特定の地域だけで展開されており、地元の人々に愛されている「ローカルチェーン」の飲食店。中には楽天市場で購入できるものもあるのです!
地元のローカルチェーンをこよなく愛す方に「楽天市場で買える“地元の味”」を自宅で楽しんでもらいつつ、その魅力を語っていただく本連載。第3回は栃木出身のライター・斎藤充博さんが、幼い頃から食べ続けてきたという「宇都宮みんみん」の魅力を紹介します。そして、みんみんとともに“宇都宮餃子ムーブメント”を担う「正嗣」についても……!
【あのローカルチェーンの味、楽天で買えちゃいます連載】
- 第1回:地主恵亮 × 資さんうどん(福岡)
- 第2回:ヨッピー × りくろーおじさん(大阪)
- 第3回:斎藤充博 × みんみん&正嗣(栃木) ★この記事です★
- 第4回:米田梅子 × スガキヤ(愛知)
栃木県の宇都宮市は、餃子の街として有名だ。
餃子なんてラーメンのサイドメニューじゃないの、くらいに思っている人も多いんじゃないだろうか。でも宇都宮には餃子しか出していない(あとはビールとライスくらいの)店がいくつもある。
おいしい店はいろいろあるのだけど、そんな宇都宮餃子ムーブメントの中心的な存在なのが「宇都宮みんみん」である。
「みんみん」の冷凍餃子
上記の発言に「へー。そうなんだ」と思う人もいるでしょう。「ムムッ?」と思う人もいるでしょう。
実は、栃木には「みんみん」と同じくらいファンが多い「正嗣(まさし)」という店もある。「ムムッ?」と思った人は「正嗣派」の栃木県民なんじゃなかろうか。
書き直します。「みんみん」と「正嗣」が宇都宮餃子ムーブメントの二大巨頭である。言い換えれば、双璧、ツートップ、ドラゴンクエストとファイナルファンタジー、富永一朗と鈴木義司、ハブとマングースだ。
文章表現に凝ったら逆に分かりにくくなってしまったが、ようは「みんみん」も「正嗣」も有名で実力もあり、うまいということだ。そしてなぜか栃木県民の中で、この2店は勝手に「ライバル」ということになっている気がする。
宇都宮みんみんの餃子は楽天で買える
僕が小さい頃から食べていたのは「みんみん」の方だった。
初めて「みんみん」の餃子を食べたのはいつだったっけ。もはや日常に溶け込み過ぎてまったく思い出せない。でも小さい頃に、父があの赤と黒の丸のマークの箱を持って帰ってくると、ものすごくうれしかったのを覚えている。
だいたい、餃子なんて何を食べてもそれなりにうまいと思う。でも、みんみんはそこからさらに数段階上のうまさがある。
例えるならば、ピサロからデスピサロ、エクスデスからネオエクスデスのような……。あっ、なぜかうっかりラスボスに例えてしまったけど、深い意味はないです。
ところでこの「みんみん」の餃子は、楽天で買うことができる。
「名店から選べる餃子ギフト」という商品があり、宇都宮餃子の名店35店から3種類の餃子を選んで買うことができる。今回僕が選んだのは「みんみん」と「みんみん」と「みんみん」の3種である。1種類とも言う。
みんみんの冷凍餃子6人前(3箱)。タレとラー油もついてきた。箱のデザインが見慣れていたものと違うけど、どうやらこの「名店から選べる餃子ギフト」のオリジナルデザインらしい。
餃子を焼くのはそんなに難しくない。説明書の通りにフライパンで焼くだけ。失敗してもそれなりにうまいから、臆することなく挑んでほしい。
「焼餃子」としかいいようのない見た目だけど、完璧にして永遠のフォルムだと思う。はあ……。好き。
水餃子は熱湯で3分ゆでるだけ。インスタントラーメン並みにシンプルな手順。
「みんみん」の餃子を食べると、皮の中に閉じ込められた肉汁がジュワッと出てくる。ただし、この肉汁が決してしつこくない。肉汁とは言ったけど、野菜から出てくる汁も混ざりあってこの味になっているんだと思う。
そして、食べ進めていくと具だけじゃなくて「皮」もかなりおいしいことに気づく。ちょっとした(決して過剰ではない)モチモチ感が存在する。
全体として派手な味が付いているわけじゃないんだけど、ものすごくおいしい。いくらでも食べられてしまう。おかずにもビールのつまみにもどちらにもいい。
栃木県民は「冷凍餃子や生餃子を持ち帰って家で食べる」のを「店で食べる」と同じくらいよくやる。そのためお取り寄せの味はそのまま思い出の味として楽しめるのがいい。
「みんみん」の存在が、栃木県民であることを誇らしくさせる
ここまでしれっと宇都宮市民であるかのように振る舞ってきたけれど、僕が育った場所は宇都宮ほど都会ではなく、栃木県内でもかなりの田舎にある。
最近とあるテレビが「海なし秘境でお寿司屋さんを探す」という企画の撮影をやっていたほど田舎だ。確かに最寄りの駅まで自動車で50分くらいはかかるし、見渡す限り田んぼと山ばっかりなんだけど、国道やコンビニもあるのに、秘境って……。
話がそれました。
そんな場所から大都会である宇都宮へみんみんの餃子を食べに行くのは、僕にとってちょっとした「イベント」気分。みんみんはかなりの人気店で、当時はかなりの行列を作って待つのが普通だった(いまは店舗が増えているため多少は改善されていると思う)。田舎出身のため「行列のできる店に並んでいる」という行為自体に興奮したことを覚えている。
店では、餃子を3人前注文する。焼き、水、揚げをそれぞれ1人前。そして、半ライス。これはみんみんではわりとスタンダードな注文だったが、子どもにとってはかなり特殊体験だったと思う。餃子だけでそんなにいろいろ頼んでいいんだ!
やがて、僕は首都圏の大学に通うため栃木県を出た。そして、帰省から首都圏に戻るときは「宇都宮パセオ」という駅ビルの中にあるみんみんに寄るのが定番になった。
ここで餃子を食べて、さらに持ち帰りの冷凍餃子を買う。そして、下宿先のアパートでサークルの連中と発泡酒を片手に「うまいうまい」と一緒に食べていた。
自分が栃木県民であることに誇りなんて持ったことはないんだけど(栃木県民はそういう県民性なので……)、このときだけは誇らしい気持ちになった。地元から離れることで、逆に栃木県民アイデンティティが醸成されたんだろう。
ところで「正嗣」も楽天で買える
みんみんの話ばかりしてしまったが、正嗣も楽天で買える。
公平を期すために(特に公平を期す必要はまったくないのだが)こちらも買ってみた。
赤い箱に描かれた女性。その表情はまったくの「無」で、笑っているようにも泣いているようにも見えない。餃子という大衆的な食べものなのに、どこかミステリアスな雰囲気を醸し出している。
焼くとこんな感じ。僕としてはみんみん推しなんだけど、正嗣の方が上手に焼けてしまった感がある。
じっと見つめるだけで、パリッという音が聞こえてきそう……。
水餃子はこんな感じ。水餃子の外観ってだいたいどれも同じになっちゃうね。
みんみんを「派手な味ではない」と僕は言った。正嗣はみんみんよりもさらにもう一段階さっぱりした味がする。かといって、決して物足りないということにはならない。しみじみうまい。不思議……。
ところで正嗣には強烈な思い出がある。小学校3年生の頃に友人の家で遊んでいたら、おやつに「正嗣」の餃子が出てきたのだ。おやつといったら、ビックカツとか、ラーメン屋さん太郎とかじゃないの? 精一杯背伸びしても、ブタメンとか。
餃子という「晩ごはんのおかず」がおやつとして出てくるという異常事態に緊張し、ほとんど手を付けられなかった。せっかく正嗣の餃子がでてきているのに。もったいないことをした
その後何度か食べる機会はあったが、今回改めて食べてみると、やっぱりうまい。
みんみんか正嗣か……というのは栃木県民の中に常にあって、ときどき言い合いになることはある。でも、本気でケンカしている人はみたことない。
ハブとマングースだって、自然な状態では争うことはほとんどないという。ドラゴンクエストを作っていたエニックスと、ファイナルファンタジーを作っていたスクウェアは合併した。富永一朗と鈴木義司だって、実は仲がよかったそうだ。
なんの話していたんだっけ……? ともかく、栃木県民はどっちもうまいとみんな思っているはず。僕もそうです。もちろん県民じゃない人も、一度食べてみてほしい。
\あなたの推しローカルチェーンを教えてほしいの!/
\「宇都宮みんみん」はふるさと納税もあり!/
\「正嗣」は60ヶ入〜240ヶ入が選べます/
著者:斎藤充博
指圧師・ライター・マンガ家などをしています。昼寝とビールが好きです。
Twitter:@3216