレシピを紹介するだけではなく、写真つきで調理のコツを丁寧に解説。著書に『やさしい作り置き』(学研プラス)、『スガさんの 365日使えるつくりおき』(扶桑社)。
Twitter:@sgmy サイト:週末の作り置きレシピ
【4】耐熱皿をそのまま食卓へ運ぶから洗い物も減らせる。「野菜をトースターでチン!」の法則(今井真実)
あと1品の副菜、どうしようかなと悩んだ時、私はお野菜を耐熱皿に乗せてトースターでグリルします。
焦げ目がつくまでしっかり焼くと、水分が飛び、お野菜自体の味が凝縮して濃くなるのです。
グリルにおすすめのお野菜は、きのこ、アボカド、根菜、ミニトマト、玉ねぎ、ズッキーニ、ブロッコリーなど。葉野菜以外は大体おいしくできます。
焼き時間は食材にもよりますが、トマトやアボカドなど生野菜で食べられる柔らかい食材は5〜10分程度、きのこや根菜類は15〜25分程度(1200Wの場合)。最初は生でも食べれるお野菜を選ぶと、試しやすいでしょう。
根菜の場合は時間がかかりますが、トースターに任せておけばいいだけなので気が楽。
お料理の一番最初に焼き始めておいて、食べる直前に火が通れば良いわよね、と、いつものんびりとした気持ちで作っています。
味付けは、以下のような油脂、調味料、トッピングを主食にあわせて組み合わせます。
- 油脂
- オリーブオイル
- バター
- ゴマ油など
- 調味料
- 塩
- 醤油
- ポン酢
- コンソメ
- 焼肉のたれなど
- トッピング
- ゴマ
- チーズ
- スパイスなど
「油脂」や「トッピング」が必ずしも必要なわけではないので、こちらの例を参考に、好みの味付けにしてみてください。
【和食向き】 しょう油、ポン酢+鰹節、ゴマ、柚子胡椒、梅肉、山椒、塩昆布など 【洋食向き】 バター、オリーブオイル+塩+スパイス、ハーブ、チーズ、黒コショウなど 【おつまみ風向き】 ゴマ油+焼肉のたれ+ゴマ、ゴマ油+しょう油、塩+山椒+すりおろしニンニク、コチュジャン など
調理の際、油脂が先か後かで仕上がりが少し変わります。ある程度水分を守ってジューシーに仕上げたい場合は油脂を「先」にかけてから焼きます。逆に旨みを凝縮させたい、ヘルシーに仕上げたい時は「後」がおすすめ。
調味料も同じで、例えばしょう油の香ばしさがほしければ「先」、しょう油そのものの風味を味わいたいなら「後」と、自分の食べたい味をイメージして味付けの後先を思案しましょう。その味の違いを楽しむ事も飽きないコツです。
大丈夫、大きな失敗には繋がりません。お野菜一つなので、どう作ってもおいしいです。
トースター焼きを何度も作り、食べた時のイメージを想像しながら味付けするという「トレーニング」を繰り返すと、レシピがなくても料理ができるようになります。きっと毎日の副菜作りの一つの解決法になるはずです。
まずは実験気分で、冷蔵庫にあるお野菜で試してみてください。
トースターグリルに使う耐熱皿は、グラタン皿やホーローバットで大丈夫。調理道具兼、器なので、そのままテーブルに並ぶことを考えて色を選んでも良いですね。
レシピ例:大根のトースターグリル
最近一番好きな「大根のグリル」。まずは、何も調味料を付けずに食べてほしいです。
大根でも1本1本、全然味が違うことを実感します。ほっくり柔らかかったり、そうと思ったらガリッとしたり、驚くほど甘かったり……。癖になり、大根1本買うたびに、とりあえずグリルして味を確かめています。
お塩をつけるだけで舌は満たされますが、法則の参考になるよう、2パターンの味付けをしてみました。
・大根……約7cm(300g・約1/4本)
<A(和風)>
・ゴマ油…… 小さじ1
・ポン酢……適量
・鰹節…小パック1/2袋(約4g)
<B(洋風)>
・オリーブオイル……小さじ2
・塩……少々
・乾燥バジル……少々(お好みで)
・粒マスタード……小さじ1
- 皮ごと乱切りにした大根を、そのまま1200W(トースターの一番高い温度)で20分焼く
- 焼き上がったらAもしくはBの油脂と調味料をかける
・葉物以外の野菜を耐熱皿に乗せてオーブントースターでグリル
・1200Wの場合、柔らかい食材は約5〜10分、固い食材は約15〜25分ほど
・焦げ目がつくまでしっかり焼くことで水分が飛び、野菜自体の味が凝縮して濃くなる
コメント:今井真実
「これだけで、こんなに美味しい」という喜びを感じられ、作った人が楽しく嬉しくなる料理を提案。雑誌、web媒体、広告などでのレシピ作成。noteで発表したカルボナーラのレシピも大きな話題に。キャンプで燻製をしたり塊肉を焼くのが一番のストレス解消法。三度の飯より肉が好き。
Twitter:@imaimamigohan note:今井真実 /料理家
どれも身近な食材・調味料を使ったシンプルな法則&レシピで、飽きがこない工夫もばっちり。仕事や家事、育児で忙しく副菜のアイデアが“枯渇”しているという方は、ぜひ毎日の献立に「法則」を取り入れてみてください。
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今回紹介した商品
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※2021年4月13日21:30ごろ、レシピの一部を修正しました。ご指摘ありがとうございました。