それどこ

学生時代にやり残したオタ活がある人へ。三十路の女オタクが中学生をやり直す『タイムスリップオタガール』

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推し活をしている人が「これ良い!」と思ったものを紹介しています

タイムスリップオタガールトップ画像

仕事終わりのほっと一息つく時間に、そして休日のくつろぎ時間に、ゆっくりと漫画を読みたいという方も少なくないでしょう。

とはいえ、すでに巻数を重ねている作品を今から読み始めるのは大変だし、新作も数が多過ぎて選ぶのが大変だし。「自分の好みに合う作品」をどう選ぶかは悩ましいところです。

そこでソレドコでは、季節やイベントにからめたさまざまなテーマごとに「今読むべき作品」を紹介していきます。そうそうこういうのが読みたかったの……! という作品がきっと見つかるはず。

紹介してくださるのは、漫画をこよなく愛するライター、藤堂真衣さんです。

今日の推し漫画はコレ!:『タイムスリップオタガール』

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今回のテーマ:ソレドコ編集部より
オタク人生も長くなり、懐かしさを感じるコンテンツも増えてきました。オタクとしての半生を振り返りつつ、「あったあった!」と“あの頃”を楽しく思い出せるような漫画、ありませんか?

📗

こんにちは! ライターの藤堂真衣と申します。昔から漫画やアニメが大好きで、大人になった今も少しの暇を見つけては漫画を読み漁る日々を送っています。

▼ソレドコでは「推し活」に関するインタビュー記事も書いています
推し活は“本気の遊び”。「ファン研究」の大学教授に聞く、持続可能な推し活

本連載では、そんな私がこれまでに読んだ漫画のなかから季節やその時々のテーマに合ったもの、さらに注目が集まる話題作など「ぜひ今読んでほしい!」と思う“推し漫画”を紹介します。

今回のテーマは「“あの頃”を思い出せる漫画」ということで、佐々木陽子先生の『タイムスリップオタガール』をピックアップさせていただきました!三十路のオタク女子が中学生時代にタイムスリップしてしまう……という作品です。

タイムスリップオタガール
Ⓒ佐々木陽子/COMICポラリス

90年代に学生時代を送ったオタクは“懐か死不可避”

トラックに轢かれた衝撃で、17年前(1996年)の中学生時代にタイムスリップしてしまった主人公・はとこ。

1996年といえば、ちょうど『スレイヤーズ』や『ガンダムW』が放送されていた頃です。

90年代のアニメや漫画、そしてアニメ情報誌といったコンテンツがこれでもかとばかりに登場するのは、当時を知るオタクなら爆笑&エモの波に襲われること必至です。

タイムスリップオタガール
Ⓒ佐々木陽子/COMICポラリス

ちなみに私は小学4年生でした!

「グラデ便せん」「無記名小為替」に反応してしまう人は絶対読んでほしい。同人誌の奥付に住所と本名が載っていた時代……。

タイムスリップオタガール
Ⓒ佐々木陽子/COMICポラリス

作中に登場するのは、漫画やアニメが好きな友人と昨日見たアニメの話で盛り上がったり、なけなしのお小遣い片手にアニメショップへ行ったり、スクリーントーンを買ったりというエピソード。もう何もかもがエモい

スマホやSNSはなく、携帯電話を持っている学生も少なかった、そんな90年代の空気感を存分に味わえます。原稿だって手描き。オフセット印刷なんて高級品。

「三十路メンタル」で、暗黒の中学時代を塗り替える

さて、ここまで読んだ皆さんは疑問に思ったのではないでしょうか?

「はとこの記憶はタイムスリップする前のままなのか?」と。

その通りで、はとこの中身は「三十路の女性」のままなのです。

そんな「見た目は子供、頭脳は大人」のメリットを生かして、中学生がぶつかりがちなハードルを乗り越えていくところも痛快で、見どころの一つです。

引っ込み思案で家族とうまくコミュニケーションがとれずにいたかつてのはとこ。ところがタイムスリップしてからは「一刻も早く寝たい」とモッサリ伸ばしていた髪を短く切り、家事の手伝いも普通にこなします。精神が大人になったおかげで、「あの頃できなかったこと」ができるようになっている……!

さらに、「ばい菌」扱いしてイジメてくる男子の攻撃も全て跳ね返せるように。むしろ「中学生男子!」と面白がったり、その子供っぽい言動に「語彙力低……」とスルーするようになったりで、はとこの周囲の人間関係もどんどん変化していきます。はとこをイジっていた同級生の長谷川くんや、気にかけてくれていたリュータの矢印がどんどんはとこに向かってくる感じも、「あれ? いつの間にか青春ものになってる……!?」と目が離せなくなります。

そして、「受験」「内申点」を振りかざしてはとこが漫画を描くことに反対するお母さんには、以前なら言いくるめられてしまっていたところ、そのために失った大切な友達や夢を思って「漫画を描くのはやめない」と宣言するはとこの姿には、もう単なる「オタク女子がトラックに轢かれて1996年にタイムスリップした話」にとどまらない迫力が……! 三十路のはとこがどんどん成長している……と。

当時をはとこのように過ごした人には懐かしさもあり、「青春のやり直し」を通して自分と重なる部分が見られる『タイムスリップオタガール』、ぜひ読んでみてくださいね!

藤堂真衣 SNS:@mai_todo
漫画やアニメ、声優を愛するオタクのフリーライター。好きな作品は『Free!』。圧倒的夜型。